RIZINで活躍する格闘家の朝倉未来&朝倉海の兄弟や、白川陸斗、ヒロヤらが所属するジム「トライフォース赤坂」が、この秋から「JAPAN TOP TEAM(JTT)」に名称を変更し、海外の大規模ジム=メガジムを目指して改革することを発表した。朝倉未来の動画でJTTのビジョンを語ったのが、弁護士であり会社経営者であり投資家、そして朝倉兄弟を発掘し格闘家への道を切り開いた後見人でもある、堀鉄平氏だった。
格闘技の専門家ではない堀氏は、JTTで将来的にどんなビジョンも描いているのか。気になったORICON NEWSは堀氏にインタビューを敢行。自身のルーツや朝倉兄弟との出会い、そして日本格闘技界への思いまで、じっくりと語ってくれた。
■グレイシーに憧れて柔術の世界へ スカウトした朝倉兄弟の活躍で“計算外”が発生!?
朝倉兄弟の動画にたびたび出演し、かつては試合のセコンドも務めていたので、堀氏の顔を見たことがあるファンも多いだろう。その正体は、20年ほど前に弁護士となり弁護士事務所のオーナーを経て、現在はHORIJUKU株式会社の代表取締役として不動産投資塾「堀塾」を主宰、ホテルにもできる別荘「UMITO」の開発、多数の著書の執筆など、マルチな分野で活躍する。そして、JTTの前身の「トライフォース赤坂」のオーナーであり、現在のJTTのオーナーでもある。
格闘技との出会いは「司法試験の勉強をやってる頃にPRIDEが全盛期で、桜庭和志選手対グレイシー一族の戦いを見てグレイシーに憧れて、試験に受かってからブラジリアン柔術の道場に入りました。雇われ弁護士だった頃は立場上、あまり試合に出られなかったのですが、30歳になって事務所を独立した頃に『THE OUTSIDER』が始まって、第1回大会に申し込みました。不良たちの大会だったので、殺伐とした控室で入れ墨がないのは自分だけで(笑)、そこには現役バリバリだった瓜田純士さんもいました」。
そんな全国の喧嘩自慢の不良たちが集まる大会に、颯爽と現れたのが朝倉兄弟だった。「2人とも能力が明らかに飛び抜けていましたね。僕は最初に海くんと仲良くなって話をしていたら、地元の愛知県豊橋市で兄弟2人で練習していると。格闘技を指導してくれるジムや練習相手もいないと思ったので、僕が名古屋まで行って『東京でやったほうがいいよ』とスカウトしました。名古屋で遅くまで話していたら豊橋までの終電がなくなってしまい、当時の海くんはお金がなかったから僕のビジネスホテルで一緒に泊まったりしてました(笑)」と懐かしそうに振り返った。
堀氏は溜池山王の事務所の近くに柔術のジムを持っていたため、海にインストラクターとして採用することを提案すると、「兄貴も一緒だったら」という条件で、2017年に朝倉兄弟そろっての上京が決定した。ジムで働きながら大沢ケンジのジム「HEARTS」や高阪剛のジム「ALLIANCE」への出稽古で急激に成長した未来と海は、あっという間に国内最高峰の舞台『RIZIN』にたどり着き、連戦連勝を記録して今や日本で最も注目度を集める格闘家となった。
堀氏は朝倉兄弟の活躍について「予定通り」だったと驚かなかったが、“計算外”だったのがYouTubeでの大ブレイクだった。「僕はSNSをやっていなかったので、2人がYouTubeでバズるというのは計算できませんでした。彼らの動画が人気になっている頃に僕が堀塾を作ったのですが、未来くんに『絶対にYouTubeを使ったほうがいいですよ』ってアドバイスされて、2人がコラボしてくれたことで登録者がすごく増えて、ありがたかったです(笑)」。
■「海外のメガジムの環境を日本に作る」理想は“将来の堀口恭司”を輩出できるシステム
当初は出稽古で技術を磨いていた朝倉兄弟だったが、YouTubeをはじめさまざまなビジネスを手掛けるようになって多忙となり、特に海外志向の強い海のために「練習環境を整えたい」と決意した堀氏は、2021年2月に赤坂のビルの地下にトライフォース赤坂を設立。UFCを見据えて直径9メートルという巨大なケージ(金網)を設置するため、面積はもちろん天井もかなりの高さが必要で、それが都心の一等地の赤坂となると家賃も初期費用もかなりの高額となった。
「家賃が月300万円で、最初にかかった費用は全部で2億円くらいでした。今は一般会員さんから月謝を頂いていますが、家賃や光熱費、インストラクター費用など経費のほうがかかるので、毎月ジムをやっているだけでマイナスなんですよ。ただ、僕はいくつかある本業では利益を追求していますが、格闘技は応援でやっているのでお金は採算度外視です。朝倉兄弟の才能は世界に通用するし、海くんはUFCでチャンピオンになれると本気で思っています。最初は2人でしたが『朝倉未来1年チャレンジ』で西谷大成くんやヒロヤくんが出たり、白川陸斗くんも来てくれて、ジムも盛り上がってきました。彼らを豊橋から呼んだときはこんな規模になるとは思ってもいなかったので、面白いですね」
そんなトライフォース赤坂が、この秋からJTTに生まれ変わった。その狙いは、海外のメガジムのように設備もコーチも選手も充実したジムにすることだ。「海外のメガジムで練習したほうが強くなることに反論の余地はないですが、海外に行くにはお金もかかるし、言葉や食事の問題、日本での仕事や家族の事情もあるので簡単に移住もできない。僕が選手を束縛しているということは全くなくて、朝倉兄弟も海外に行きたいなら応援したいのですが、彼らもYouTubeだけじゃなくいろんな事業をやっています。それなら日本でも海外のメガジムと同じクオリティで練習できる拠点を作ろうと」。
まず目指したのは、コーチ陣の充実化。海外のメガジムにはグラップリングコーチやボクシングコーチ、選手ごとに作戦を考えるヘッドコーチなどがいて、細分化しながら指導する。次に必要と考えたのは、レベルの高い練習仲間を集めること。この2つをキーポイントにし、元レスリング五輪代表の宮田和幸がコーチを務める「BRAVE GYM」と、元UFCファイターで現RIZINファイターである中村K太郎のジム「UNITED GYM TOKYO」との提携に至った。また、海がアメリカのジムで出稽古した際にスカウトしたエリーコーチが日本に定住し、さらに新しいレスリングコーチを海外から招聘するなど、素早い動きで優秀なコーチをそろえた。さらに、参加を希望する若い有望な選手の参加も決定している。
「現役選手の強化だけじゃなく、将来の日本格闘技界を担う選手育成のために現在週3回のキッズクラスを週6回に増やして、100〜200人くらい在籍してもらいたいですね。ゆくゆくはここでアマチュア大会も開催して、そこからRIZINやDEEPなどに選手を送りこんで、業界全体の底上げをしたい。最近はBreakingDownを目指す人が増えてきたけど(笑)、キッズからプロへのシステムを作って、このジムから“将来の堀口恭司”を何人も輩出できる環境にしていきたいです」
ジムの看板とも言える選手陣については「対戦の可能性がある選手とか、明らかに階級の合わない重い選手とかはお断りしますが、それ以外の方は広く来ていただきたいです」と門戸を広げており、加入の最終ジャッジは朝倉兄弟が選手のレベルを見て判断する。
■「朝倉海は世界一、朝倉未来は唯一無二を目指してほしい」
ジムの中心にあるのは世界基準を見据えたケージだが、国内のRIZINではリングの大会も多く、際(きわ)の攻防では求められるテクニックも異なる。大みそかにフアン・アーチュレッタとバンタム級タイトルマッチに臨む海にとって、リングで練習できる環境が必要ではないのだろうか。
この質問に堀氏は「リングを置こうかという話もありましたが、我々はケージがメインとなっている海外で勝つことに照準を合わせていて、RIZINで勝つことが目的ではないんです。もちろんRIZINを軽視しているわけではないですし、世界に行くためにはRIZINで勝つことが大事なのですが、『ケージで練習してるからリングで勝てません』なんて海外の選手は言わないですから。リングの練習が増えすぎてUFCに行って何もできないとなったら、本末転倒なので。海外基準で練習して、RIZINのリングでも勝てるっていうレベルにしたいんです」と回答した。
日本では、レスリングや柔道など世界大会で優勝する選手も多く、WBCで日本一になった野球をはじめ、海外で活躍する選手が増えてきたサッカー、世界の強豪国と互角に戦えるまで成長したラグビーやバスケットボールなど、この国には優れたアスリートやファイターを生み出す土壌がある。だからこそ、堀氏は格闘技でも世界に通用する選手を輩出したいと強く考えている。そのためには、ジムが永続していくことが何よりも大事だ。
「僕がお金を出し続けるだけだと、僕がいなくなったらジムが終わっちゃうので、50年単位で永続させるビジネスとして成り立つように、スポンサーさんを集めています。まずはケージのマットやポストのスペースを広告枠としてYouTubeで募集したら、すぐに全部が売り切れました。動画の概要欄から連絡を頂いて、僕が全部の面談を丁寧にさせていただき、スポンサーさんの求めるもの、例えばプロテインを販売したいとか、純粋に応援したいとか、自分たちもジムのコミュニティーに入りたいとか、そういったニーズに応えることで、皆さん満足してご契約してくださいました」
ケージ以外にも壁や天井から吊るすポスターなど広告枠は多数存在し、所属選手がジムでYouTubeを撮影すると、そこにロゴが映り込むなど宣伝効果は図りしれず、すでにこのジムそのものが“媒体”となって機能し始めている。ただ、ジムが注目されているのは朝倉兄弟という強さと影響力を持つ選手が所属しているからであって、彼らが引退したり、試合で結果を残せないと撤退するスポンサーも出てくるだろう。そうならないために、朝倉兄弟が現役で活躍するこのタイミングで始めて、次のスターを作り出す必要がある。そして、新しいスターに憧れてキッズが集まり、ジムの繁栄によってスポンサーも集まる。それが日本格闘技界の発展にもつながっていくと堀氏は信じており、その実現に向けて私財を投じてサポートしている。
ジムの看板選手である朝倉未来は、強さと影響力で“日本一有名な格闘家”となったが、7月の『超RIZIN.2』でヴガール・ケラモフに敗れると、現役を引退した元選手を中心に「格闘技に集中すべき」という意見が多数寄せられた。彼の格闘家としての飛躍のきっかけを作った堀氏も「UFCチャンピオンを目指すなら、格闘技に集中すべきというのはおっしゃる通りです」と認めた上で、「ただ、彼の価値観はそこにはないので、外野が価値観を押し付けるのもダメだと思います。彼は今のままで魅力が十分ありますし、自分で東京ドームでの格闘技イベントをプロデュースして自分が試合をするとかも言ってて、そんなことをできる格闘家は世界中に他にいません」と、未来の存在感と発想力を称える。
続けて「僕は格闘技の世界トップは海くんに求めていて、UFCの王者になったらこのジムをめちゃめちゃドル箱にした状態であげるって約束しているんです。海くんは世界一を目指して、未来くんは唯一無二を目指す。そんな両者とも僕は応援したいんです」と、目標は異なるものの格闘技に対してどこまでも真剣で、どこまでも楽しんでいる朝倉兄弟をサポートする喜びを嬉しそうに語った。
堀鉄平(ほり・てっぺい)
闘う弁護士。2004年10月に弁護士登録後、3年間の勤務弁護士時代を経て東京都港区にて独立開業し、現在は100社を超える大企業から中小・ベンチャー企業の債権回収業務や顧問を務める。依頼者のために相手方や裁判所と徹底して「闘う」ことを基本理念とし、所属弁護士・全事務職員にも理念を共有し、「闘いたい」と思っている依頼者の期待に応えるべく奮闘している。
HORIJUKU株式会社
https://corp.horijuku.co.jp/
UMITO
https://umito.jp/
UMITO LIFE
https://life.umito.jp/
堀塾
https://horijuku.jp/
格闘技の専門家ではない堀氏は、JTTで将来的にどんなビジョンも描いているのか。気になったORICON NEWSは堀氏にインタビューを敢行。自身のルーツや朝倉兄弟との出会い、そして日本格闘技界への思いまで、じっくりと語ってくれた。
■グレイシーに憧れて柔術の世界へ スカウトした朝倉兄弟の活躍で“計算外”が発生!?
朝倉兄弟の動画にたびたび出演し、かつては試合のセコンドも務めていたので、堀氏の顔を見たことがあるファンも多いだろう。その正体は、20年ほど前に弁護士となり弁護士事務所のオーナーを経て、現在はHORIJUKU株式会社の代表取締役として不動産投資塾「堀塾」を主宰、ホテルにもできる別荘「UMITO」の開発、多数の著書の執筆など、マルチな分野で活躍する。そして、JTTの前身の「トライフォース赤坂」のオーナーであり、現在のJTTのオーナーでもある。
格闘技との出会いは「司法試験の勉強をやってる頃にPRIDEが全盛期で、桜庭和志選手対グレイシー一族の戦いを見てグレイシーに憧れて、試験に受かってからブラジリアン柔術の道場に入りました。雇われ弁護士だった頃は立場上、あまり試合に出られなかったのですが、30歳になって事務所を独立した頃に『THE OUTSIDER』が始まって、第1回大会に申し込みました。不良たちの大会だったので、殺伐とした控室で入れ墨がないのは自分だけで(笑)、そこには現役バリバリだった瓜田純士さんもいました」。
そんな全国の喧嘩自慢の不良たちが集まる大会に、颯爽と現れたのが朝倉兄弟だった。「2人とも能力が明らかに飛び抜けていましたね。僕は最初に海くんと仲良くなって話をしていたら、地元の愛知県豊橋市で兄弟2人で練習していると。格闘技を指導してくれるジムや練習相手もいないと思ったので、僕が名古屋まで行って『東京でやったほうがいいよ』とスカウトしました。名古屋で遅くまで話していたら豊橋までの終電がなくなってしまい、当時の海くんはお金がなかったから僕のビジネスホテルで一緒に泊まったりしてました(笑)」と懐かしそうに振り返った。
堀氏は溜池山王の事務所の近くに柔術のジムを持っていたため、海にインストラクターとして採用することを提案すると、「兄貴も一緒だったら」という条件で、2017年に朝倉兄弟そろっての上京が決定した。ジムで働きながら大沢ケンジのジム「HEARTS」や高阪剛のジム「ALLIANCE」への出稽古で急激に成長した未来と海は、あっという間に国内最高峰の舞台『RIZIN』にたどり着き、連戦連勝を記録して今や日本で最も注目度を集める格闘家となった。
堀氏は朝倉兄弟の活躍について「予定通り」だったと驚かなかったが、“計算外”だったのがYouTubeでの大ブレイクだった。「僕はSNSをやっていなかったので、2人がYouTubeでバズるというのは計算できませんでした。彼らの動画が人気になっている頃に僕が堀塾を作ったのですが、未来くんに『絶対にYouTubeを使ったほうがいいですよ』ってアドバイスされて、2人がコラボしてくれたことで登録者がすごく増えて、ありがたかったです(笑)」。
■「海外のメガジムの環境を日本に作る」理想は“将来の堀口恭司”を輩出できるシステム
当初は出稽古で技術を磨いていた朝倉兄弟だったが、YouTubeをはじめさまざまなビジネスを手掛けるようになって多忙となり、特に海外志向の強い海のために「練習環境を整えたい」と決意した堀氏は、2021年2月に赤坂のビルの地下にトライフォース赤坂を設立。UFCを見据えて直径9メートルという巨大なケージ(金網)を設置するため、面積はもちろん天井もかなりの高さが必要で、それが都心の一等地の赤坂となると家賃も初期費用もかなりの高額となった。
「家賃が月300万円で、最初にかかった費用は全部で2億円くらいでした。今は一般会員さんから月謝を頂いていますが、家賃や光熱費、インストラクター費用など経費のほうがかかるので、毎月ジムをやっているだけでマイナスなんですよ。ただ、僕はいくつかある本業では利益を追求していますが、格闘技は応援でやっているのでお金は採算度外視です。朝倉兄弟の才能は世界に通用するし、海くんはUFCでチャンピオンになれると本気で思っています。最初は2人でしたが『朝倉未来1年チャレンジ』で西谷大成くんやヒロヤくんが出たり、白川陸斗くんも来てくれて、ジムも盛り上がってきました。彼らを豊橋から呼んだときはこんな規模になるとは思ってもいなかったので、面白いですね」
そんなトライフォース赤坂が、この秋からJTTに生まれ変わった。その狙いは、海外のメガジムのように設備もコーチも選手も充実したジムにすることだ。「海外のメガジムで練習したほうが強くなることに反論の余地はないですが、海外に行くにはお金もかかるし、言葉や食事の問題、日本での仕事や家族の事情もあるので簡単に移住もできない。僕が選手を束縛しているということは全くなくて、朝倉兄弟も海外に行きたいなら応援したいのですが、彼らもYouTubeだけじゃなくいろんな事業をやっています。それなら日本でも海外のメガジムと同じクオリティで練習できる拠点を作ろうと」。
まず目指したのは、コーチ陣の充実化。海外のメガジムにはグラップリングコーチやボクシングコーチ、選手ごとに作戦を考えるヘッドコーチなどがいて、細分化しながら指導する。次に必要と考えたのは、レベルの高い練習仲間を集めること。この2つをキーポイントにし、元レスリング五輪代表の宮田和幸がコーチを務める「BRAVE GYM」と、元UFCファイターで現RIZINファイターである中村K太郎のジム「UNITED GYM TOKYO」との提携に至った。また、海がアメリカのジムで出稽古した際にスカウトしたエリーコーチが日本に定住し、さらに新しいレスリングコーチを海外から招聘するなど、素早い動きで優秀なコーチをそろえた。さらに、参加を希望する若い有望な選手の参加も決定している。
「現役選手の強化だけじゃなく、将来の日本格闘技界を担う選手育成のために現在週3回のキッズクラスを週6回に増やして、100〜200人くらい在籍してもらいたいですね。ゆくゆくはここでアマチュア大会も開催して、そこからRIZINやDEEPなどに選手を送りこんで、業界全体の底上げをしたい。最近はBreakingDownを目指す人が増えてきたけど(笑)、キッズからプロへのシステムを作って、このジムから“将来の堀口恭司”を何人も輩出できる環境にしていきたいです」
ジムの看板とも言える選手陣については「対戦の可能性がある選手とか、明らかに階級の合わない重い選手とかはお断りしますが、それ以外の方は広く来ていただきたいです」と門戸を広げており、加入の最終ジャッジは朝倉兄弟が選手のレベルを見て判断する。
■「朝倉海は世界一、朝倉未来は唯一無二を目指してほしい」
ジムの中心にあるのは世界基準を見据えたケージだが、国内のRIZINではリングの大会も多く、際(きわ)の攻防では求められるテクニックも異なる。大みそかにフアン・アーチュレッタとバンタム級タイトルマッチに臨む海にとって、リングで練習できる環境が必要ではないのだろうか。
この質問に堀氏は「リングを置こうかという話もありましたが、我々はケージがメインとなっている海外で勝つことに照準を合わせていて、RIZINで勝つことが目的ではないんです。もちろんRIZINを軽視しているわけではないですし、世界に行くためにはRIZINで勝つことが大事なのですが、『ケージで練習してるからリングで勝てません』なんて海外の選手は言わないですから。リングの練習が増えすぎてUFCに行って何もできないとなったら、本末転倒なので。海外基準で練習して、RIZINのリングでも勝てるっていうレベルにしたいんです」と回答した。
日本では、レスリングや柔道など世界大会で優勝する選手も多く、WBCで日本一になった野球をはじめ、海外で活躍する選手が増えてきたサッカー、世界の強豪国と互角に戦えるまで成長したラグビーやバスケットボールなど、この国には優れたアスリートやファイターを生み出す土壌がある。だからこそ、堀氏は格闘技でも世界に通用する選手を輩出したいと強く考えている。そのためには、ジムが永続していくことが何よりも大事だ。
「僕がお金を出し続けるだけだと、僕がいなくなったらジムが終わっちゃうので、50年単位で永続させるビジネスとして成り立つように、スポンサーさんを集めています。まずはケージのマットやポストのスペースを広告枠としてYouTubeで募集したら、すぐに全部が売り切れました。動画の概要欄から連絡を頂いて、僕が全部の面談を丁寧にさせていただき、スポンサーさんの求めるもの、例えばプロテインを販売したいとか、純粋に応援したいとか、自分たちもジムのコミュニティーに入りたいとか、そういったニーズに応えることで、皆さん満足してご契約してくださいました」
ケージ以外にも壁や天井から吊るすポスターなど広告枠は多数存在し、所属選手がジムでYouTubeを撮影すると、そこにロゴが映り込むなど宣伝効果は図りしれず、すでにこのジムそのものが“媒体”となって機能し始めている。ただ、ジムが注目されているのは朝倉兄弟という強さと影響力を持つ選手が所属しているからであって、彼らが引退したり、試合で結果を残せないと撤退するスポンサーも出てくるだろう。そうならないために、朝倉兄弟が現役で活躍するこのタイミングで始めて、次のスターを作り出す必要がある。そして、新しいスターに憧れてキッズが集まり、ジムの繁栄によってスポンサーも集まる。それが日本格闘技界の発展にもつながっていくと堀氏は信じており、その実現に向けて私財を投じてサポートしている。
ジムの看板選手である朝倉未来は、強さと影響力で“日本一有名な格闘家”となったが、7月の『超RIZIN.2』でヴガール・ケラモフに敗れると、現役を引退した元選手を中心に「格闘技に集中すべき」という意見が多数寄せられた。彼の格闘家としての飛躍のきっかけを作った堀氏も「UFCチャンピオンを目指すなら、格闘技に集中すべきというのはおっしゃる通りです」と認めた上で、「ただ、彼の価値観はそこにはないので、外野が価値観を押し付けるのもダメだと思います。彼は今のままで魅力が十分ありますし、自分で東京ドームでの格闘技イベントをプロデュースして自分が試合をするとかも言ってて、そんなことをできる格闘家は世界中に他にいません」と、未来の存在感と発想力を称える。
続けて「僕は格闘技の世界トップは海くんに求めていて、UFCの王者になったらこのジムをめちゃめちゃドル箱にした状態であげるって約束しているんです。海くんは世界一を目指して、未来くんは唯一無二を目指す。そんな両者とも僕は応援したいんです」と、目標は異なるものの格闘技に対してどこまでも真剣で、どこまでも楽しんでいる朝倉兄弟をサポートする喜びを嬉しそうに語った。
堀鉄平(ほり・てっぺい)
闘う弁護士。2004年10月に弁護士登録後、3年間の勤務弁護士時代を経て東京都港区にて独立開業し、現在は100社を超える大企業から中小・ベンチャー企業の債権回収業務や顧問を務める。依頼者のために相手方や裁判所と徹底して「闘う」ことを基本理念とし、所属弁護士・全事務職員にも理念を共有し、「闘いたい」と思っている依頼者の期待に応えるべく奮闘している。
HORIJUKU株式会社
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UMITO
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UMITO LIFE
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2023/11/07