10月23日より都内(日比谷・有楽町・丸の内・銀座)で開催された「第36回東京国際映画祭」を締めくくるクロージングセレモニーが11月1日、TOHOシネマズ日比谷で開催された。
映画祭のメイン部門「コンペティション部門」の最高賞「東京グランプリ/東京都知事賞」には、今年5月に53歳で急逝したペマ・ツェテン監督の『雪豹』(中国)が選ばれた。チベットや中央アジアに棲息する雪豹を題材に、自然と人間の関係を問いかける作品。国際審査委員長を務めたドイツ出身の映画監督、ヴィム・ヴェンダースは、ペマ・ツェテン監督へ哀悼の意を表しつつ、「チベット語でゴージャスな風景、ユーモラスな演技、デジタル加工した部分もあるとはいえ、素晴らしい動物を見せてくれました」と称賛した。
審査委員特別賞は、米国系イスラエル人のガイ・ナッティヴとイラン人のザル・アミールが初めて共同監督を務めた『タタミ』(ジョージア、アメリカ)が受賞した。イスラエル選手との対戦を避けるため、イラン政府から棄権を強要された女子柔道選手とコーチとの葛藤を描いた作品。ザル・アミール監督はコーチ役で出演もしており、最優秀女優賞も受賞した。
イランからビデオメッセージを寄せたザル・アミール監督は、イスラエル・パレスチナ情勢に言及しつつ、「この映画は憎しみ合うよう育てられた人々の奇跡的な組み合わせにより生まれた物語です。イスラエルとイランの監督が一緒に仕事するのはとても大変なことです。あらゆる困難を乗り越えて初めて団結し、歴史を作ることになるのです。しかし映画が公開された時は歴史がこのように動くとは思っていませんでした。この映画にひとつの力があるとすれば、それは闇の時代に光と戯れることでしょう」と語り、会場では拍手が沸き起こった。
映画祭に参加し、一足先に帰国したガイ・ナッティヴ監督も「困難な状況の中で生きている私たち全員にとって、それがどれほど重要なことなのかを理解してくれたことに感謝します」とメッセージを寄せた。
最優秀監督賞は、『正欲』の岸義幸監督が受賞。長編映画4作目の岸監督は「名誉ある賞いただけて、これからの励みになります。この映画では、すべての人が自由で自分を偽らずに生きていける社会とは何か、ということを問いかけています。日本のみならず世界中が自分のアイデンティティを確立するのがなかなか難しい時代です。この映画を観て“多様性”の意味を考えていただけたらうれしいです」と喜びのスピーチ。同映画は観客賞も受賞し、「主演の稲垣吾郎さん、そして新垣結衣さん、磯村勇斗さん、ほか、出演者の皆さんに感謝いたします」と伝えていた。
今回のコンペティションは、2023年1月以降に歓声した長編作品を対象に、114(昨年:107)の国と地域から1942(同:1695)作品のエントリーがあり、厳正な審査を経た15本の作品が期間中に上映された。
国際審査委員は、ヴェンダースのほかに、アルベルト・セラ(スペインの映画監督)、國實瑞惠(プロデューサー)、チャン・ティ・ビック・ゴック(ベトナム出身のプロデューサー)、チャオ・タオ(中国出身の俳優、プロデューサー)が務め、「満場一致ですべての賞を選ぶことができました」(ヴェンダース監督)と充実した表情を見せていた。
クロージング作品の『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督、主演の神木隆之介、共演の浜辺美波も登壇。山崎監督は「東京国際映画祭のクロージングは毎年毎年ゴジラ、最新作が最速で見られるのが東京国際映画祭、という時代がありました。久しぶりにゴジラが東京国際映画祭のクロージングが飾れること、憧れていた先輩たちと同じ映えある場所で観ていただけることを光栄に思います」と感無量の様子だった。
閉会のあいさつで安藤裕康チェアマンは、10日間の上映動員数が前回比125.7%の約5万9541人、関連イベントの参加人数を加えると前回と比べ25%増の約7万人以上(7万3081人)が来場。海外からも2000人ちかく(前年104人、1923%増)のゲストが訪れたことを報告していた。
■受賞結果
東京グランプリ/東京都知事賞:『雪豹』(監督:ペマ・ツェテン/中国)
審査委員特別賞:『タタミ』(監督:ザル・アミール、ガイ・ナッティヴ/ジョージア、アメリカ)
最優秀監督賞:岸善幸(『正欲』/日本)
最優秀女優賞:ザル・アミール(『タタミ』/ジョージア、アメリカ)
最優秀男優賞:ヤスナ・ミルターマスブ(『ロクサナ』/イラン)
最優秀芸術貢献賞:『ロングショット』(監督:ガオ・ポン/中国)
観客賞:『正欲』(監督:岸善幸/日本)
アジアの未来 作品賞:『マリア』(監督:メヘディ・アスガリ・アズガディ/イラン)
Amazon Prime Videoテイクワン賞:『Gone With The Wind』(監督:ヤン・リーピン/中国)
Amazon Prime Video審査員特別賞:『ビー・プリペアード』(監督:安村栄美/日本)
エシカル・フィルム賞:『20000種のハチ(仮題)』(監督:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン)
黒澤明賞:グー・シャオガン、モーリー・スリヤ
特別功労賞:チャン・イーモウ
映画祭のメイン部門「コンペティション部門」の最高賞「東京グランプリ/東京都知事賞」には、今年5月に53歳で急逝したペマ・ツェテン監督の『雪豹』(中国)が選ばれた。チベットや中央アジアに棲息する雪豹を題材に、自然と人間の関係を問いかける作品。国際審査委員長を務めたドイツ出身の映画監督、ヴィム・ヴェンダースは、ペマ・ツェテン監督へ哀悼の意を表しつつ、「チベット語でゴージャスな風景、ユーモラスな演技、デジタル加工した部分もあるとはいえ、素晴らしい動物を見せてくれました」と称賛した。
審査委員特別賞は、米国系イスラエル人のガイ・ナッティヴとイラン人のザル・アミールが初めて共同監督を務めた『タタミ』(ジョージア、アメリカ)が受賞した。イスラエル選手との対戦を避けるため、イラン政府から棄権を強要された女子柔道選手とコーチとの葛藤を描いた作品。ザル・アミール監督はコーチ役で出演もしており、最優秀女優賞も受賞した。
イランからビデオメッセージを寄せたザル・アミール監督は、イスラエル・パレスチナ情勢に言及しつつ、「この映画は憎しみ合うよう育てられた人々の奇跡的な組み合わせにより生まれた物語です。イスラエルとイランの監督が一緒に仕事するのはとても大変なことです。あらゆる困難を乗り越えて初めて団結し、歴史を作ることになるのです。しかし映画が公開された時は歴史がこのように動くとは思っていませんでした。この映画にひとつの力があるとすれば、それは闇の時代に光と戯れることでしょう」と語り、会場では拍手が沸き起こった。
映画祭に参加し、一足先に帰国したガイ・ナッティヴ監督も「困難な状況の中で生きている私たち全員にとって、それがどれほど重要なことなのかを理解してくれたことに感謝します」とメッセージを寄せた。
最優秀監督賞は、『正欲』の岸義幸監督が受賞。長編映画4作目の岸監督は「名誉ある賞いただけて、これからの励みになります。この映画では、すべての人が自由で自分を偽らずに生きていける社会とは何か、ということを問いかけています。日本のみならず世界中が自分のアイデンティティを確立するのがなかなか難しい時代です。この映画を観て“多様性”の意味を考えていただけたらうれしいです」と喜びのスピーチ。同映画は観客賞も受賞し、「主演の稲垣吾郎さん、そして新垣結衣さん、磯村勇斗さん、ほか、出演者の皆さんに感謝いたします」と伝えていた。
国際審査委員は、ヴェンダースのほかに、アルベルト・セラ(スペインの映画監督)、國實瑞惠(プロデューサー)、チャン・ティ・ビック・ゴック(ベトナム出身のプロデューサー)、チャオ・タオ(中国出身の俳優、プロデューサー)が務め、「満場一致ですべての賞を選ぶことができました」(ヴェンダース監督)と充実した表情を見せていた。
クロージング作品の『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督、主演の神木隆之介、共演の浜辺美波も登壇。山崎監督は「東京国際映画祭のクロージングは毎年毎年ゴジラ、最新作が最速で見られるのが東京国際映画祭、という時代がありました。久しぶりにゴジラが東京国際映画祭のクロージングが飾れること、憧れていた先輩たちと同じ映えある場所で観ていただけることを光栄に思います」と感無量の様子だった。
閉会のあいさつで安藤裕康チェアマンは、10日間の上映動員数が前回比125.7%の約5万9541人、関連イベントの参加人数を加えると前回と比べ25%増の約7万人以上(7万3081人)が来場。海外からも2000人ちかく(前年104人、1923%増)のゲストが訪れたことを報告していた。
■受賞結果
東京グランプリ/東京都知事賞:『雪豹』(監督:ペマ・ツェテン/中国)
審査委員特別賞:『タタミ』(監督:ザル・アミール、ガイ・ナッティヴ/ジョージア、アメリカ)
最優秀監督賞:岸善幸(『正欲』/日本)
最優秀女優賞:ザル・アミール(『タタミ』/ジョージア、アメリカ)
最優秀男優賞:ヤスナ・ミルターマスブ(『ロクサナ』/イラン)
最優秀芸術貢献賞:『ロングショット』(監督:ガオ・ポン/中国)
観客賞:『正欲』(監督:岸善幸/日本)
アジアの未来 作品賞:『マリア』(監督:メヘディ・アスガリ・アズガディ/イラン)
Amazon Prime Videoテイクワン賞:『Gone With The Wind』(監督:ヤン・リーピン/中国)
Amazon Prime Video審査員特別賞:『ビー・プリペアード』(監督:安村栄美/日本)
エシカル・フィルム賞:『20000種のハチ(仮題)』(監督:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン)
黒澤明賞:グー・シャオガン、モーリー・スリヤ
特別功労賞:チャン・イーモウ
2023/11/01