来年(2024年)の正月に向けたデパート各社のおせち商戦が早くも始まった。「大丸・松坂屋」は8月29日に都内で「おせち発表会」を開き、主力の特別企画・厳選おせちなどを披露した。昨年は同社がデパート各社の中で最も早く発表会を実施したが、今年はライバルの「高島屋」(※高=はしごだか)と「松屋銀座」が前日の28日に発表会を開くなど、抜きつ抜かれつの競い合いで、各社とも「おせち商戦」にかける意気込みのほどがうかがわれる。
2020年以降、巣ごもり需要が拡大し、年末年始を自宅で過ごす人が増えたことにより、大丸・松坂屋ではこの5年間(19年〜23年)でおせちの売り上げは右肩上がりの27%増となった。しかし、23年の売り上げは行動制限の緩和にともない人流が回復したことにより微増にとどまり、来年は踏ん張りどころだ。同社では「家族で集う」をテーマに、冷凍おせちを強化し、対前年比プラス5%の売り上げ目標を掲げた。なお、同社の23年のおせち全体の平均客単価は2万4000円だった。
■冷凍技術の飛躍的な進歩により急成長
コロナ禍以降、おせちの購入方法は店頭からオンライン(EC)へ、また「生」より全国配送も可能な「冷凍」への変化が著しい。帰省する代わりにおせちを贈る新習慣が生まれ、自家需要に加えて贈り物としてのニーズが年々高まっている冷凍おせちは、大丸・松坂屋でも19年の実績と比較して23年は272%増と急成長。それでも「冷凍おせちの分野では競合の高島屋さんや三越伊勢丹さんの後塵を拝している」と、同社のフーズ(おせち料理)担当・柴田智氏は「冷凍おせちの強化」を打ち出す。
「物流の問題を考えてもお届け日を分散して全国配送(※沖縄県・離島を除く)できるメリットは大きい。冷凍技術の飛躍的な進歩によって、品質も十分に担保できるようになってきた」と、冷凍おせちの取り扱い数を前年より7点増やし、計43点をラインナップ。6年連続売り上げNo.1の料理研究家・大原千鶴監修による冷凍おせちも初登場する。生おせちの売り上げは微減を見込む一方で、冷凍おせちに関しては対前年比プラス20%の売り上げを目指す。
■消費者の多様なニーズに対応
また、原料高騰など値上げ要因が日々増していく中、同社では定番・売れ筋である人気料亭やホテルが手がける「厳選おせち」については、価格を据え置きして販売することも決めた。一方で、人気料理研究家や有名店の料理人による高い付加価値のある商品を企画し、他社との差別化を図りつつ、富裕層向けのおせちを充実させるなどメリハリをつけて乗り切る構えだ。
特別企画には、ワインのおつまみ研究家・大原みちこ監修の「みちこのおつまみ宝石箱」(2人用、1万6800円※税込、以下同)、酒場詩人・吉田類監修の「おつまみ玉手箱 2024」(2人用、1万6800円)、世界的グルメガイドで一つ星獲得の名店・銀座ふじやま監修の「和風おせち 一段(お雑煮・ばちこ付き)」(2人用、3万4800円)、予約が取れない人気店・銀座しのはらが初監修した「迎春セット」(1万6200円)など。
発表会の会場で、ひときわ存在感を放っていたのは、徳川美術館×大学名誉教授監修の「和風おせち」(4人用、2万7800円)。徳川家康の着物の柄をデザインした重箱をオリジナルで制作し、江戸時代に記された文献から大名家の伝統の正月料理を一部再現した。重箱はプラスチック製でおせちを食べ終わった後も利用できる。
また、三世代で楽しめるように、4〜5人向けの四段重の商品を増やす一方、歯茎でつぶせるやわらかさで、おいしさはそのままの介護食おせち「やわらかおせち 和風 一段」(1〜2人用、1万1556円)や「ミニオン」のキャラクターおせち(3人用、1万9980円)といった世代を絞った商品も新たに取りそろえた。
消費者の志向や多様化するニーズに合わせ、現代のおせち料理はまさに百花繚乱。大丸松坂屋百貨店取締役兼常務執行役員の加藤俊樹氏は「高付加価値のものをいかに新しく提案するかが大事であることに加え、おせちに関しては日本の大切な伝統、生活文化を百貨店がお客様に提案し続けるという高い使命感を持って取り組んでいきたい」と話していた。
大丸・松坂屋のおせちはオンラインで9月22日午後2時〜、店頭では10月1日から予約の受け付けを開始する。
2020年以降、巣ごもり需要が拡大し、年末年始を自宅で過ごす人が増えたことにより、大丸・松坂屋ではこの5年間(19年〜23年)でおせちの売り上げは右肩上がりの27%増となった。しかし、23年の売り上げは行動制限の緩和にともない人流が回復したことにより微増にとどまり、来年は踏ん張りどころだ。同社では「家族で集う」をテーマに、冷凍おせちを強化し、対前年比プラス5%の売り上げ目標を掲げた。なお、同社の23年のおせち全体の平均客単価は2万4000円だった。
■冷凍技術の飛躍的な進歩により急成長
コロナ禍以降、おせちの購入方法は店頭からオンライン(EC)へ、また「生」より全国配送も可能な「冷凍」への変化が著しい。帰省する代わりにおせちを贈る新習慣が生まれ、自家需要に加えて贈り物としてのニーズが年々高まっている冷凍おせちは、大丸・松坂屋でも19年の実績と比較して23年は272%増と急成長。それでも「冷凍おせちの分野では競合の高島屋さんや三越伊勢丹さんの後塵を拝している」と、同社のフーズ(おせち料理)担当・柴田智氏は「冷凍おせちの強化」を打ち出す。
「物流の問題を考えてもお届け日を分散して全国配送(※沖縄県・離島を除く)できるメリットは大きい。冷凍技術の飛躍的な進歩によって、品質も十分に担保できるようになってきた」と、冷凍おせちの取り扱い数を前年より7点増やし、計43点をラインナップ。6年連続売り上げNo.1の料理研究家・大原千鶴監修による冷凍おせちも初登場する。生おせちの売り上げは微減を見込む一方で、冷凍おせちに関しては対前年比プラス20%の売り上げを目指す。
■消費者の多様なニーズに対応
また、原料高騰など値上げ要因が日々増していく中、同社では定番・売れ筋である人気料亭やホテルが手がける「厳選おせち」については、価格を据え置きして販売することも決めた。一方で、人気料理研究家や有名店の料理人による高い付加価値のある商品を企画し、他社との差別化を図りつつ、富裕層向けのおせちを充実させるなどメリハリをつけて乗り切る構えだ。
特別企画には、ワインのおつまみ研究家・大原みちこ監修の「みちこのおつまみ宝石箱」(2人用、1万6800円※税込、以下同)、酒場詩人・吉田類監修の「おつまみ玉手箱 2024」(2人用、1万6800円)、世界的グルメガイドで一つ星獲得の名店・銀座ふじやま監修の「和風おせち 一段(お雑煮・ばちこ付き)」(2人用、3万4800円)、予約が取れない人気店・銀座しのはらが初監修した「迎春セット」(1万6200円)など。
発表会の会場で、ひときわ存在感を放っていたのは、徳川美術館×大学名誉教授監修の「和風おせち」(4人用、2万7800円)。徳川家康の着物の柄をデザインした重箱をオリジナルで制作し、江戸時代に記された文献から大名家の伝統の正月料理を一部再現した。重箱はプラスチック製でおせちを食べ終わった後も利用できる。
また、三世代で楽しめるように、4〜5人向けの四段重の商品を増やす一方、歯茎でつぶせるやわらかさで、おいしさはそのままの介護食おせち「やわらかおせち 和風 一段」(1〜2人用、1万1556円)や「ミニオン」のキャラクターおせち(3人用、1万9980円)といった世代を絞った商品も新たに取りそろえた。
消費者の志向や多様化するニーズに合わせ、現代のおせち料理はまさに百花繚乱。大丸松坂屋百貨店取締役兼常務執行役員の加藤俊樹氏は「高付加価値のものをいかに新しく提案するかが大事であることに加え、おせちに関しては日本の大切な伝統、生活文化を百貨店がお客様に提案し続けるという高い使命感を持って取り組んでいきたい」と話していた。
大丸・松坂屋のおせちはオンラインで9月22日午後2時〜、店頭では10月1日から予約の受け付けを開始する。
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2023/09/03