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「あとで迎えに来ます」置き去りになった猫はどうなる? 飼い主の困窮、病気、死…備えるべき“もしも”

 飼育されている猫の数は、2022年で883万頭超(一般社団法人ペットフード協会調べ)。平均寿命は15.62歳となり、2010年以来伸びているという。長く生活を共にするだけに、「もし自分に何かあったら…」と心配する飼い主も多いだろう。実際、飼い主の病気や死亡、経済的な理由で行き場をなくす猫は多いと、NPO法人『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏は語ってきた。これまでの事例を振り返りつつ、飼い主がすべき準備を考えたい。

飼い主が亡くなり、家族に置き去りにされた猫(写真:ねこけんブログ)

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■亡くなった飼い主、他の家族は猫を置いて引っ越した

 かめちゃんは、12歳をゆうに超えた老猫。ある家の世帯主に飼われていたが、その人が亡くなってしまったという。本来であれば、それ以外の家族が引き取ってくれそうなものだが、彼らはそうすることなく引っ越していった。

 もともと中外自由に飼われていたが、真菌(カビの一種)を抱えた老猫が外で生きていけるとは思えなかった。そこで、近隣ボランティアたちが、保護をしようと奮闘。つてをたどり、かめちゃんはなんとか安息の場を得ることができたそうだ。このかめちゃんのように、飼い主の都合で「飼えなくなった」「引き取ってほしい」という依頼は、とても多いという。

 「コロナ禍の影響で職を失い、お金がなくなって安い物件に移り住む人が増えました。でも、新たな住まいはペット不可で『引き取って』という依頼はよくあります。ほかにも、困窮して猫の医療費はとても払えない、という人も。なかなかそういった事例は減りません」

 そしてもう一つ、深刻なのが高齢化の影響だ。飼い主が亡くなると、猫たちの行き場がない。これは決して貧困層だけの話ではなく、「裕福な方で『老人ホームに入るから飼えなくなった』という依頼も多い」という。

■一人暮らしの飼い主が入院、“もしも”のときに猫を守る準備を

 もう一例、マロンの飼い主は精神科の病院に入院。「病院から連絡があり、飼い主の方の鍵を渡してもらって保護した」という。引き取りに行ったとき、部屋はエアコンが付いていたため、猫の健康状態に問題はなかったことが不幸中の幸いだった。

 「入院に何ヵ月もかかってしまえば、猫を放置することもできません。ただその方は手持ちが2万円しかなく、ペットシッターさんに頼むこともできない。本人はマロンを手放す気はまったくないとのことですが、今後、同じ状況にもなりかねません」

 猫を飼う際は必ず、猫を預かってくれる人の確保が必要だ。とくに一人暮らしの場合、いつ何が起こるかわからないため、後見人は必須。最近では、飼い主に何かがあったときに、ペットを飼っていることを知らせるため緊急情報カードなども商品化されている。もし入退院を繰り返す可能性があるならば、勇気を持って保護団体にゆだねる選択もあるだろう。

差し押さえにあった猫(写真:ねこけんブログ)

差し押さえにあった猫(写真:ねこけんブログ)

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 飼い主の50代男性は、仕事がうまくいかずに借りていた部屋は強制退去。持ち物も、法律上は“物”と位置付けられる飼い猫2匹も差し押さえられたという。週に一度アルバイトをしているため生活保護も受けられず、ついにはホームレス状態となってしまった。

 「本来なら愛護センターに連れていかれるそうですが、差し押さえた荷物を一旦、保管する強制執行補助業者の方が、ご好意で2匹を倉庫に預かってくれていました。普通は1週間くらいでセンターに引き渡されてしまうそうです」

 愛護センターに引き渡されるということは、譲渡される場合もあるが、殺処分される可能性もあるということ。このように、飼い主の強制退去や猫を残した引っ越しなどにより、愛護センターに送られる猫はかなりの数に上る。差し押さえられた猫を「あとで迎えにきます」と言う飼い主もいるが、ほとんどはそのままになってしまうのが実情だそうだ。

 これ以降も『ねこけん』では、この強制執行補助業者から多くの猫を保護。差し押さえ物件から、瀕死の状態で救われた猫もいる。もちろん、飼い主自身も猫を手放したかったわけではないだろうが、困窮する前になにかできることはあったのではないだろうか。

 病気や事故、死亡、経済状況の悪化などは、飼い主が望んだことではないとはいえ、もしも共に生きている動物がいるのなら、“その後”を考えるのが責務だろう。人間の都合で野放しにされたり、殺処分の危機に瀕したりするのは、あまりに悲しいことだ。「限界になる前に、先々の準備をしてほしい」。様々なつらい事例を見てきた『ねこけん』の切実な願いだ。

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  • 飼い主が亡くなり、家族に置き去りにされた猫(写真:ねこけんブログ)
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