アイドルをやめた2人の女の子と、これからやめる1人の女の子。20代の女性たちが持つ揺れ動く心情や葛藤を、「アイドル」という夢と挫折が交錯する世界を通して描き出す映画『ファンファーレ』が11月17日より東京・渋谷シネクイントほか全国で公開される。発表された出演キャストと監督のコメントは下段に掲載。

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　『スプリング、ハズ、カム』（2015年）や『君は永遠にそいつらより若い』（21年）など、心情の機微をリアルに描くことで定評のある吉野竜平監督が、脚本をはじめ劇中に登場するアイドルの楽曲・衣装・振付など、完全オリジナルにこだわって制作された。

　主人公は、アイドルグループ・Fun☆ファーレにいた万理花と玲。2人はグループ卒業後、振付師とスタイリストの道へ進んでいた。そんなある日、かつての仲間だった現Fun☆ファーレメンバーの由奈から、卒業ライブのために振付と衣装を担当して欲しいと声がかかる。

　自分の夢や現実と向き合っている日々のなかで突然やって来たチャンス。しかし追いつかない技術や、決して良好ではなかった過去の関係により衝突が発生する…。それでも自分と向き合って前に進もうとする彼女たちの姿を、準備期間からライブ当日まで追いかける。

　主人公を演じるのは、ともに映画初主演となる水上京香と野元空。水上はアイドルグループ・Fun☆ファーレの初代リーダーで、振付師になるべくグループを脱退しダンススクールでバイト三昧の日々を送る大石万理花役。野元はFun☆ファーレの元センターで、服飾の道に進むべくグループを脱退し、現在は衣装制作会社勤務の須藤玲役を演じる。

　現在のFun☆ファーレとして、間もなく卒業公演を控える現リーダーの西尾由奈役に喜多乃愛。そのほかのFun☆ファーレのメンバーは、次期リーダーの武地凛役に橋口果林、現センターの有川桜子役に松崎未夢、ダンス担当の辻千波役に白井美海、最年少メンバーの尾関あずさ役に外原寧々らが出演する。

■水上京香（大石万理花役）のコメント

　今回、初めて会ったとは思えないほどの絆を感じた元Fun☆ファーレメンバーと過ごした時間はとても濃厚でした。約10日間という限られた撮影期間の中で、皆んなで同じ方向を向き、一致団結して臨んだ、一人ひとりの思いは、完成した作品にしっかりと映し出されていると思います。吉野監督が描きたいとおっしゃっていた、アイドルであり一人の女の子たちの、普段表には見せない姿もたくさん描かれています。ぜひ劇場で。皆さまの明日への希望になれるよう願っています。

■野元空（須藤玲役）のコメント

　自分の今までの人生と重なる部分が多い作品でした。なので、出演が決まった時本当にうれしかったです。思い通りにいかないもどかしさ、それでもどうしてもあきらめられない夢、気づけないほど小さな苦しさがゆるやかに積み重なっていく感じは、きっと重なるものがあると思います。『須藤玲』こんなにも愛おしく、大切な役に出会えてよかったです。たくさんの方に観ていただきたいです。

■喜多乃愛（西尾由奈役）のコメント

　今回、この『ファンファーレ』を通して、作品づくりの楽しさ、素晴らしさを改めて身に染みて感じました。ただの日常だけど、その中に無数にある、感情の芽にフォーカスを当てた作品になっています。未熟さも、抗えない運命も全部受け入れて前を向いてただ進んでいく。私自身もこの作品に出会って、前よりも少しだけ自分を愛せるようになった気がします。この作品を産み、出会わせて下さった吉野監督に感謝しかありません。たくさんの方にぜひ、届いてほしいです！

■橋口果林（武地凛役）のコメント

　この作品はアイドルとして駆け抜けてきた少女たちの葛藤がリアルに映されていて、私自身脚本にすごくひき込まれた作品です。凛役として出演できたことを本当にうれしく思います。今回スポットライトが当たっている3人以外のメンバーにも、1人1人にバックボーンや思いがあることを感じていただけたらと思います。凛としてファンファーレのメンバーと過ごせた時間は、少女であり、アイドルの端くれであり、たくさんの気づきと宝物を見つけることが出来た大切な時間でした。私が出演している時間は短いものではありますが、私たちファンファーレをよろしくお願いいたします。

■松崎未夢（有川桜子役）のコメント

　『ファンファーレ』は、私自身すごく大切な作品となりました。映画の経験が少なく、また今回アイドルの役だったのですが、ダンス経験もほぼ無くて、踊って歌うとなると、ついていけるのかとても不安でした。ダンスや歌のレッスンが始まり、ほかのキャストの皆さんが踊れているところも難しくてなかなかクリア出来なかったりと、改めて自分は人一倍練習しなきゃという焦る気持ちでいっぱいでした。ですが、指導の先生方やキャストの皆さんが、私が出来るようになるまで教えてくれて、無事に撮影を終えることができました。

　『ファンファーレ』は芝居やダンス、歌など、たくさんの方のおかげで自信が持てるようになった作品です。この作品は私が今まで見てきた映画とは一味違うドキュメンタリーに近いようなリアリティがあり、完成した作品を見て、なんだか本当にFun☆ファーレというグループがあって、リアルに経験してきているんじゃないかと錯覚するぐらいです。そんなリアリティがあるからこそ、今の自分に悩んでいる方やこれからの人生に少し不安を抱いている方、アイドルが好きな方、たくさんの人に見ていただきたい作品です。

■白井美海（辻千波役）のコメント

　私にとってこの作品に参加させていただけた事は、とても大きな一歩となりました。現場では自然に演技をする事、いかにその空間に千波として、そして私としていられるか、周りの皆さんに助けてもらいながら、撮影に参加させていただきました。すてきな歌と、踊りにも、巡り合わせていただいた事もとても幸せでした。寄り添ってくださる素敵なSTAFFの皆さんや、役者の皆さんとお芝居をさせていただいた事もとても光栄でした。

■外原寧々（尾関あずさ役）のコメント

　吉野監督の作品に出演したいという目標を持っていたので、決まった時はとてもうれしかったです。私が最年少でしたが、皆さんとても優しくしてくださり、活気溢れる方ばかりで楽しかったです。私演じるあずさは少々ミステリアスな子なので、表情や目の変化にも注目して観ていただけたらうれしいです。それぞれが自分のやりたい事や課題と向き合い、夢を追いかけるメンバーの青春を描いた作品となっております。ぜひ劇場でご覧ください！！

■吉野竜平監督

　アイドルをやめた2人の女の子がいて、これからやめる1人の女の子がいる、という、ただそれだけの映画です。彼女たちのように大抵の人が人生の中で何かをやめて、あきらめて、生きているのではないでしょうか。それは例えば野球やサッカーのようなスポーツだったり、音楽や芝居であったり、小説や漫画を書く、みたいなものだったりするかもしれません。やめるという選択がいいとか悪いとかを超越して、次に進むために何かをやめる覚悟を決めた人の強くて静かな輝きのようなものを描きたくて創りました。応援していただけたらうれしいです。