お笑いコンビ・ペナルティが19日、東京・新宿のルミネtheよしもとの公演に出演。約1年2ヶ月ぶりの劇場出番を果たした。ORICON NEWSでは、出番を終えた直後の2人を直撃。「ホーム」と語るルミネtheよしもとの温かさ、まさかのネタ合わせなしのぶっつけ本番で挑んだ裏話なども語ってくれた。

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■まさかのネタ合わせなしで、ぶっつけ本番　ヒデが暴露「もはや外タレです」

　ワッキー（50）が2020年6月に初期の中咽頭がん（ステージ1）と診断されて休養、治療を経て、21年3月に仕事復帰。しかし、体調が戻らず、同年6月から再び休養した。同年12月に復帰したものの22年4月から舞台を控え、約1年間2ヶ月空いて今回復帰となった。19日は、コント「ハウスクリーニング」を披露。ヒデ（52）がステージに上がり、その後、ワッキーが登場すると大きな歓声が。コントのツッコミでは、ヒデがワッキーにスリッパを豪快にフルスイング。久しぶりの強烈なツッコミにワッキーは「いつもより痛いな」とキャラを忘れて慌てる一幕が。それでも、アドリブ満載で爆笑を取り続けて観客をわかせた。

――1年2ヶ月ぶりの劇場出番で、強烈なツッコミで会場は大爆笑でした。
【ヒデ】もちろん今年初ですし、久しぶり過ぎて力加減がわからなくて（笑）。下手したら訴えられるレベルのツッコミをしてしまいました。音はよくてウケたんですけど、これからギスギスするんじゃないかと心配です。

【ワッキー】うれしかったですよ、本当に。

――続く出番だった博多華丸・大吉の大吉さんは「病み上がりにやるツッコミじゃない」と話して、華丸さんも「高校の先輩と後輩が出た」と笑っていました。
【ヒデ】確かに（笑）。華大さんにも「面白かったよ」と言ってもらえました。後輩たちも見てくれて気合いが入りましたし、楽しくデキました。

【ワッキー】1年2ヶ月ぶりにネタをルミネtheよしもとでやったんですけど、ネタ合わせを全くやらなかったという…。

【ヒデ】きょう、僕は（出番2時間前の）11時台に劇場に入っているんです。かかっていて。（ワッキーを指差して）ギリギリですよ！カッコいい。大御所。もはや外タレですよ（笑）。来てくれてよかったよ。

【ワッキー】ネタ合わせしてもよかったんですけど、しないでやってみたらシビれるかなって思って。かなりシビれましたね。

【ヒデ】終わってからスタッフさんから声を掛けられて、拍手もいただきました。単独ライブ以来じゃないかな（笑）。やっぱりルミネはホームだなと思いました。

――ワッキーさんは、なぜギリギリに…。
【ワッキー】楽屋の外にはいたんですよ。でも、ヒデさんは楽屋を自分の城にするから…。城を汚しちゃいけないと思って。

【ヒデ】気を使ってくれたのね（笑）。ありがとうございます。

――ネタ合わせをしなくとも、あうんの呼吸でした。
【ヒデ】手前味噌ですけど、カチッとスイッチが入りました。遊び心も持っておきたいので、アドリブも（笑）。コンビの楽しいところでした。

【ワッキー】なんせ、いいお客さんだったので。このコントは変顔で出ていくのでビジュアル的にダメなお客さんの時は引いちゃうんです。引いたところからネタやるので大変なんです。でも、きょうのお客さんは笑ってくれたので。「これは気持ちよくできるな」と「アドリブを入れても楽しくできるんじゃ」と思いました。

【ヒデ】でも、平日のお昼にほぼ満席はありがたいですよね。

――劇場で出番がない期間が1年2ヶ月に及ぶとは思っていませんでしたか？
【ワッキー】僕の体調の部分があった。1年掛からないだろうなと思っていたんですけど、気がついたら1年2ヶ月経っていた。そんなに経っているイメージはありませんでした。ヒデさんは待たせてしまっていたので、長く感じさせてしまったかもしれないですけど。

【ヒデ】ボケありきのコンビなので、待つしかなかった。でも、相方が100％を出せるのであればやる。80％でやっても、お客さんやスタッフにも失礼。きょうやってみて待った甲斐はあったなと思いました。大御所アーティストのニューアルバムぐらい待ちましたけど（笑）。でも、元気だったので。喉の手術をして、唾液がなかなか出ない。きょうは声も出たので、安心してできました。

――このタイミングでやろうとなったのは。
【ワッキー】劇場の仕事以外もちょっとずつやるようになってきた。マネージャーと話し合いをして。劇場は「あした出ましょう！」と出られるものではないので、4月と5月は改装でルミネがやっていなかったこともあり、3ヶ月前ぐらいから話し合いをしていました。

【ヒデ】その話を聞いた時はうれしかったです。劇場ありき。出番の10分間は自分たちの楽しい時間ですし、コンビの確認ができる時間でもありますし。ルミネtheよしもと以外にも、全国にたくさんの劇場がありますけど、遠いところは体力的にも厳しかったりもするので、ホームから、ということになりました。

【ワッキー】劇場で仕事ができて初めて復帰と思っていました。劇場でネタができて初めてバラエティに出られるのかなという、ものさしもありました。

【ヒデ】ギャグとかもありますけど、劇場で10分間お客さんの前でちゃんとしっかり出し切れるようじゃないと、バラエティのスタジオでは大惨事になるので（笑）。ここから少しずつ。僕は、よしもとの芸人が劇場に立ってナンボだと思うんです。超売れっ子の忙しい方も出ている。よしもとにいる以上、劇場は大前提ですね。

■50歳でも動きで笑わせる「『しょうがないでしょ』にはなりたくない」

――そんな劇場に復帰したことで、先にビジョンも見えてきた部分があると思います。
【ワッキー】ネタの中でムーンウォークをするシーンがあるんですけど、きょう久しぶりにやったら出来が悪かった。

【ヒデ】そこ？（笑）

【ワッキー】お客さんには気づかれない程度なんですけど。マイケルじゃなかったです。50歳を過ぎて、動きのネタにキレがなくなってきたかもしれないけど「50歳過ぎたからしょうがないでしょ」にはなりたくないです。

【ヒデ】カズさん（三浦知良／56）もまだ現役やってるしね。

【ワッキー】カズさんやっている以上は！

【ヒデ】一緒のフィールドにするなよ（笑）。

【ワッキー】体を鍛え直さなきゃいけないなと思いました。

【ヒデ】でも、お客さんがほっこりした顔をしたのを見て、早く次の出番が来ないかなと思いました。まだ、博多の劇場（よしもと福岡 大和証券／CONNECT劇場）も立ったことがないので、出てみたいですね。新しい劇場もできるので、楽しみになってきました。

――劇場に出られなかった期間で支えになったものは。
【ワッキー】Jリーグですかね。

【ヒデ】チョコプラ（チョコレートプラネット）とか、もう中（もう中学生）のネタにも救われたんでしょ？

【ワッキー】がんで入院していた時は、ネタをパソコンで見ていました。もう中学生には、いきなり電話をして「曲できたらしいじゃん」と言ってオリジナルの曲を歌ってもらってましたね。

【ヒデ】完璧にパワハラです（笑）。これで死なれたらと思って断れないし、全力でやらざるを得ないし（笑）。

【ワッキー】でも、めっちゃ笑ったんです。がんでキツい時なのに。こんなにキツい時に人間は何を求めるかといったら笑いを求めるんだなと実感しました。もう中学生には本当に助けられました。

――2人での連絡は？
【ヒデ】これを機にLINEを始めましたから。スタンプをやたら送ってくるんですよ…。

【ワッキー】逆に送ってこいよ！（笑）

【ヒデ】僕が好きな『ゴルゴ13』のスタンプとか寄せてくるんですよ。もちろん無視します（笑）。既読が付けばいいかなと思って。「これが既読スルーか」と思いました（笑）。

【ワッキー】ゴルゴを無視するんじゃないよ！（笑）

――関係がより深まったような感じを受けます。
【ヒデ】確かにそうかもしれないです。感謝という気持ちはあったけど、口や態度に出したことはなかった。素直に「ありがとう」と言えるようになりました。あと、バナナマンの日村（勇紀）さん、設楽（統）くん、アンタッチャブルの柴田（英嗣）に会った時に「ワッキー、元気？」みたいな話になる。相方が愛されているんだなと改めて感じました。

【ワッキー】芸歴も30年目になりました。出会ってからで考えると、もっと長い。長い関係性というより単純にオジさんになったな、と。50歳過ぎた。「50歳」という響きに左右されるのもよくないですけど、本格的なオジさんになって意地張ってしゃべらなくなるのはなくなりました。しゃべらない時間もあります。でも、それはそれで気持ちのいい時間だったりする。いい関係性になっている気がします。


――この数年、周りの芸人さんにも大きな変化がありました。
【ヒデ】みんな楽しくお笑いがやれたら。いち個人同士だと揉めたりするかもしれないけど、絶対にお笑いが好き。楽しくやりましょう、と。それができる先輩や後輩だったりするので。僕らが原点を劇場に見出したように。僕が言うのもおこがましいですけど。

【ワッキー】今、ふと思い出したんです。ルミネtheよしもとができた時に、いろいろあったんです。よしもとの芸人が全員出る、という流れになったんです。でも、その時に雨上がり決死隊さん、というか宮迫（博之）さんがゴネたんです。自分の力で売れたのに、劇場ができたから出ろと言うのは違うんじゃないか、と。でも、結局、出ることになった。僕、袖から出番を見ていたんです。めちゃくちゃウケた。袖にはけて来た時に、僕の方を宮迫さんがポンと叩いて「ワッキー、やっぱ劇場ってエエな」と。汗をバーって流しながら。それがよしもと芸人の原点。テレビに出まくってる売れっ子でも、やっぱり劇場に出ると体に何かビリビリっとくるんでしょうね。先輩のエピソードというと、それを思い出しました。

【ヒデ】今は鉄板の前で汗かいてるけど…。でも、本当にお世話になった方ばかり。安心してもらうためにも、コンビとして頑張らなきゃいけないなと思います。

――最後にコンビとしての野望を聞かせてください。
【ヒデ】30年やっていますけど、ネタをやっていることを世間の人に知ってほしいです。ネタ番組に出たい。コツコツ500人のお客さんの前でやるのも楽しいですけど、一気に多くの人にも見てほしいです。まぁ、まずここでしっかりと面白いと思ってほしいです。

【ワッキー】僕もテレビでネタやりたいです。僕ら、デビューは平成ですけど、育ちは昭和。昭和テイストのコントをやっている生き残り。子どもから大人まで笑ってもらえるコントをできればテレビで披露してウケたいです。