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犬猫のマイクロチップ義務化から1年、「チップは万能ではない」救いきれないジレンマ

 2022年6月、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬猫にマイクロチップを装着・登録することが義務化され、1年が経った。チップの登録情報を見れば、迷ったり捨てられたりした犬猫の飼い主がわかり、不幸な動物を減らせると考えられた。だが、NPO法人『ねこけん』が保護したペルシャ猫にはマイクロチップが装着されていたものの、救うことはできなかった。「マイクロチップは万能ではない」、その経緯と課題とは?

遺棄されさまよっていたペルシャ猫(写真:ねこけんブログより)

遺棄されさまよっていたペルシャ猫(写真:ねこけんブログより)

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■遺棄?マイクロチップ装着していたものの… 雨の公園をさまようガリガリのペルシャ猫

 その小柄なペルシャ猫が運び込まれたのは、2022年10月の半ば。小雨が降るなか、何日も公園をさまよっていた猫はガリガリで、ひどい脱水に低血糖、体温も低く朦朧としていた。腹水がたまり、片目は白濁…と体の状態は極めて危険。

 獣医師が保温、点滴、目やにのふき取りなどの処置を行うと、朦朧としていた猫は少しだけ頭を持ち上げるようになった。ちゅ〜るをあげてみると、弱々しいもののペロっと舐める。そして、こんな状態になりながらも、前脚でフミフミを繰り返す姿がどうにもいじらしかった。

 「いまだ外で生きる猫もいますが、ペルシャ猫というのはかなり珍しい。迷子であれば届け出が出ていたり、張り紙が出されていたりします。でも、飼い主が探している様子はなく、盗まれて捨てられたとも考えにくい。おそらく、遺棄されたのではないかと思います。そして、この猫にはマイクロチップが入っていました」

 2022年6月から、ペットショップやブリーダーなどで販売される犬や猫には、マイクロチップの装着・登録が義務付けられている(一般の飼い主には努力義務、業者から譲り受けた場合は登録変更が必要)。それを考えると、「猫を遺棄したのは、ブリーダーやペットショップ、またはそこから購入した人なのではないか」と推測されるという。

 その後、入院して治療を受けることになったペルシャ猫。ボランティアから「ペペ」という仮名をもらい、少しずつ元気を取り戻していったが、ペペはFIP(猫伝染性腹膜炎)であることが発覚。その治療は進められたが、ペペを救うことはできなかった。

痛々しい…ガリガリだったペペ(写真:ねこけんブログより)

痛々しい…ガリガリだったペペ(写真:ねこけんブログより)

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 なぜペペがこんな目に遭わなければいけなかったのか、その理由は今となってはわからない。マイクロチップは、飼い主や販売事業者が、いなくなった犬猫を探す際に役立ち、また無責任な遺棄を抑制する効果も期待できると言われている。だが今回、マイクロチップに対するジレンマも感じたそうだ。

 「もともと可愛がられていた猫が迷子になってしまったのなら、マイクロチップに登録された飼い主情報を調べて、返すことができます。でも、ペペのようにひどい目に遭った猫の場合、チップをたどって飼い主や事業者に返したとしても、また悲惨な状態に逆戻りする可能性があります。いくらマイクロチップが装着されるようになっても、元に戻せばすべてが解決するわけでもなく、万能でもありません」

 そのため、「ペペが生きていたら、チップがあっても元の飼い主には伝えようとは思いませんでした」と語る溝上代表。だが、ペペはもういない。「登録情報を調べて、ペペがなぜこんな目に遭わなければいけなかったのか、追及したいと思います」。

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