“なにわに春を呼ぶ”映画の祭典『おおさかシネマフェスティバル2023』が5日、大阪市内で開催された。2022年公開作の中から映画評論家、記者、映画ファンら“年間200本以上観賞”した29人の投票委員が各賞を選ぶユニークな映画祭。京都出身の吉岡里帆（30）が『ハケンアニメ！』で初の主演女優賞を、大阪出身の桐谷健太（43）が『ラーゲリより愛を込めて』で助演男優賞を手にした。

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　桐谷は2018年に『火花』で菅田将暉とWで主演男優賞を受賞して以来5年ぶりの登場。「撮影は過酷だったが、終わって、こうして賞で祝福してもらえるのはうれしいです。戦争はいろんな人の人生をこわしてしまう。幸せで楽しい方がええなぁ、と思ってもらえたらいいですね」と語った。

　総合司会を務めたパーソナリティーの浜村淳（88）が「本当にええ映画で感動しました。最後に主人公の遺書が…」と映画のオチを明かしそうになり、桐谷が「それ言っちゃいます？」と突っ込み、会場の笑いを誘っていた。

　助演女優賞は、尾野真千子（41）が『サバカン SABAKAN』で獲得。尾野は昨年の主演女優賞（『茜色に焼かれる』）に続く受賞で、2009年にも『クライマーズ・ハイ』で助演女優賞を獲得しており、すっかり同フェスティバルの“顔”に。浜村に「家の中は表彰状とトロフィーだらけでしょ」と言われ、「そうですよ〜」とジョークで返し、「連続でありがたいです。何度でもうれしいものです」と笑顔をみせた。『茜色〜』に続く母親役に浜村が「そろそろロマンス映画もやりたい？」と聞かれ、「やりたいですよ！」と即答していた。

　子役の原田琥之佑（13）、番家一路（12）も同作で新人男優賞を受賞。メガホンをとった金沢知樹監督も駆けつけ、「2人には自分の感性で、自然体でやってもらった。これからの活躍が楽しみ」とエール。原田は「また一路と一緒に何回でも（映画に）出たい」と初々しさをふりまいていた。

　主演男優賞は『夕方のおともだち』の村上淳（50）が受賞。「（受賞の）皆さんの話を聞いていて、何か面白いことを言わなきゃ、とプレッシャーでした」と沸かせ、長年タッグを組んできた廣木隆一監督作品で、「（マゾヒスティックな性癖のシーンの数々に）これを機に目覚めたらどうしようと思ったけど、ただ、痛いだけでした」と笑わせた。

　また、同フェスティバル独自のワイルドバンチ賞（自主製作作品を中心に、若き才能を対象にした賞）は、サイレント映画『I AM JAM（アイ・アム・ジャム）」』の辻凪子監督（28）と活動弁士の大森くみこが受賞。

　同フェスティバルの前身である「映画ファンのための映画まつり」の立ち上げメンバーの1人だった映画監督・大森一樹さんが昨年11月に死去したことを受け、追悼記念として大森監督作『暗くなるまで待てない』（1975年）、『明るくなるまでこの恋を』（1999年）の上映やトークショーも実施された。

■その他の賞
監督賞＝高橋伴明（『夜明けまでバス停で』）
新人女優賞＝嵐莉菜（『マイスモールランド』）
新人監督賞＝川和田恵真（『マイスモールランド』）、山崎樹一郎（『やまぶき』 ※山崎の崎はたつさき）
音楽賞＝大島ミチル（『サバカン SABAKAN』）
脚本賞＝梶原阿貴（『夜明けまでバス亭で』）
撮影賞=斉藤幸一（『とんび』）