17日に発売された、読売新聞グループ代表取締役主筆である渡辺恒雄氏へのロングインタビューを元にしたノンフィクション『独占告白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた〜』(新潮社)が、発売2週間で早くも3刷が決定した。
本書は、BS1スペシャル『独占告白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた〜 昭和編』(2020年3月7日放送)と、NHKスペシャル『渡辺恒雄 戦争と政治〜戦後日本の自画像〜』(同年8月9日放送)を元に、両番組をディレクターとして制作したNHKの安井浩一郎氏が書き下ろしたノンフィクション。番組内では放送しきれなかった渡辺氏の発言を多数収録したほか、新資料や時代状況の描写を新たに記載し、識者・関係者への追加取材を敢行。戦後政治の「最後の目撃者」による貴重な証言を余すところなく盛り込んだ決定版となった。
月刊誌『波』2月号には、田原総一朗氏(ジャーナリスト)と佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の書評が掲載。「この本には、渡辺さんが戦後すぐに入党して『共産党はダメだ』と思った経緯が書いてある。あの時点でそう言い切っていたのは本当にすごい」(田原氏)、「戦後の怪物である渡辺氏の全体像に迫る最良のノンフィクション」(佐藤氏)と推薦の言葉が寄せられている。
本書では、渡辺氏自身が目撃し、時には自らが関与した政局や外交の裏側が赤裸々に語られている。岸信介政権期、渡辺氏は将来の首相就任の順番を記した「総理大臣禅譲密約書」の存在を突き止め、自ら写真に収める。ところが、いざ自民党総裁選が行われると、岸首相はその密約を反故(ほご)にした。永田町の権謀術数を目の当たりにした渡辺氏は、政治の現実について、「だましてだまされての世界、だまされる方が悪い」と語る。
日韓国交正常化交渉に際しては、自ら韓国の要人と水面下で交渉を行い、自民党副総裁・大野伴睦の訪朝をお膳立てした。今回のインタビューの中で、自ら政治にかかわる行為は記者としての一線を超えているのではないかと問われると「お互いの国益にプラスなんだ」「外務省がやらないんだから、オレらがやってやるということだ」と語っている。
本書には、渡辺氏が目にした歴代首相の素顔が語られている。憲法改正を悲願にしながらも支持を得られなかった岸信介と国民の距離感、前任首相・池田勇人への対抗心も相まって沖縄返還を旗印にした佐藤栄作の執念、強烈な個性と政治手法ゆえに金脈問題で失脚した田中角栄の功罪、そして首相就任まで二人三脚で歩んだ中曽根康弘との友情。権力の中枢を間近で見続けた渡辺氏だからこそ語れる言葉からは、歴代宰相たちの生身の人間としての息づかいが立ち上ってくる。
日本を代表する保守論客とされる渡辺氏だが、本書では、自身の原点が戦争体験にあったことを繰り返し話している。19歳の時、学徒出陣で徴兵され、軍隊の理不尽と暴力に直面して戦争を憎み、現在にいたるまで「反戦」の思いを持ち続けてきた。ともすると、「タカ派」であるかのようにとらえられがちな渡辺氏だが、若い世代に「戦争を知らせないといかん」と語る姿は、戦争を知る最後の世代としての切実さに満ちている。そして、国民の大多数が戦争を知らない現代日本に向けての警鐘ともなっている。
本書は、BS1スペシャル『独占告白 渡辺恒雄〜戦後政治はこうして作られた〜 昭和編』(2020年3月7日放送)と、NHKスペシャル『渡辺恒雄 戦争と政治〜戦後日本の自画像〜』(同年8月9日放送)を元に、両番組をディレクターとして制作したNHKの安井浩一郎氏が書き下ろしたノンフィクション。番組内では放送しきれなかった渡辺氏の発言を多数収録したほか、新資料や時代状況の描写を新たに記載し、識者・関係者への追加取材を敢行。戦後政治の「最後の目撃者」による貴重な証言を余すところなく盛り込んだ決定版となった。
月刊誌『波』2月号には、田原総一朗氏(ジャーナリスト)と佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の書評が掲載。「この本には、渡辺さんが戦後すぐに入党して『共産党はダメだ』と思った経緯が書いてある。あの時点でそう言い切っていたのは本当にすごい」(田原氏)、「戦後の怪物である渡辺氏の全体像に迫る最良のノンフィクション」(佐藤氏)と推薦の言葉が寄せられている。
本書では、渡辺氏自身が目撃し、時には自らが関与した政局や外交の裏側が赤裸々に語られている。岸信介政権期、渡辺氏は将来の首相就任の順番を記した「総理大臣禅譲密約書」の存在を突き止め、自ら写真に収める。ところが、いざ自民党総裁選が行われると、岸首相はその密約を反故(ほご)にした。永田町の権謀術数を目の当たりにした渡辺氏は、政治の現実について、「だましてだまされての世界、だまされる方が悪い」と語る。
日韓国交正常化交渉に際しては、自ら韓国の要人と水面下で交渉を行い、自民党副総裁・大野伴睦の訪朝をお膳立てした。今回のインタビューの中で、自ら政治にかかわる行為は記者としての一線を超えているのではないかと問われると「お互いの国益にプラスなんだ」「外務省がやらないんだから、オレらがやってやるということだ」と語っている。
本書には、渡辺氏が目にした歴代首相の素顔が語られている。憲法改正を悲願にしながらも支持を得られなかった岸信介と国民の距離感、前任首相・池田勇人への対抗心も相まって沖縄返還を旗印にした佐藤栄作の執念、強烈な個性と政治手法ゆえに金脈問題で失脚した田中角栄の功罪、そして首相就任まで二人三脚で歩んだ中曽根康弘との友情。権力の中枢を間近で見続けた渡辺氏だからこそ語れる言葉からは、歴代宰相たちの生身の人間としての息づかいが立ち上ってくる。
日本を代表する保守論客とされる渡辺氏だが、本書では、自身の原点が戦争体験にあったことを繰り返し話している。19歳の時、学徒出陣で徴兵され、軍隊の理不尽と暴力に直面して戦争を憎み、現在にいたるまで「反戦」の思いを持ち続けてきた。ともすると、「タカ派」であるかのようにとらえられがちな渡辺氏だが、若い世代に「戦争を知らせないといかん」と語る姿は、戦争を知る最後の世代としての切実さに満ちている。そして、国民の大多数が戦争を知らない現代日本に向けての警鐘ともなっている。
本日発売の「波」2月号に『独占告白 渡辺恒雄』の書評が2本掲載されています。
— 新潮社 ノンフィクション・チーム【出版企画部】 (@Shincho_N) January 27, 2023
★田原総一朗さん
「僕が思う渡辺恒雄のすごさ」
★佐藤優さん
「『戦後の怪物』の全体像に迫る最良のノンフィクション」
ぜひご一読ください。 pic.twitter.com/wvNJy9h2Sc
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2023/01/31