18日スタートのフジテレビ系水10ドラマ『スタンドUPスタート』（毎週水曜　後10：00※初回は15分拡大）で主演を務める俳優の竜星涼（29）が、都内で行われた取材会に出席し、本作の印象や役作りへの意識を語った。

【写真】その他の写真を見る

　「“資産は人なり”。資産を手放す投資家はいない！」という理念を持つ、投資会社「サンシャインファンド」の社長・三星大陽（竜星）が、自称“人間投資家”として、仕事での失敗や挫折をしてしまった人、将来の夢を諦めてしまった人、さまざまな事情を抱えた訳アリ人材と出会い、「スタートアップ（起業）しよう！」と声を掛け、再び生きる希望を取り戻させていく人間再生ドラマ。

■思いのほかアクションシーンも「あれ？そういう話だっけ？」

――本作の主人公・三星大陽は自称“人間投資家”というユニークなキャラクター。台本を読んだ感想を教えてください。
起業家の話と聞いた時に自分が投資をしてない分、「縁遠いものなのかな、ちょっと難しいイメージ」というのがありました。でも、原作の漫画、ドラマの脚本を読んだ上でドラマにすることで、スタートアップするということがとても身近で自分の未来を広げる一つの手段としていいものだなっていうのをすごく感じました。それをドラマの中でとても分かりやすくやっていくっていうのはすごく斬新で、あるようでなかったんじゃないかなと思います。

――大陽を演じるにあたり意識していることは何ですか。
今回は人間再生ドラマとして、ゲストの俳優さんが演じる訳アリの人たちをスタートアップさせる、つまりやり直させる。小手先の技術とか言うよりは目の前の人を“本当に立ち上がらせる”っていうことを意識しながら、ちょっと泥臭くやっていこうかなって思っています。

――大陽をどういう人物だと感じていますか。また、共感するところはありますか。
とても明るく、何より人と人の距離が近い。そういう人間がきっと人を動かしていくのかなと思います。僕は割と「喋ると社交的だね」って言われるので、そういうところは似てるかなって思います（笑）。

――人間投資家役を演じるにあたりどんなことを勉強したのでしょうか。
毎日勉強ですね。『起業して一年で終わらない本』といったいろんな本を買いました（笑）。本当に僕自身が起業家になった感覚で、そういった本を読んでます。

――勉強した中で印象に残ったことを教えてください。
頭でいろんなことを考えていても結局動かすのは人と人の間に生まれる強いエネルギー。結果的にいろんな目的とかそういうものをしっかり見据えて、そこに対して動く力っていうのがあれば、どんなことでもできる（と学んだ）。

――撮影入りした感想を教えてください。
起業の話なんですけど、思いのほかアクションがある。この時期に川に飛び込んだり、なかなか体使ってるなと（笑）。「あれ？そういう話だっけ？」みたいな。でも、そういったのがあると、スタッフ含め、みんなとのグルーヴ感ができてくる。始まってまだ1週間（※インタビュー当時）ですけど、いいチームワークが出来上がっているかなと思いますね。

■俳優として生きていく自信を得た作品は…“あの劇団”の作品

――台本を読んで特に印象に残ったせりふは何ですか。
（投資に関する）うんちくとかではなく、単純に人と人とのつながりといいますか、“泥臭さ”がある。軽くやってしまうと薄っぺらい作品になってしまうので「本当に目の前にいる人を立ち上がらせる」ということに熱量を持ってお互いがお芝居できるかが大事。台本を見た時にすごく感じていたので、やり方次第でハートフルな作品になるんじゃないかなと思います。ワクワクしますよね。「人間ドラマなんだなぁ」って。

――印象に残ったシーンを教えてください。
渋沢栄一の言葉が本編の中にも出てきたり、そういった部分で学べるものが結構ある。随所で名言のように僕が言ってるので、すごく楽しみながら学べると思いますね。

――人間投資家は岐路に立つ人の背中を押す役柄ですが、自身が岐路に立ったのはどんな時でしたか。また、その時背に中を押してくれたものは何ですか。
この仕事を10年以上やらせてもらっている中で「これが向いているのか」「これをやり続けていけるのか」と毎回思いながらやっている。その度に、共演者や先輩、見てくれる人の評価を通じて自信をつけていく。自信をつけるということはすごく大事。自分は天才ではないけど、少しでも自信があれば、それを守るための努力っていうものを惜しまなくやっていけば、何かつかめるんじゃないかなと思っています。

――“岐路”を感じた作品を教えてください。
自分の中で「この仕事をやっていこう」っていう自信を一つ大きくもらえたっていうのは、劇団☆新感線さんの『修羅天魔〜髑髏城の七人season極』っていう舞台をやらせてもらった時ですね。たくさんの方に観てもらいながら「自分も変わらなければいけない」っていう思いでこう挑んだ作品だった。自信っていうものを少し手に入れながら、自分が楽しむっていうことも同時にもらったような気がしますね。

――本作では大陽の叔父・三星義知（みほし・よしとも）役で反町隆史さんが出演します。竜星さんが芸能界に入るきっかけとなった人との共演についてどう思いますか。
反町さんに会えるっていう、欲の塊の気持ちでこの世界に入ったところもある。（共演について）何かすごい縁を感じる。僕が出るっていった時に快く『じゃあやるよ』と言ってくださったと聞いた。その男気に感謝です。がっつりお芝居するのは初めてなので、それはすごくうれしいし、楽しみですね。

――本作ではどんな座長になりたいですか。
僕自身いつも思ってることは一つ。同じ目的、ゴールをみんなが同じように向き合える、そんな現場にできたらなと思っています。僕が引っ張っていくっていうよりも、みんなで同じ方向に走っていきたい。みんなが同じようにいい作品を作るために走り、最終的なゴールさえ守ってもらえれば、各々の考えで自由にやってもらった方がもしかしたら横にもっとぐっと広がることもあるかもしれない。そういうのを素直に受け入れながら、いろんな先輩たちと面白いキャッチボールを拾っていけたらなと思っています。

■2023年は朝ドラのイメージをガラッと変える役を

――自身の一番の資産は何ですか。
やっぱり“つながり”じゃないですかね。大陽というキャラクター自身、そこを大事に、そしてそこを押している人間。僕はどちらかというとそういうタイプなので、本当に縁、つながりっていうのは大事にしています。それがあることによって、今まで種まきしていたものが一つ一つ実っている。前にやった作品でお世話になって、その後もう一回呼ばれたりとか、そういうことが増えてきいている。それが一つの形になり始めていると思うので、そういったつながりや縁っていうのは僕にとっても財産なのかなと思います。

――俳優のモチベーションは何ですか。
僕ら俳優は、電車に乗っているサラリーマンとか学生といった方々を体現してお芝居で見せていく。なので（俳優になってからも）「うわぁ芸能人だ」とかそういった気持ちを忘れたくない。そういう意味で“邪な気持ち”は、いつまでたっても忘れちゃいけないと思いますし、「こうなりたい」「ああなりたい」っていうも絶対忘れちゃいけないだろうし。そういう最初に思ったことを大事に生きていきたいなって思いますね。

――今年を振り返って思うこと、来年の抱負を教えてください。
今年は朝ドラの『ちむどんどん』っていう作品をすごく長い期間やらせてもらって、それが良くも悪くもいい意味でものすごく注目された。単純により多くの方に見てもらえたいうのは僕にとって大きかったですし 逆に言えば自由にいろいろとやらせてもらった。

これも縁なんですけどね。『昭和元禄落語心中』（NHK）っていう作品をきっかけに呼んでもらった。朝ドラに出させてもらうきっかけになりましたけど、そこに甘んじることなくこう自分なりのキャラクターを作って、脚本通り僕は演じたつもりなので、それをどう批判されようが肯定されような「やってやったぞ」っていうぐらいの感じ。そういうイメージがついたのであれば、来年はその印象をガラッと変える役を、またそれと同じように強いキャラクターを（視聴者に）与えられるようにしたいかなと思いますね。