いよいよ目前に迫った大みそかの格闘技『湘南美容クリニック presents RIZIN.40』(さいたまスーパーアリーナ)。今年は例年の大みそか大会を盛り上げてきた朝倉未来、朝倉海、RENA、そして那須川天心など一般的に名の知られている選手が参戦せず、フジテレビの地上波中継もなくPPVのみとなるため、例年は見ていたというライトな格闘技ファンにとっては、ややハードルの高い大会となっているかもしれない。
しかし、ラインナップされた15試合はどれも格闘技の魅力のつまったカードばかりで、とくにアメリカの団体「Bellator(ベラトール)」との全面対抗戦は、正真正銘の世界トップクラスのファイターをRIZINファイターが迎え撃つ、まさにRIZINの存在価値がかけられた大勝負となる。そんな今年の大みそか大会の見どころ、そして大みそか格闘技の歴史について、ぜひ知っていただきたい【文・格闘技ライター橋本宗洋】
■今年はコアファンもライトファンも必見の“直球”かつ“豪速球”ラインナップ
RIZINは、毎年大みそかを“格闘技のシーズンピーク”と位置付けている。NPBなら秋の日本シリーズ、高校野球は真夏の甲子園、正月には箱根駅伝。スポーツにはそれぞれクライマックス、最大の盛り上がりを見せる時期というものがあり、日本格闘技の場合はそれが大みそかなのだ。
もちろん、そうなるだけの理由、歴史がある。大みそか格闘技イベントのスタートは、2000年の『猪木祭り』(大阪ドーム)だった。この時は格闘家が大挙して参戦するプロレスのスペシャル興行。高田延彦とタッグを組んだ武藤敬司がスキンヘッドを初披露したことも話題になった。ちなみに2000年は、桜庭和志がホイス・グレイシーを東京ドームで倒した年だ。大げさでなく歴史の1ページ。そんな年に大みそかイベントも始まったのである。
2001年からは格闘技イベントとしての『猪木祭り』が開催されていく。K-1とPRIDE、当時の2大団体の協力関係がなくなった2003年の大みそかには、日本テレビで『猪木祭り』、TBSで『K-1 Dynamite!!』、フジテレビで『PRIDE男祭り』と、地上波3局で格闘技イベントが“目玉番組”として中継されるというとてつもない事態になった。それ以降も紆余曲折ありながら“大みそかの格闘技”は継続されてきた。
ボブ・サップvs曙が高視聴率を叩き出した。山本“KID”徳郁が魔裟斗からダウンを奪った。吉田秀彦と小川直也の柔道家対決も大みそか。地上波での特番中継もあり、大みそかの格闘技は“世間”に打って出ることも重視された。シーズンピークとして、RIZINでは例年、さまざまな階級のトーナメント決勝が大みそかに行われている。
そして今年、2022年の大みそかはいつも以上に対戦カードの評判がいい。旗揚げ以来続いてきたフジテレビでの中継はなくなったものの、SNSでの格闘技ファンの反応、熱気はかなりのものだ。今年の大みそかは、格闘技ファンが見たい試合がそのまま組まれたような、“直球”かつ“豪速球”のラインナップなのである。
■ベラトール軍5人はまったく妥協のない人選 サトシ&クレベルの相手はまさに世界トップ
とりわけファンを熱くさせているのは、アメリカのMMA団体ベラトールとの5vs5の全面対抗戦だ。ベラトールは巨大メディア企業パラマウント・グローバル傘下であり、UFCに次ぐメジャーイベントと言っていい。
注目される大会には、チャンスを求めて人材も集まる。それだけレベルが上がり、競争も激しくなる。そこで勝ち上がってきたベラトールのトップ選手たちは、世界屈指の“最強集団”なのだ。RIZINは以前からベラトールと協力関係にあり(ベラトールの日本大会が開催されたことも)、その縁から今回の対抗戦が決まった。
特筆すべきは、出場選手にまったく妥協がないことだ。あらためて対抗戦5カードを紹介しよう。
大将戦:ホベルト・サトシ・ソウザ vs AJ・マッキー
副将戦:クレベル・コイケ vs パトリシオ・ピットブル
中堅戦:扇久保博正 vs 堀口恭司
次鋒戦:キム・スーチョル vs フアン・アーチュレッタ
先鋒戦:武田光司 vs ガジ・ラバダノフ
サトシはRIZINライト級チャンピオン。現代MMAトップレベルの寝技師と言っていい。どんな態勢からでも絞め技・関節技を狙う“極め”の強さは一級品だ。RIZINフェザー級王者としての初戦となるクレベルはサトシと同門。やはり圧倒的なグラウンドテクニックを誇る。
この、RIZINにおける実力2トップとも言える選手たちと対戦するベラトール陣営も超のつく強豪だ。サトシと闘うマッキーは父親もMMAファイター(日本で青木真也とも対戦)。ベラトールのフェザー級トーナメントで優勝し、ベルトを獲得。今年10月にライト級に階級を上げ、RIZIN王者に標的を定めた。
クレベルの相手となるパトリシオは、マッキーのライバル。フェザー級トーナメントでマッキーに敗れたが、タイトルマッチでリベンジを果たしライト級、フェザー級の2階級制覇を成し遂げた。この男もベラトールの顔の1人だ。
中堅戦は日本人対決。RIZINでもベルトを巻いた堀口が、アメリカで主戦場とするベラトール側として出場する展開だ。実績はといえば、修斗の世界タイトルに始まりUFCでもタイトルマッチを経験。RIZINのGP制覇、ベラトール王座獲得、朝倉海への壮絶リベンジ、那須川天心とのキックボクシングでの対戦など常にインパクトを残してきた。人呼んで“日本MMA最高傑作”。
その堀口を常に追い続けてきたのが扇久保だ。修斗の世界王座戦で堀口にベルトを奪われたのが、他ならぬ扇久保だった。RIZINでの再戦にも敗れ、しかし諦めることなく闘い続けると、昨年バンタム級GP優勝を果たす。こちらの異名は“打・投・極・根性”。まさに執念で堀口との3戦目にこぎつけた。しかも堀口の階級変更により、この試合はフライ級で行われることに。両者ともベスト階級に戻しての闘い。過去2戦以上の激闘になる可能性は高い。
次鋒戦には、扇久保に勝ったばかりの韓国のタフガイ、スーチョルが登場し、ベラトールの元バンタム級王者アーチュレッタと激突。自ら先鋒を志願した武田はジョニー・ケース、ザック・ゼインと国際戦2連勝で対抗戦に抜てきされた。対するラバダノフはベラトール3連勝中だ。ラバダノフを送り込んだのはUFCでトップ中のトップだったハビブ・ヌルマゴメドフ。今大会もヌルマゴメドフがラバダノフのセコンドを務め、同時にベラトール軍のキャプテンを務めることにもなった。UFCの歴代最強クラスだった男の、意外な“参戦”である。
■言い訳のできない全面対抗戦 RIZINと“世界”との真剣勝負が繰り広げられる!
そんな話題性もありつつ、対抗戦に出場する10人全員がチャンピオン経験を持つ。うち7人はRIZINとベラトールのタイトル、トーナメント優勝という実績。これだけハイレベルな対抗戦は、なかなか見られるものではない。そして実力者が揃ったハイレベルな闘いだけに、リスクも大きい。トップ選手、看板選手を起用しての負けは言い訳が効かないのだ。選手も団体も負けたくないし負けられない。そういう闘いだからこそ、見る側は燃える。
これだけ外国人選手を招聘できるのは、コロナ禍が落ち着いて規制が緩和されたからだ。とはいえ実際のところ、MMAの本場アメリカから強豪選手を何人も呼ぶのは大変なこと。単純にファイトマネーが高いし、なおかつドルでの支払いだから円安も影響する。
それでもRIZINがこの対抗戦に打って出たのは、海外にもRIZINの魅力と強さをアピールするためだ。この対抗戦はアメリカでも中継される。アメリカの格闘技ファンがよく見知ったベラトールの選手たちをRIZINファイターが倒せば、それだけ“世界”でのRIZINのプレゼンスが高まることになる。かつてのPRIDEがそうであったような“日本発世界”のイベントを目指しての大勝負が、この対抗戦なのだ。
「サッカーのワールドカップを見て、みなさん“本物はすごい”と感じたと思います。大晦日も、そんなスポーツの感動をお届けしたい」
そう語ったのはRIZINの榊原信行CEO。2022年の大晦日は、ワールドカップと同じく“世界”との真剣勝負がさいたまスーパーアリーナで見られることになる。
<大会はABEMA PPVで全試合を完全生中継>
★ORICON NEWS『RIZIN.40』特集ページ
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しかし、ラインナップされた15試合はどれも格闘技の魅力のつまったカードばかりで、とくにアメリカの団体「Bellator(ベラトール)」との全面対抗戦は、正真正銘の世界トップクラスのファイターをRIZINファイターが迎え撃つ、まさにRIZINの存在価値がかけられた大勝負となる。そんな今年の大みそか大会の見どころ、そして大みそか格闘技の歴史について、ぜひ知っていただきたい【文・格闘技ライター橋本宗洋】
■今年はコアファンもライトファンも必見の“直球”かつ“豪速球”ラインナップ
RIZINは、毎年大みそかを“格闘技のシーズンピーク”と位置付けている。NPBなら秋の日本シリーズ、高校野球は真夏の甲子園、正月には箱根駅伝。スポーツにはそれぞれクライマックス、最大の盛り上がりを見せる時期というものがあり、日本格闘技の場合はそれが大みそかなのだ。
もちろん、そうなるだけの理由、歴史がある。大みそか格闘技イベントのスタートは、2000年の『猪木祭り』(大阪ドーム)だった。この時は格闘家が大挙して参戦するプロレスのスペシャル興行。高田延彦とタッグを組んだ武藤敬司がスキンヘッドを初披露したことも話題になった。ちなみに2000年は、桜庭和志がホイス・グレイシーを東京ドームで倒した年だ。大げさでなく歴史の1ページ。そんな年に大みそかイベントも始まったのである。
2001年からは格闘技イベントとしての『猪木祭り』が開催されていく。K-1とPRIDE、当時の2大団体の協力関係がなくなった2003年の大みそかには、日本テレビで『猪木祭り』、TBSで『K-1 Dynamite!!』、フジテレビで『PRIDE男祭り』と、地上波3局で格闘技イベントが“目玉番組”として中継されるというとてつもない事態になった。それ以降も紆余曲折ありながら“大みそかの格闘技”は継続されてきた。
ボブ・サップvs曙が高視聴率を叩き出した。山本“KID”徳郁が魔裟斗からダウンを奪った。吉田秀彦と小川直也の柔道家対決も大みそか。地上波での特番中継もあり、大みそかの格闘技は“世間”に打って出ることも重視された。シーズンピークとして、RIZINでは例年、さまざまな階級のトーナメント決勝が大みそかに行われている。
そして今年、2022年の大みそかはいつも以上に対戦カードの評判がいい。旗揚げ以来続いてきたフジテレビでの中継はなくなったものの、SNSでの格闘技ファンの反応、熱気はかなりのものだ。今年の大みそかは、格闘技ファンが見たい試合がそのまま組まれたような、“直球”かつ“豪速球”のラインナップなのである。
とりわけファンを熱くさせているのは、アメリカのMMA団体ベラトールとの5vs5の全面対抗戦だ。ベラトールは巨大メディア企業パラマウント・グローバル傘下であり、UFCに次ぐメジャーイベントと言っていい。
注目される大会には、チャンスを求めて人材も集まる。それだけレベルが上がり、競争も激しくなる。そこで勝ち上がってきたベラトールのトップ選手たちは、世界屈指の“最強集団”なのだ。RIZINは以前からベラトールと協力関係にあり(ベラトールの日本大会が開催されたことも)、その縁から今回の対抗戦が決まった。
特筆すべきは、出場選手にまったく妥協がないことだ。あらためて対抗戦5カードを紹介しよう。
大将戦:ホベルト・サトシ・ソウザ vs AJ・マッキー
副将戦:クレベル・コイケ vs パトリシオ・ピットブル
中堅戦:扇久保博正 vs 堀口恭司
次鋒戦:キム・スーチョル vs フアン・アーチュレッタ
先鋒戦:武田光司 vs ガジ・ラバダノフ
サトシはRIZINライト級チャンピオン。現代MMAトップレベルの寝技師と言っていい。どんな態勢からでも絞め技・関節技を狙う“極め”の強さは一級品だ。RIZINフェザー級王者としての初戦となるクレベルはサトシと同門。やはり圧倒的なグラウンドテクニックを誇る。
この、RIZINにおける実力2トップとも言える選手たちと対戦するベラトール陣営も超のつく強豪だ。サトシと闘うマッキーは父親もMMAファイター(日本で青木真也とも対戦)。ベラトールのフェザー級トーナメントで優勝し、ベルトを獲得。今年10月にライト級に階級を上げ、RIZIN王者に標的を定めた。
クレベルの相手となるパトリシオは、マッキーのライバル。フェザー級トーナメントでマッキーに敗れたが、タイトルマッチでリベンジを果たしライト級、フェザー級の2階級制覇を成し遂げた。この男もベラトールの顔の1人だ。
中堅戦は日本人対決。RIZINでもベルトを巻いた堀口が、アメリカで主戦場とするベラトール側として出場する展開だ。実績はといえば、修斗の世界タイトルに始まりUFCでもタイトルマッチを経験。RIZINのGP制覇、ベラトール王座獲得、朝倉海への壮絶リベンジ、那須川天心とのキックボクシングでの対戦など常にインパクトを残してきた。人呼んで“日本MMA最高傑作”。
その堀口を常に追い続けてきたのが扇久保だ。修斗の世界王座戦で堀口にベルトを奪われたのが、他ならぬ扇久保だった。RIZINでの再戦にも敗れ、しかし諦めることなく闘い続けると、昨年バンタム級GP優勝を果たす。こちらの異名は“打・投・極・根性”。まさに執念で堀口との3戦目にこぎつけた。しかも堀口の階級変更により、この試合はフライ級で行われることに。両者ともベスト階級に戻しての闘い。過去2戦以上の激闘になる可能性は高い。
次鋒戦には、扇久保に勝ったばかりの韓国のタフガイ、スーチョルが登場し、ベラトールの元バンタム級王者アーチュレッタと激突。自ら先鋒を志願した武田はジョニー・ケース、ザック・ゼインと国際戦2連勝で対抗戦に抜てきされた。対するラバダノフはベラトール3連勝中だ。ラバダノフを送り込んだのはUFCでトップ中のトップだったハビブ・ヌルマゴメドフ。今大会もヌルマゴメドフがラバダノフのセコンドを務め、同時にベラトール軍のキャプテンを務めることにもなった。UFCの歴代最強クラスだった男の、意外な“参戦”である。
■言い訳のできない全面対抗戦 RIZINと“世界”との真剣勝負が繰り広げられる!
そんな話題性もありつつ、対抗戦に出場する10人全員がチャンピオン経験を持つ。うち7人はRIZINとベラトールのタイトル、トーナメント優勝という実績。これだけハイレベルな対抗戦は、なかなか見られるものではない。そして実力者が揃ったハイレベルな闘いだけに、リスクも大きい。トップ選手、看板選手を起用しての負けは言い訳が効かないのだ。選手も団体も負けたくないし負けられない。そういう闘いだからこそ、見る側は燃える。
これだけ外国人選手を招聘できるのは、コロナ禍が落ち着いて規制が緩和されたからだ。とはいえ実際のところ、MMAの本場アメリカから強豪選手を何人も呼ぶのは大変なこと。単純にファイトマネーが高いし、なおかつドルでの支払いだから円安も影響する。
それでもRIZINがこの対抗戦に打って出たのは、海外にもRIZINの魅力と強さをアピールするためだ。この対抗戦はアメリカでも中継される。アメリカの格闘技ファンがよく見知ったベラトールの選手たちをRIZINファイターが倒せば、それだけ“世界”でのRIZINのプレゼンスが高まることになる。かつてのPRIDEがそうであったような“日本発世界”のイベントを目指しての大勝負が、この対抗戦なのだ。
「サッカーのワールドカップを見て、みなさん“本物はすごい”と感じたと思います。大晦日も、そんなスポーツの感動をお届けしたい」
そう語ったのはRIZINの榊原信行CEO。2022年の大晦日は、ワールドカップと同じく“世界”との真剣勝負がさいたまスーパーアリーナで見られることになる。
<大会はABEMA PPVで全試合を完全生中継>
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2022/12/29