大みそかに開催される格闘技『湘南美容クリニック presents RIZIN.40』（さいたまスーパーアリーナ）で、大会10日前に緊急参戦が決定し、世間を驚かせた平本蓮。怪我の影響でスタンディングバウト（ボクシングに準じたルール）となり、相手はプロの格闘家から一般募集するという型破りな試合だが、平本のカリスマ性があるからこそ反響を呼んでいる。

【写真】その他の写真を見る

　ケガを押してリングに上がる平本に、ORICON NEWSでは会見後にインタビューを敢行。榊原信行CEOから「2022年の顔」と称賛されるほど、リング内外を問わずに大活躍し、格闘家として大きく飛躍したこの1年を経て見据える未来について聞いた。

■「RIZINでボクシングやってきた選手の中で、メイウェザー以外では自分が一番強い」

――大みそかへの緊急参戦、さらに相手を一般募集するというサプライズで、会見中からSNSでは盛り上がっていました。

【平本】ちょっとホッとしましたね。滑ったらどうしようっていうのが心配だったので（笑）。ケガもあるし、年末は寒いからあまり動きたくはないんですけど、トレーニングは11月の試合が終わってからも続けていたので、RIZINのために盛り上げようかなと。

――ボクシングに準じたルールのスタンディングバウトは、RIZINでは初めてですね。

【平本】いまやっている空手の練習と、ボクシングの練習はまったく別モノなんですが、試合までの10日間くらいで仕上げます。ボクシングは常に足を使ってずっと走っているみたいな競技で、久々に練習してみたら「これはこれで面白いな」思いました。もともと僕は親父の影響でボクシングから格闘技を始めているし、RIZINでボクシングをやってきた選手の中でメイウェザー以外では自分が一番強いんじゃないですか。

――スタンディングバウトといえば、RIZINでは皇治選手が活躍されています。

【平本】皇治はこの前の試合（11月に“メイウェザーの刺客”ことジャハン・イングラムと対戦し、3ラウンドを戦い抜いた）が称賛されてますけど、判定だったらフルマークで判定負けだから。アイツは「立っていたら正義」みたいなところがあるけど。本当はボクシングで皇治とやりたかったけど、普通に断られちゃったので。TMT（メイウェザーのチーム）の一員として、メイウェザーにたどり着く前に抹殺しようかと思ったんですけど（笑）。

――ツイッターでは、MMAのグローブとボクシンググローブの打撃の違いについても言及されていましたが、具体的にどんな違いがあるのでしょうか？

【平本】ぜんぜん違いますね。MMAのオープンフィンガーグローブはゴツゴツと置いていく攻撃を意識していて、ボクシンググローブだと足からの振動を使ってバシンと振っていくパンチにしないと効かないです。自分はボクシングのパンチもすごい得意だし、最近のMMAの試合の打撃とは違うものを見せられるので、今回の試合も楽しみですね。対戦相手を募集しているけど、（2019年末にBELLATOR JAPANでキックボクシングルールで対戦した）芦田崇宏が応募してきたら面白いですね（笑）。

■MMAデビューから2年「ストライカーとしていい具合に進化している」

――古くからの格闘技ファンは、2002年の『Dynamite!!』（国立競技場）のヴァンダレイ・シウバの試合を思い出しています。あの試合も対戦相手が公募され、そこに応募してシウバと戦ったのが、現在の平本さんの空手の師匠である剛毅會の岩崎達也（※崎＝たつさき）さんでした。この歴史の流れにドラマを感じます。

【平本】岩崎さんに当時の話を聞いたのですが、4日前くらいに電車に乗ってたらシウバの対戦相手を募集する広告を見かけて、それで本当に応募したって、すごい度胸ですよね（笑）。でも、自分の力を試したくなる気持ちはすごいわかるし、好奇心の強い方なので僕は教わっているんです。普通のコーチって自分が持っているものが正義だから、教える内容って何年も変わらないんですけど、岩崎先生は「世界最強になる技術とは何か」をずっと考えている。本当の格闘技オタクなので、教わっていてめちゃくちゃ楽しいんですよね。退屈な練習が一つもないし、型の練習にも意味があると思って取り組んできたら実際に効果が出てきたし。本当にいい師匠に出会えたなって感じます。ただ、1月8日から合宿で滝行に行かされることになって（笑）。

――真冬に滝行ですか！

【平本】滝つぼにハマったらどうすんだっていう恐怖感がありますけど、MMAが強くなるためには必要みたいです（笑）。

――2020年の大みそかでのMMAデビューから2年が経ちました。現在のMMAファイターとしての成長具合は、予想通りでしょうか？

【平本】予想通りです。こうやって動けばいいって頭ではわかっても、実際にできるように体になじませるには時間が必要だとわかっていたので。2年という期間で自分の強くなったポイントを出せるようになってきたし、寝技に対しても何をすべきかいちいち考えなくても動けるようになって、ストライカーとしていい具合に進化していると思います。

――この先のビジョンも明確にイメージできていますか？

【平本】クレベル（・コイケ）を倒してRIZINのチャンピオンになって、UFCと契約したい。もしクレベルが大みそかの試合でパトリシオ・ピットブルに勝って世界レベルだって証明されたら、RIZINがもっと面白くなるから頑張ってほしいし、そんなクレベルと来年タイトルマッチをできたらいいなと。

■来年一発目の試合は「格闘技ファン盛り上がりそうだし、ストーリーがすごい面白い」

――大みそかでは平本さんの来年一発目の試合が発表されることになりました。希望した相手との試合なのでしょうか？

【平本】はい、僕が「この選手と試合をしたら面白いんじゃないか」と思って希望しました。格闘技ファン盛り上がってくれそうだし、ストーリーがすごい面白いって自分でも思います。

――春頃の試合になると思いますが、また海外で練習する予定はありますか？

【平本】来年の1月〜2月に1ヶ月くらい行けたらなと。以前に行ったミルウォーキーのルーファスポーツにまた行くのもいいし、違う場所でアメリカのトップどころの選手とスパーリングをしてみたい好奇心も強くて。自分の可能性がどこまであるのかわからないんですけど、わからないから自信があるし、自分に限界を感じたことがないので「俺はどこまでできるんだろう」「一生限界って来ないのかな」っていう気もします。

――クレベル選手との対戦の前に、負けている選手へのリベンジも考えていますか？

【平本】鈴木千裕はもう1回やりたいですね。次やったら前回みたいにならずに瞬殺します。今日の会見でも一緒だったのでイジるか迷ったんですけど、今日は朝倉未来をイジったからスルーしました。そしたら、会見後に裏で大尊伸光選手から「めちゃくちゃイジるんじゃないかとずっと楽しみにしてました」って言われて、イジりを期待してた人が壇上にいたんだってスゲーうれしかったです（笑）。言わないだけで俺のことツボっている格闘家ってけっこういるんじゃないかなって思いますね。まぁ、鈴木千裕VS中原由貴選手のカードって面白そうなんで、中原選手には鈴木をボコボコにしてほしいです。

――自分がリベンジするまでに鈴木選手が負けても構わない？

【平本】勝手に消えちゃっていいし、早く負けてくれって思いながらアイツの試合を見ているんで。この前の試合（11月の今成正和戦）も、次が自分の試合で入場に集中していたんですけど、早く足を捻られるのを祈ってました。

＜インタビュー後編では、「格闘技マニア」として大みそかのRIZINとBellatorの全面対抗戦の見どころや、対抗戦第2弾への出場意欲などが語られた＞

★ORICON NEWS『RIZIN.40』特集ページ
最新ニュース、選手インタビュー、会見動画、対戦カードなど、大会に関するさまざまな情報を特集ページで公開中！

★ORICON NEWS 動画視聴ページTOP
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」