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「いつも君の隣に」猫同士の絆に涙 ダンボールで保護された「大顔コンビ」、亡くした相棒…猫たちの絆の物語

 さまざまな境遇から人間の手により保護され、新たな家族と出会い幸せをつかむ猫たち。人間との出会いも大事だが、猫同士の絆もまた、彼らを救い、生き延びる力になっている。ここでは、NPO法人『ねこけん』の保護猫たちの間に見えた、あたたかな絆の物語をお届け。代表理事・溝上奈緒子氏の話、また『ねこけん』ブログで明かされた物語を紹介する。

「大顔コンビ」と言われた(左から)「みつき」と「いつき」(写真:ねこけんブログより)

「大顔コンビ」と言われた(左から)「みつき」と「いつき」(写真:ねこけんブログより)

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■その名も「大顔コンビ」、ダンボールでレスキューされた仲良し顔デカ猫

 『ねこけん』で「大顔コンビ」と言われていた、2匹の猫たち。「いつき」と「みつき」は、大顔好きにはたまらない、魅力あふれる可愛らしいオス猫だ。そこそこ年齢もいっていることから、「大顔おじさんず」とも言われていた。2匹はとても仲良しで、耳と耳をくっつけ、並んでぐっすり眠る様子が『ねこけん』YouTubeにもアップされている。「いつき」は現在トライアル飼育に挑戦中、「みつき」は里親募集中で、シェルターでゆっくり過ごしていた(取材当時)。

 そんな「みつき」も「いつき」も、ブログにある写真や動画を見ると、とても幸せなのんびりした猫に見えるが、実は保護されるまでには、大変な思いをしてきた。『ねこけん』に来た際には、ダンボールに詰められてやってきたのだという。

 彼らがもともと暮らしていたのは、債権者から差し押さえにあった物件。飼い主は住居を差し押さえられたばかりか、猫の多頭飼育崩壊にも陥っていたという。連絡をくれたのは、以前の記事(“差し押さえ物件”から100頭近くレスキュー、減らない多頭飼育崩壊)でも紹介した、猫好きの強制執行補助業者からだ。

 「業者さんは『できれば殺したくない』と言ってくれますが、急に引き取れる保護団体も少ないんです。差し押さえ物件は入ってみないことには状況がわからず、どうしても急な依頼になってしまう。すぐにシェルターを開けるのが難しい保護団体は、対応がしにくいのです。ですが、救うためならばやるしかない。猫たちにとって、ギリギリのセーフティネットになれるように努力しています」

 こうして、なんとか生きながらえる道を得た猫は、「いつき」「みつき」ら12匹。ダンボールに詰められて運ばれ、すぐに不妊・去勢手術を受けた。当初は不安げな表情だった猫たちもすっかり落ち着き、新しい家族を見つける準備に入ることができた。

 大顔コンビと呼ばれた「いつき」「みつき」は、実はこんな大変な状況を生き抜いた猫だった。その仲良しぶりで、過酷な多頭飼育時代を乗り切ってきたのかもしれない。ダンボールでやってきたすべての猫たちが、新たな幸せを見つけることを願いたい。

(左から)在りし日のピーポーとパン君(写真:ねこけんブログより)

(左から)在りし日のピーポーとパン君(写真:ねこけんブログより)

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 もう一つの物語は、『ねこけん』の頼れる兄貴だったパン君の話。パン君は、首に大ケガをして保護された猫。もともと近所の人々に可愛がられ、地域猫として生きてきた。シェルターで暮らし始めたパン君だったが、譲渡会でなかなか縁がつながらず、気づけば約3年の時が経っていた。だが、パン君は物静かで優しい猫。後から来たどんな猫でも受け入れ、シェルターの兄貴として慕われた。

 そんなパン君に思いきり懐いたのが、まったくもって人馴れしないキジトラ猫・ピーポーだった。野良として生きてきたことを伺わせる、シャーシャー顔がトレードマーク。だが、そんなピーポーは優しい兄貴パン君が大好きなようで、2匹はいつも一緒。兄弟以上の親友、一心同体でシェルター生活を送っていた。そうして、ピーポーもまた、『ねこけん』で約3年を過ごした。

 2匹につらい別れが訪れたのは、今年の3月のこと。苦しそうにしていたピーポーは救急搬送され、必死の治療が行われたものの、願いもむなしく虹の橋を渡ってしまった。ピーポーの亡骸がシェルターに戻ると、パン君は「なんで起きないの?」というような戸惑いの表情。メンバーは「パン君、ピーポーは寝ているんじゃないんだ」と、「今日でお別れなんだ」と説明をしたという。

 約3年を共に過ごした相棒を亡くしたパン君。だが、そんなパン君をあるメンバーが家族に迎えることになった。

 「そのメンバーは、ピーポーの里親を希望していた、最期に家族に迎えてくれた人です。ピーポーは旅立ってしまったけれど、パン君だけでも家族に迎えたいと。パン君は3年もシェルターにいましたが、ピーポーが縁をつなげてくれた。虹の橋を渡っても、大好きなパン君に大きな幸せをプレゼントしてくれたんです」

 パン君とピーポーが、家族としていられるように。ずっと先に、いつか再会できるように。パン君が暮らすメンバー宅に、ピーポーのお骨も引き取られた。

 今、パン君はメンバー宅でゆったりのんびり暮らしている。窓から明るい日差しを浴びながらくつろぐ隣には、本来ならピーポーの姿があったはずだ。でも、パン君は今、一人…。だが、そんなパン君の写真が載った『ねこけん』のブログには、こんなことが書いてある。

 「でも…よく見ると パン君の隣…ピーポー分の空間が。
 ああ!もしかしたら、時々ピーポーが、
 こっそり遊びに来ているのかも知れませんね…
 今もそっと寄り添っているのかも知れません。
 それはパン君とピーポーだけの秘密。
 パン君にしかわからない、ピーポーの気配…」

 長い長い保護猫生活を仲良く過ごした2匹は、いる場所は違えど今も寄り添っているのかもしれない。優しい家族に見守られながら、ピーポーの気配を感じながら。パン君にはピーポーの分まで長生きしてほしい。

関連写真

  • 「大顔コンビ」と言われた(左から)「みつき」と「いつき」(写真:ねこけんブログより)
  • (左から)在りし日のピーポーとパン君(写真:ねこけんブログより)

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