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「誰か迎えに来て…」飼い主の入院や死で猫が置き去りに、“もしも”に備える責務

 病気や事故、そして寿命で飼い主の命が失われるとき、ペットとして飼われている動物はどうなってしまうのか。代わりに面倒を見る家族がいればよいが、ともすればそのまま、置いてけぼりになってしまうこともある。NPO法人『ねこけん』には、そうした様々な理由で「保護してほしい」との依頼があると、代表理事・溝上奈緒子氏は語る。猫や犬を飼うのなら、自分に“もしも”のことが起こる前に、準備をしておきたいものだ。

置き去りにされた“かめちゃん”(写真:ねこけんブログより)

置き去りにされた“かめちゃん”(写真:ねこけんブログより)

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■亡くなった飼い主、他の家族は“かめちゃん”を置いて引っ越した

 かめちゃんは、体に真菌(カビの仲間、増殖することで様々な症状を引き起こす)を抱えた、12歳をゆうに超えた老猫。もともとは飼い猫で、中外自由飼いで生活していたそうだ。ところがある日、かめちゃんを飼っていた世帯主が亡くなってしまった。本来であれば、世帯主以外の家族が引き取ってくれそうなものだが、彼らはそうすることなく引っ越していったという。

 いくら中外自由に飼われていたといっても、かめちゃんは老猫。しかも、真菌も抱えており、とても外で生きていけるとは思えなかった。そこで、近隣ボランティアの人たちが、どうにかしてかめちゃんを保護をしようと奮闘。つてをたどり、かめちゃんはなんとか安息の場を得ることができたそうだ。

 このかめちゃんのように、飼い主の都合で「飼えなくなった」「引き取ってほしい」という依頼は、とても多いという。原因の一つは、やはりコロナ禍だ。

 「コロナ禍の影響で職を失ってしまい、お金がなくなって安い物件に移り住む人は増えています。ですが、それまでと違い、新たな住まいはペット不可。だから『引き取って』という依頼はよくあります。ほかにも、困窮して家賃を滞納していて、猫の医療費はとても払えない、という人も。『ねこけん』としても、譲渡する際は経済的な面でも条件をつけていますが、なかなかそういった事例は減りません」

 そしてもう一つ、深刻なのが高齢化の影響だ。飼い主が亡くなってしまうと、猫たちの行き場がない。かめちゃんも、そのようにして置き去りになってしまった。

 「これは決して貧困層だけの話ではありません。裕福な方で、『老人ホームに入るから猫を飼えなくなった』という依頼も多いんです」

 飼っていた人が亡くなり、それ以外の家族や親戚が引き取れなければ、猫は野放しにされるか、殺処分されてしまう。人間の都合で飼ったはずなのに、そんな運命しか待っていないとは、あまりに悲しいことだ。溝上代表も「限界になる前に、先々の準備をしてほしい」と語る。

 もう一例、『ねこけん』の預かりメンバー宅で保護猫生活を始めたマロンは、ある日、病院からの連絡で保護を決めた猫である。

 「飼い主が急きょ、精神科の病院に入院してしまって。病院から連絡があり、飼い主の方の鍵を渡してもらって保護した猫なんです」

 以前、新型コロナウイルスに感染するも「ペットの猫の預け先がなく、入院したくない」と入院を拒否した男性が、自宅療養中に死亡したというニュースがあった。マロンの飼い主は精神科への入院だったが、猫が残されてしまう問題点は同じだ。

 猫を飼う際は必ず、猫を預かってくれる人の確保が必要である。とくに一人暮らしの場合、いつ何が起こるかわからないため、後見人は必須だ。最近では、飼い主に何かがあったときに、ペットを飼っていることを知らせるため緊急情報カードなども商品化されている。

 「『ねこけん』でも、自宅の扉前、すぐわかるところに『ねこけん』の名前と連絡先、そして“私に何かあったらここへ連絡してください”という紙を貼ってもらえるよう案内を出しています。飼い主に何かあり、救急隊の方が、その張り紙を見て連絡をしていただけるように」

 マロンを引き取りに行ったとき、家にはエアコンが付いていたので健康状態に問題はなかった。おそらく飼い主も、マロンに深い愛情を注ぎ、できる範囲のことを行ったのだろうことがわかる。

 「入院に何ヵ月もかかってしまえば、猫ちゃんを放置することもできません。ただその方は手持ちが2万円しかなく、ペットシッターさんに頼むこともできない。本人はマロンを手放す気はまったくないとのことですが、今後、同じ状況にもなりかねません」

 マロンにとっても、飼い主と幸せな生活を続けることが一番。しかし、今後も入退院を繰り返す可能性があるならば、勇気を持って保護団体にゆだねる選択もある。大切な命を預かっているからこそ、猫が安心して暮らせる環境を整える責任が飼い主にはある。いつか自分に起こってしまうかもしれない“もしも”のときのために。飼い主は、そのときに大切な家族である動物たちが困らないよう、準備をしておきたいものだ。

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