都市圏をカバーするFMラジオ局で構成されるJFL(Japan Fm League)に加盟するJ-WAVE、ZIP-FM、FM802、FM COCOLOが、リスナーとの最適なコミュニケーションを図ることを目的にリスナーのradikoの聴取データをはじめ、様々な行動履歴を集約した統合データベースの構築を開始した。J-WAVEが2020年より運用してきた独自のプラットフォームを、今後は東名阪3大都市圏のFM局も共有して活用していく。これによって顧客(to B、to C)にはどのような体験価値がもたらされるのか、J-WAVEのデジタル戦略局長・小向国靖氏に話を聞いた。
■J-WAVE、統合データ活用でリスナーとのコミュニケーションに成果
J-WAVEでは2020年より、独自のデジタルマーケットプラットフォーム「CCP(Customer Communication Platform)」を構築し、運用してきた。CCPとはradikoの聴取データやイベント参加、チケット購買情報、WEBでの行動履歴、さらに同局のリスナー会員サービス「J-me(ジェイミー)」などのデータをもとにリスナーの趣味嗜好を細かく分析し、それぞれのリスナーに対して、「最適なタイミング」で「最適なコンテンツ」を「最適な手段」で届けることに活用できる。
「CCPを活用することで、同じ情報を一斉に送るのではなく、それぞれのリスナーにパーソナライズした情報を、キャッチしやすい時間帯に、利用しやすいメッセージサービスとしてお届けできます。これを繰り返すことで、『J-WAVEから送られてくる情報は自分の好きなものばかりだから信頼できる』と思っていただけるようになり、メッセージの開封率もアップしていくのではないかと考えました。CCPを活用し始めてから2年になりますが、当初と比較してメッセージ開封率はメールで2.6倍、アプリ通知では4.6倍といった効果が表れています」(J-WAVEデジタル戦略局長・小向国靖氏/以下同)
このほかにも、イベントチケット購入者の属性に合わせた会場演出やブッキングの工夫、イベント開催時などには、趣味趣向別に細分化されたクラスターに向けて最適な情報を出し分けて配信するなど、さまざまな施策に活用して、確かな手ごたえを得てきた。また、昨年12月からはCCPを活かしたクライアント向けのプロモーションプランもリリースしている。
■東名阪4局の連携によりオンライン・オフラインの両面で効果的な提案が可能に
4月からは大阪FM802、FM COCOLO、愛知ZIP-FMの3局も、このCCPの導入を開始。これにより東京・大阪・愛知の3エリア・4局で合計200万MAU(月間アクティブユーザー数)のradikoリスナーデータに加え、約90万規模の各局リスナー会員を統合したデータベースが構築されることになる。
これら4局は全国5地区のFMラジオ局で構成されるJFL(Japan Fm League)の加盟局およびその姉妹局である。大都市圏をカバーしていることや、音楽コンテンツを中心に据えていることなど、共通点が多いこともあり、これまでも各局のステーションカラーを活かしつつ連携した企画を実施してきた経緯がある。今回の取組みにより、第一に考えられるのは、カバーするエリアが一気に広がることで、これまでにないバリエーションに富んだ様々なプランが、オンライン・オフラインの両面で展開しやすくなるということだ。
「3エリア・4局のデータベースを統合することで、今後はさらに共通リスナーサービスに注力していきたいと考えています。従来のラジオ番組のネット(オフライン)はもちろんですが、オンライン企画なども期待できそうです。たとえばJ-WAVEで行ったスタジオライブの模様を、ほかの3局のリスナーに向けても配信するなど。東名阪にリーチできることで、アーティストのブッキングもしやすくなりますし、また企画にかかるコストがシェアできるので、各局の負担は少なくコンテンツを充実させることが可能になります」
一方でコンテンツ制作の原資となるラジオCMを打つクライアントにも、オンライン・オフラインの両面で効果的な提案が可能になるという。
「例えば『クルマに興味のある層にアプローチしたい』というご要望であれば、そうしたリスナーが集まるゾーンに4局一斉にCMをオンエアすることができます。それに加えて『ドライブで聴きたいプレイリスト』を各局の人気DJが作成し、さらにCCPで抽出した『クルマ好きなリスナー』にお届けするなど。タイアップ企画であっても、あくまでリスナーにとって『興味のある楽しいコンテンツ』として受け取ってもらえることで、ユーザーとクライアントが密で良好な関係性を築くことを目指します」
■CCPを活用で実現するリスナーの体験価値向上とラジオCMの再価値化
近年、デジタル音声コンテンツはラジオをはじめポッドキャスト、オーディオブック、音声配信サービス(Voicy、stand.fmなど)、音声SNS(Clubhouse、Twitter Spacesなど)と多様化している。その中で、音声コンテンツの老舗であるラジオは、radikoの普及やコロナ禍の新しい生活環境下で改めてその力が見直され、リスナーが増加している。その一方で、国内のラジオ広告費は漸減しており、21年には前年比より微増しているものの、いまだ回復傾向は見られない。そういった環境を背景に、小向氏はCCPを活用することで「ラジオCMの再価値化を図りたい」とも考えている。
「従来のラジオCMとは異なり、ほかのメディアと比較した送客率や、1送客あたりの顧客単価などがシビアに叩き出されるようになります。しかし逆に言えば、1送客あたりの単価では『ほかのメディアに比べて優位』であることが証明できるのではないかとも考えています」
CCPの活用によって狙うのは「リスナーの体験価値の向上(to C)」と「ラジオCMの価値向上(to B)」。複雑化するニーズに高度なデジタル戦略で的確に応えていくことで、to C、to B双方の顧客に向けた「メディアとしての信頼性」を高めることがその目的だ。
デジタル音声メディアは多様化しているが、4局のリスナーには?都市生活者?という明確な共通点があり、趣味嗜好や行動様式にも近しいものがある。都市に親和性のあるクライアントにとってCCPには魅力的なデータが集積していると言えるだろう。もちろんサービスの充実はリスナーにとって歓迎すべきところ。今回の統合データベース活用によって多彩な企画が生まれることに期待したい。
文・児玉澄子
■J-WAVE、統合データ活用でリスナーとのコミュニケーションに成果
J-WAVEでは2020年より、独自のデジタルマーケットプラットフォーム「CCP(Customer Communication Platform)」を構築し、運用してきた。CCPとはradikoの聴取データやイベント参加、チケット購買情報、WEBでの行動履歴、さらに同局のリスナー会員サービス「J-me(ジェイミー)」などのデータをもとにリスナーの趣味嗜好を細かく分析し、それぞれのリスナーに対して、「最適なタイミング」で「最適なコンテンツ」を「最適な手段」で届けることに活用できる。
このほかにも、イベントチケット購入者の属性に合わせた会場演出やブッキングの工夫、イベント開催時などには、趣味趣向別に細分化されたクラスターに向けて最適な情報を出し分けて配信するなど、さまざまな施策に活用して、確かな手ごたえを得てきた。また、昨年12月からはCCPを活かしたクライアント向けのプロモーションプランもリリースしている。
■東名阪4局の連携によりオンライン・オフラインの両面で効果的な提案が可能に
4月からは大阪FM802、FM COCOLO、愛知ZIP-FMの3局も、このCCPの導入を開始。これにより東京・大阪・愛知の3エリア・4局で合計200万MAU(月間アクティブユーザー数)のradikoリスナーデータに加え、約90万規模の各局リスナー会員を統合したデータベースが構築されることになる。
これら4局は全国5地区のFMラジオ局で構成されるJFL(Japan Fm League)の加盟局およびその姉妹局である。大都市圏をカバーしていることや、音楽コンテンツを中心に据えていることなど、共通点が多いこともあり、これまでも各局のステーションカラーを活かしつつ連携した企画を実施してきた経緯がある。今回の取組みにより、第一に考えられるのは、カバーするエリアが一気に広がることで、これまでにないバリエーションに富んだ様々なプランが、オンライン・オフラインの両面で展開しやすくなるということだ。
「3エリア・4局のデータベースを統合することで、今後はさらに共通リスナーサービスに注力していきたいと考えています。従来のラジオ番組のネット(オフライン)はもちろんですが、オンライン企画なども期待できそうです。たとえばJ-WAVEで行ったスタジオライブの模様を、ほかの3局のリスナーに向けても配信するなど。東名阪にリーチできることで、アーティストのブッキングもしやすくなりますし、また企画にかかるコストがシェアできるので、各局の負担は少なくコンテンツを充実させることが可能になります」
一方でコンテンツ制作の原資となるラジオCMを打つクライアントにも、オンライン・オフラインの両面で効果的な提案が可能になるという。
「例えば『クルマに興味のある層にアプローチしたい』というご要望であれば、そうしたリスナーが集まるゾーンに4局一斉にCMをオンエアすることができます。それに加えて『ドライブで聴きたいプレイリスト』を各局の人気DJが作成し、さらにCCPで抽出した『クルマ好きなリスナー』にお届けするなど。タイアップ企画であっても、あくまでリスナーにとって『興味のある楽しいコンテンツ』として受け取ってもらえることで、ユーザーとクライアントが密で良好な関係性を築くことを目指します」
■CCPを活用で実現するリスナーの体験価値向上とラジオCMの再価値化
近年、デジタル音声コンテンツはラジオをはじめポッドキャスト、オーディオブック、音声配信サービス(Voicy、stand.fmなど)、音声SNS(Clubhouse、Twitter Spacesなど)と多様化している。その中で、音声コンテンツの老舗であるラジオは、radikoの普及やコロナ禍の新しい生活環境下で改めてその力が見直され、リスナーが増加している。その一方で、国内のラジオ広告費は漸減しており、21年には前年比より微増しているものの、いまだ回復傾向は見られない。そういった環境を背景に、小向氏はCCPを活用することで「ラジオCMの再価値化を図りたい」とも考えている。
「従来のラジオCMとは異なり、ほかのメディアと比較した送客率や、1送客あたりの顧客単価などがシビアに叩き出されるようになります。しかし逆に言えば、1送客あたりの単価では『ほかのメディアに比べて優位』であることが証明できるのではないかとも考えています」
CCPの活用によって狙うのは「リスナーの体験価値の向上(to C)」と「ラジオCMの価値向上(to B)」。複雑化するニーズに高度なデジタル戦略で的確に応えていくことで、to C、to B双方の顧客に向けた「メディアとしての信頼性」を高めることがその目的だ。
デジタル音声メディアは多様化しているが、4局のリスナーには?都市生活者?という明確な共通点があり、趣味嗜好や行動様式にも近しいものがある。都市に親和性のあるクライアントにとってCCPには魅力的なデータが集積していると言えるだろう。もちろんサービスの充実はリスナーにとって歓迎すべきところ。今回の統合データベース活用によって多彩な企画が生まれることに期待したい。
文・児玉澄子
2022/05/30