「正直な話をすると、もちろん光栄だという気持ち、自分にそんなお話をいただけるのかっていうのが半分で、もう半分は、年齢だったり、経験だったり、今までのこの時間帯をやってこられた偉大な方たちのことを考えると、ちょっと無理だなという気持ちでした。すみません、半々と言いましたが、7:3くらいで、お話はありがたいのですが…という感じでした」。言葉を選びながら自身の思いを吐露するのは、この春から“TBSラジオ朝の顔”になるパンサー・向井慧(36)だ。リスナーとして救われた経験を持つ者だからこそ、悩みに悩み抜いて決めた向井が、番組にかける思い、ラジオという場所への気持ちを語った。
■番組オファー時に相談した2人の先輩芸人 ファミリーという言葉への違和感
伊集院光がパーソナリティーを務める『伊集院光とらじおと』が放送されていた枠で、28日より新たにスタートする『パンサー向井の#ふらっと』(月〜木 前8:30)。“#”(ハッシュ)には「今」という意味が、“ふらっと”には、誰でも「フラット」に、気軽に「ふらっと」立ち寄ってほしい、という意味が込められている。番組タイトルのように、気軽に決断することはできなかった向井だが「この方たちだけには相談して決めたい」という2人に相談して、自身の思いを固めた。
「養成所の時からお世話になっているピースの又吉直樹さん、そして別事務所ですがオードリーの若林正恭さんに相談しました。もちろん、お2人も『絶対に(やるべき)』という感じではないのですが、このお話をもらえているという現時点での『パンサー向井として、こうだから〜』といったことをおっしゃってくれました。そこから、お2人の意見を持ち帰って考えた時に、もしかしたら一生にこんなチャンスもうないかもしれないなと。ラジオが好きで聞いてきて、この打席が回ってきたという、奇跡のようなタイミングを逃したら後悔しないかと自問自答して決めました」
向井とともに番組を盛り上げる曜日パートナーとして、月曜から順に滝沢カレン、ココリコの田中直樹、三田寛子、高橋ひかる(※高ははしごだか)が担当。向井が隔週出演となる木曜日は、TBSアナウンサーの喜入友浩が番組をアシストしていく。一見すると、統一感のないパートナーのラインナップだが、ここにこそ向井が目指す“番組像”の一端が隠されている。
「すべての年齢の人をターゲットにしたいという、無謀な思いを込めました。朝といえば、年齢層が高い方が聞いていらっしゃるのはもちろんそうで、その方たちも楽しんでもらいたい一方で、ラジオの未来を考えた時に、若い子たちも普通にラジオが聞けるようにならないと、朝のラジオってどうなっていくんだろうというのもあって。滝沢カレンちゃんと高橋ひかるちゃんとか、若い方の協力も必要で、ちょっとでも種を植えられたら…」
「TBSラジオファミリーの仲間入りとなりますが?」と向けると「うーん、なんかそうですね」と思案しながら、笑いを交えて思いを打ち明けた。「ファミリーというものが、やっぱり吉本の人間からすると、あまりいいイメージがなくてですね(苦笑)。いい面と悪い面があるということを感じていて、みなさんのお仲間に入れていただくことの楽しみはもちろんあるのですが、その中でも、いい距離感を保てたら…。僕は、一方に傾かずにバランスを取ることが一番得意なのかもしれないなと。それは毒にも薬にもならないという言い方もできちゃうんですけど、それでもやっぱり必要なものとか聞きたくなるものってあると思っているので、その路線を突き詰めていきたいなと考えています」。
■リスナーとしての原体験「その時間は嫌なことを忘れられる」 冠ラジオのおかげで「精神的に安定しました」
不用意な質問だったと反省すると同時に、この返答に向井の気持ちが隠されているような気がして「向井さんにとって、ラジオという場所はどんなものですか?」と続けてみた。「しんどいなとかちょっとうまくいかなかったなという時に、友だちにばかり吐き出せないしという時、一番ラジオを聞いていました。その時間は嫌なことを忘れられるという経験をしていました。最初に聞いたのは『ナインティナインさんのオールナイトニッポン』で、小6くらいから聞いていたので、いまだにやられていて、本当にすごいですね」と話した上で、自らの経験をもとに“開かれたラジオ”の必要性を静かに訴えた。
「芸人になって『ラジオが好きだ』と言った時に『そういうアピールしているの?』って言われたことがあって…。ちょっと衝撃的で、ラジオ好きって言っちゃいけないんだって思った時期がありました。ラジオへの思い入れが強い人が『ラジオをファッションみたいに使うな』というニュアンスでおっしゃっていたようで、こういう人たちもいるんだと。僕はそうなりたくないと、その時に思ったので、先ほどのような発言になりました。僕はもちろん、ラジオのそういう熱い側面も理解できるのですが、『そんな風に言われるんだったら、ラジオ好きっていうのをやめよう』というのだけはなくしたい。そうしないと新しい人たちは聞いてくれないんじゃないかという気持ちがあります」
だからこそ、茨(いばら)の道だとわかっていながら、バラエティー豊かなパートナーとともに誰もがふらっと立ち寄れる、フラットな番組を目指す。「偉大な伝統のある時間帯を、36歳でやらせていただくことに責任も感じますし、なんだよと思う方もいらっしゃることも承知の上で、すべて背負って、なるべく多くの方に届けるということの1点で、面白いと思ってもらう番組を届けたいです。『初めて聞きました』という方もたくさん増やしたいなという欲望も持ちながら頑張ります」。『#むかいの喋り方』(CBCラジオ)を筆頭に、『パンサー向井のチャリで30分』(ニッポン放送)、『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』(NHKラジオ第一)、『向井と裏方』(AuDee)といった冠ラジオを持つ向井だが、『#むかいの喋り方』への感謝もある。
「『#むかいの喋り方』を、地元の名古屋で始めさせてもらったことが大きかったです。自分が思っていることをしゃべる場所が、それまであまりなかったですし、ラジオが好きだっていうことが合わさって、なんかちょっとだけ熱量のある番組ができたなと。それがラジオを聞いている方にちゃんと届いているなと、メールなどで感じることができました。これをきっかけに『向井さんと番組をやりたい』と言ってくださる方がいて、ラジオ番組が増えていったので、やっぱり好きなことを好きと言って、熱量でやってよかったなと思っています」
ラジオがきっかけで、自身の見られ方も変わった。「『ラジオを聞いてみたら、こういう考えなんですね』と言われることが多くて、いろんな方に伝わってきているなと感じます。ほかの仕事であったモヤッとした気持ちや納得いかなかったなということを、全部ラジオにもっていけるので、精神的に安定しました。ただ逆に、ラジオでしゃべらなきゃと思って、そんなにムカついてないのに、感度が敏感になりすぎて、ちょっとしたことでも怒っちゃったりする瞬間もあるのですが(笑)。そういう意味でも大事なアウトプットの場所です」。強い意志をもって「すべての人をターゲットにした朝ラジオ」を目指す向井の挑戦は、これから幕を開ける。
■番組オファー時に相談した2人の先輩芸人 ファミリーという言葉への違和感
伊集院光がパーソナリティーを務める『伊集院光とらじおと』が放送されていた枠で、28日より新たにスタートする『パンサー向井の#ふらっと』(月〜木 前8:30)。“#”(ハッシュ)には「今」という意味が、“ふらっと”には、誰でも「フラット」に、気軽に「ふらっと」立ち寄ってほしい、という意味が込められている。番組タイトルのように、気軽に決断することはできなかった向井だが「この方たちだけには相談して決めたい」という2人に相談して、自身の思いを固めた。
「養成所の時からお世話になっているピースの又吉直樹さん、そして別事務所ですがオードリーの若林正恭さんに相談しました。もちろん、お2人も『絶対に(やるべき)』という感じではないのですが、このお話をもらえているという現時点での『パンサー向井として、こうだから〜』といったことをおっしゃってくれました。そこから、お2人の意見を持ち帰って考えた時に、もしかしたら一生にこんなチャンスもうないかもしれないなと。ラジオが好きで聞いてきて、この打席が回ってきたという、奇跡のようなタイミングを逃したら後悔しないかと自問自答して決めました」
向井とともに番組を盛り上げる曜日パートナーとして、月曜から順に滝沢カレン、ココリコの田中直樹、三田寛子、高橋ひかる(※高ははしごだか)が担当。向井が隔週出演となる木曜日は、TBSアナウンサーの喜入友浩が番組をアシストしていく。一見すると、統一感のないパートナーのラインナップだが、ここにこそ向井が目指す“番組像”の一端が隠されている。
「すべての年齢の人をターゲットにしたいという、無謀な思いを込めました。朝といえば、年齢層が高い方が聞いていらっしゃるのはもちろんそうで、その方たちも楽しんでもらいたい一方で、ラジオの未来を考えた時に、若い子たちも普通にラジオが聞けるようにならないと、朝のラジオってどうなっていくんだろうというのもあって。滝沢カレンちゃんと高橋ひかるちゃんとか、若い方の協力も必要で、ちょっとでも種を植えられたら…」
「TBSラジオファミリーの仲間入りとなりますが?」と向けると「うーん、なんかそうですね」と思案しながら、笑いを交えて思いを打ち明けた。「ファミリーというものが、やっぱり吉本の人間からすると、あまりいいイメージがなくてですね(苦笑)。いい面と悪い面があるということを感じていて、みなさんのお仲間に入れていただくことの楽しみはもちろんあるのですが、その中でも、いい距離感を保てたら…。僕は、一方に傾かずにバランスを取ることが一番得意なのかもしれないなと。それは毒にも薬にもならないという言い方もできちゃうんですけど、それでもやっぱり必要なものとか聞きたくなるものってあると思っているので、その路線を突き詰めていきたいなと考えています」。
不用意な質問だったと反省すると同時に、この返答に向井の気持ちが隠されているような気がして「向井さんにとって、ラジオという場所はどんなものですか?」と続けてみた。「しんどいなとかちょっとうまくいかなかったなという時に、友だちにばかり吐き出せないしという時、一番ラジオを聞いていました。その時間は嫌なことを忘れられるという経験をしていました。最初に聞いたのは『ナインティナインさんのオールナイトニッポン』で、小6くらいから聞いていたので、いまだにやられていて、本当にすごいですね」と話した上で、自らの経験をもとに“開かれたラジオ”の必要性を静かに訴えた。
「芸人になって『ラジオが好きだ』と言った時に『そういうアピールしているの?』って言われたことがあって…。ちょっと衝撃的で、ラジオ好きって言っちゃいけないんだって思った時期がありました。ラジオへの思い入れが強い人が『ラジオをファッションみたいに使うな』というニュアンスでおっしゃっていたようで、こういう人たちもいるんだと。僕はそうなりたくないと、その時に思ったので、先ほどのような発言になりました。僕はもちろん、ラジオのそういう熱い側面も理解できるのですが、『そんな風に言われるんだったら、ラジオ好きっていうのをやめよう』というのだけはなくしたい。そうしないと新しい人たちは聞いてくれないんじゃないかという気持ちがあります」
だからこそ、茨(いばら)の道だとわかっていながら、バラエティー豊かなパートナーとともに誰もがふらっと立ち寄れる、フラットな番組を目指す。「偉大な伝統のある時間帯を、36歳でやらせていただくことに責任も感じますし、なんだよと思う方もいらっしゃることも承知の上で、すべて背負って、なるべく多くの方に届けるということの1点で、面白いと思ってもらう番組を届けたいです。『初めて聞きました』という方もたくさん増やしたいなという欲望も持ちながら頑張ります」。『#むかいの喋り方』(CBCラジオ)を筆頭に、『パンサー向井のチャリで30分』(ニッポン放送)、『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』(NHKラジオ第一)、『向井と裏方』(AuDee)といった冠ラジオを持つ向井だが、『#むかいの喋り方』への感謝もある。
「『#むかいの喋り方』を、地元の名古屋で始めさせてもらったことが大きかったです。自分が思っていることをしゃべる場所が、それまであまりなかったですし、ラジオが好きだっていうことが合わさって、なんかちょっとだけ熱量のある番組ができたなと。それがラジオを聞いている方にちゃんと届いているなと、メールなどで感じることができました。これをきっかけに『向井さんと番組をやりたい』と言ってくださる方がいて、ラジオ番組が増えていったので、やっぱり好きなことを好きと言って、熱量でやってよかったなと思っています」
ラジオがきっかけで、自身の見られ方も変わった。「『ラジオを聞いてみたら、こういう考えなんですね』と言われることが多くて、いろんな方に伝わってきているなと感じます。ほかの仕事であったモヤッとした気持ちや納得いかなかったなということを、全部ラジオにもっていけるので、精神的に安定しました。ただ逆に、ラジオでしゃべらなきゃと思って、そんなにムカついてないのに、感度が敏感になりすぎて、ちょっとしたことでも怒っちゃったりする瞬間もあるのですが(笑)。そういう意味でも大事なアウトプットの場所です」。強い意志をもって「すべての人をターゲットにした朝ラジオ」を目指す向井の挑戦は、これから幕を開ける。
2022/03/25