2018年に乃木坂46を卒業後、映画やドラマなど精力的に女優活動を行っている若月佑美(27)。最新作となるNetflix映画『桜のような僕の恋人』でも、自身の夢に強い思いで挑むカメラマン・市川真琴を好演するなど、女優としての注目度もますます増してきているが、若月自身は「まだまだ苦しいという気持ちのほうが大きい」と試行錯誤の日々だという。そんな若月の胸の内に迫る――。
■頼るより頼られたい、人からもらうより与えたい!
『桜のような僕の恋人』で若月が演じるのは、中島健人(28)扮する主人公・朝倉晴人の先輩にあたるカメラマン。人間関係にドライな一面を見せるが、写真家としての大きな夢に向かって強い意志で突き進む女性だ。「真琴との共通点を探すところから始めました」と役へのアプローチ方法について明かすと「人って悲しいときに悲しいという気持ちを見せることって結構勇気がいると思うんです。私自身も悲しかったり、つらかったりしたとき、あまり人に相談するのではなく、自分のなかで答えを出そうとするところは似ているなと思いました」と共通点を語る。
一方で「真琴ほど強くはないですね」と苦笑いを浮かべると「頼るよりは頼られたいというか、人からもらうよりは与えたいという思いがあるのですが、自分のなかでは、弱さやもろさがあることも知っているので、強くありたいというのが表現的には正しいのかもしれません」と真琴という女性には憧れ的な視線があったという。
劇中では中島演じる晴人の先輩という役どころだったが、実際には中島のほうか年上だった。「現場では、中島さんが座長としてすごく引っ張ってくださっていたのですが、シーンに入るとスッと晴人になるんです。自然と私が先輩としていられるような空気感を作ってくださるので、私はそこに乗っかってお芝居をするだけでした。本当にすごいな〜と、ただただ脱帽していました」。
メガホンをとったのは、映画『神様のカルテ』や『サクラダリセット』など、瑞々しく人物を切りとることに長けている深川栄洋監督。若月は「現場ではたくさん支えていただきました」と切り出すと「中島さんと対峙するお芝居のとき、監督が中島さんにどう演出したかというのは、あまりこちらに伝えないんです。例えば『もっと怒ったほうがいいかも』と中島さんに演出したとしても私はそれを知らないので、本番でどれだけリアルに反応できるかが求められるんです。いままでそういう現場を経験したことがなかったので、とても新鮮である一方で、うまくできず悔しさも残りました」と率直な胸の内を明かす。
■経験を重ねるにつれ、苦しさも大きくなる
2020年、2021年と数々のテレビドラマに出演し、2022年は本作のほか、『劇場版 ラジエーションハウス』の公開も控えている。精力的に女優業を行っているが、どんな思いで作品に臨んでいるのだろうか。
「携わる作品のピースとして、少しでも役に立ちたいということや、面白くしたいという思いは前提にありますが、役を演じるうえで一番大切にしていることは、絶対的な理解者になりたいということです。役柄によっては、あまり共感を得られないような悪い人を演じることもありますが、どんな卑劣な人を演じたとしても、私自身が『共感できないな』と思ってしまうと、その人が救われない。だからこそ、どんな人でも何かしらの良い部分を見出して向き合うように心掛けています」。
役に真正面から向き合い、自身に投影させるという作業は、役者の醍醐味でもある一方、とてもハードなことだという人も多い。若月自身は「まだまだ苦しいなと思う気持ちのほうが大きいですね」と心情を吐露する。
その理由について「やっぱり明確な正解がないので、どこまでやればいいのかというのがわからない。また人それぞれ価値観が違うなか、一つのものを提示するので、私が演じたアプローチ方法があっていたのか……とか、私じゃない人が演じたほうがよかったのでは……みたいなことも考えてしまうんですよね」と苦悩も明かす。
そんな思いは、経験を重ねるごとにより増していくという。「現場を重ねるたびに、ある程度自分のなかで選択肢が増えていくんです。以前なら言われたとおりのことをやっていればよかったのですが、だんだんと任される機会が増えると、悩みも多くなりますよね」。
一方、苦しいなかでも、パッと目の前が開けたような瞬間もあるという。「たまにですが、自分が一生懸命に向き合って『こうかな』と思った芝居で、対峙した相手の心が動いたなと感じることがあるんです。そんなときは、とてもうれしいですし、作品を観て何かを感じてくれた方から『心が動きました』という感想をいただけると、苦しんでよかったなと思えるんです」。
■生きるモットーは「自分に後悔しないこと」
もがきながら前に進む俳優道。「私は結構心がもろいので、ハードルが高いほうが燃える……というタイプではないと思っているんです」と自己分析したが、「周囲からは大変そうな現場ほど『楽しそうにやっているよね』と言われることが多いんです」と語る。
自覚している特性と、周囲との評価が違う……。それによって「自分で思っていることがすべて正解ではない。決めつけは可能性を狭める」と大きな気づきとなり、視野が広がった。
そんな若月が生きるうえで大切にしていることは「自分に後悔しないこと」だという。
「以前グループにいたとき、一幕と二幕で内容が違う舞台をやっていたんです。そのとき、一幕がオーディション形式で、それを見てもらって、休憩時間に投票していただき、二幕に出るキャストが決まるという舞台でした。選ばれなかったとき、自分を否定してしまうと、翌日舞台に立つことも嫌になってしまうぐらいメンタルをやられてしまう。そんなときある意味で開き直りですが、『これだけのことをしたんだから、それでダメだったらしょうがない』と思うことで、次に向かうことができるんです」。
そのとき自分の出せるすべてを出すことで、結果が怖くなくなる。すると、未来に一歩が踏み出せる。そんな思いを胸に若月は女優業に突き進む。
劇中、真琴は「私には夢がある」と宣言する。若月は「そう言えることはすてきですよね」とはにかむと「夢や目標とは違うかもしれませんが、これからも後悔しない生き方をしたいですね」と未来に思いを馳せていた。
取材・文・撮影:磯部正和 ヘアメイク:AYA 衣装:蔵之下由衣
■頼るより頼られたい、人からもらうより与えたい!
『桜のような僕の恋人』で若月が演じるのは、中島健人(28)扮する主人公・朝倉晴人の先輩にあたるカメラマン。人間関係にドライな一面を見せるが、写真家としての大きな夢に向かって強い意志で突き進む女性だ。「真琴との共通点を探すところから始めました」と役へのアプローチ方法について明かすと「人って悲しいときに悲しいという気持ちを見せることって結構勇気がいると思うんです。私自身も悲しかったり、つらかったりしたとき、あまり人に相談するのではなく、自分のなかで答えを出そうとするところは似ているなと思いました」と共通点を語る。
劇中では中島演じる晴人の先輩という役どころだったが、実際には中島のほうか年上だった。「現場では、中島さんが座長としてすごく引っ張ってくださっていたのですが、シーンに入るとスッと晴人になるんです。自然と私が先輩としていられるような空気感を作ってくださるので、私はそこに乗っかってお芝居をするだけでした。本当にすごいな〜と、ただただ脱帽していました」。
メガホンをとったのは、映画『神様のカルテ』や『サクラダリセット』など、瑞々しく人物を切りとることに長けている深川栄洋監督。若月は「現場ではたくさん支えていただきました」と切り出すと「中島さんと対峙するお芝居のとき、監督が中島さんにどう演出したかというのは、あまりこちらに伝えないんです。例えば『もっと怒ったほうがいいかも』と中島さんに演出したとしても私はそれを知らないので、本番でどれだけリアルに反応できるかが求められるんです。いままでそういう現場を経験したことがなかったので、とても新鮮である一方で、うまくできず悔しさも残りました」と率直な胸の内を明かす。
■経験を重ねるにつれ、苦しさも大きくなる
2020年、2021年と数々のテレビドラマに出演し、2022年は本作のほか、『劇場版 ラジエーションハウス』の公開も控えている。精力的に女優業を行っているが、どんな思いで作品に臨んでいるのだろうか。
「携わる作品のピースとして、少しでも役に立ちたいということや、面白くしたいという思いは前提にありますが、役を演じるうえで一番大切にしていることは、絶対的な理解者になりたいということです。役柄によっては、あまり共感を得られないような悪い人を演じることもありますが、どんな卑劣な人を演じたとしても、私自身が『共感できないな』と思ってしまうと、その人が救われない。だからこそ、どんな人でも何かしらの良い部分を見出して向き合うように心掛けています」。
役に真正面から向き合い、自身に投影させるという作業は、役者の醍醐味でもある一方、とてもハードなことだという人も多い。若月自身は「まだまだ苦しいなと思う気持ちのほうが大きいですね」と心情を吐露する。
その理由について「やっぱり明確な正解がないので、どこまでやればいいのかというのがわからない。また人それぞれ価値観が違うなか、一つのものを提示するので、私が演じたアプローチ方法があっていたのか……とか、私じゃない人が演じたほうがよかったのでは……みたいなことも考えてしまうんですよね」と苦悩も明かす。
そんな思いは、経験を重ねるごとにより増していくという。「現場を重ねるたびに、ある程度自分のなかで選択肢が増えていくんです。以前なら言われたとおりのことをやっていればよかったのですが、だんだんと任される機会が増えると、悩みも多くなりますよね」。
一方、苦しいなかでも、パッと目の前が開けたような瞬間もあるという。「たまにですが、自分が一生懸命に向き合って『こうかな』と思った芝居で、対峙した相手の心が動いたなと感じることがあるんです。そんなときは、とてもうれしいですし、作品を観て何かを感じてくれた方から『心が動きました』という感想をいただけると、苦しんでよかったなと思えるんです」。
■生きるモットーは「自分に後悔しないこと」
もがきながら前に進む俳優道。「私は結構心がもろいので、ハードルが高いほうが燃える……というタイプではないと思っているんです」と自己分析したが、「周囲からは大変そうな現場ほど『楽しそうにやっているよね』と言われることが多いんです」と語る。
自覚している特性と、周囲との評価が違う……。それによって「自分で思っていることがすべて正解ではない。決めつけは可能性を狭める」と大きな気づきとなり、視野が広がった。
そんな若月が生きるうえで大切にしていることは「自分に後悔しないこと」だという。
「以前グループにいたとき、一幕と二幕で内容が違う舞台をやっていたんです。そのとき、一幕がオーディション形式で、それを見てもらって、休憩時間に投票していただき、二幕に出るキャストが決まるという舞台でした。選ばれなかったとき、自分を否定してしまうと、翌日舞台に立つことも嫌になってしまうぐらいメンタルをやられてしまう。そんなときある意味で開き直りですが、『これだけのことをしたんだから、それでダメだったらしょうがない』と思うことで、次に向かうことができるんです」。
そのとき自分の出せるすべてを出すことで、結果が怖くなくなる。すると、未来に一歩が踏み出せる。そんな思いを胸に若月は女優業に突き進む。
劇中、真琴は「私には夢がある」と宣言する。若月は「そう言えることはすてきですよね」とはにかむと「夢や目標とは違うかもしれませんが、これからも後悔しない生き方をしたいですね」と未来に思いを馳せていた。
取材・文・撮影:磯部正和 ヘアメイク:AYA 衣装:蔵之下由衣
2022/03/23