元お笑いコンビ・グレートチキンパワーズの俳優・北原雅樹（45）が、3月12日・13日に岡山市天神山プラザで行われる舞台『こどもの一生』に出演し、2018年11月の酒気帯び運転事件以来、本格的に芸能活動を再開する。このほど大阪市内でORICON NEWSの独占取材に応じた北原に、あらためて事件についての認識、活動自粛中の生活、復帰に至った経緯、現在の心境を聞いた。

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　北原の独白は約1時間に及んだ。浜松で再起しようとするも失敗し、妻のフリーアナウンサー・北原真紀（49）と昨年7月に離婚していたことも初告白、涙があふれた。それでも「僕には芝居しかないんです」と再起にかける決意を、一問一答の全文で紹介する。

■酒気帯び運転で逮捕　心から反省し「飲酒運転防止インストラクター」取得

――2018年11月12日に酒気帯び運転逮捕されました。あらためて今の気持ちを聞かせてください。
【北原】　酒気帯び運転という危険な行為をしてしまい、心から反省しています。地域の皆さま、応援してくださる方々、関係者、家族、お世話になった本当に多くの方に迷惑をおかけしてしまいました。この場をお借りして謝罪させていただきたいと思います。ニュースになったことで、飲酒運転というキーワードだけでもつらい思いをされる方に想起させてしまう形になり、本当に申し訳ございませんでした。今後このようなことは二度といたしません。誓います。

――反省の気持ちだけでなく、具体的に何か行動はされたのでしょうか。
【北原】　自分のやった罪を見つめなおそうと、「飲酒運転防止インストラクター」の資格を取得しました。交通ドライバーを監視している方がよくとられる資格なのですが、私は飲酒運転をなぜしてしまうんだろう？　と考え、自分の経験を伝えることができたらと思ったんです。アルコール量の計算や、車に運転できるようになるまでの時間などを学びました。今は勉強したことを生かし、計算しながらたしなむことを少しずつ始めました。

――活動自粛から1年後の2019年11月14日、当時アルバイトをされていたラーメンチェーンの出版パーティーで芸能活動再開を一度は発表されました。
【北原】　グレートチキンパワーズを2005年に解散し、その後、地元の兵庫県加古川市に拠点を移したのですが、お世話になっていたラーメンチェーンの社長が自粛中に声をかけてくれ、アルバイトと広報のような立場を担わせていだいていました。その社長が本を出版するということで、そのパーティーの司会を務めさせていただき、その席をもって私も活動を再開するという流れだったんです。

しかし、その後コロナが広がったことで、せっかくいただいたお仕事がすべてキャンセルになり、活動再開は事実上の白紙となってしまいました。神様が「まだ早い」とおっしゃってくれたのかもしれません。その後、引き続きアルバイト生活となりました。

――静岡県浜松市に拠点を移された時期があると聞きました。この経緯を教えてください。
【北原】　アルバイトで生計を立てながら、希望の光を頼って、2020年6月に浜松に一時拠点を移したんです。今考えると、逃げたいという気持ちもあったのかもしれませんが、当時は、何もできなければ離婚も考えるといったくらい浜松で一旗揚げる気持ちでした。

　ラジオ関係者のツテをたどり、声の仕事からできるんじゃないかと期待をかけたのですが、そんなにあまいものではありませんでした。一方、浜松の皆さんにもとてもお世話になり、タレント養成スクールに関わらせていただいたり、即興芝居の自主興行や、自主制作でのショートフィルム撮影などもでき、すべてが無駄だったわけではありません。ただ、仕事にはつながらず、2021年7月に加古川へ戻ることになりました。そして帰ってきたところ、妻から離婚の話がありました。

■17年連れ添った妻と離婚　家族の言葉が「今はエールのようにも思える」

――2004年にフリーアナウンサーの北原真紀さん（49）とご結婚され、お子さんも2人おられて、離婚されたことを初めて聞きました。
【北原】　公にするのは今回が初めてです。不貞を働いたわけではありませんが、私の仕事の状況や、事件を起こした印象、子どものこともあり、お互いに甘えてしまうから、別れた方がいいのだろうということになりました。唯一支えてくれていた家族まで失い、もう死んでもいいんじゃないかと、うつ病のようになってしまい、どこにいるかも言いたくなく、（加古川の）実家に引きこもりました。細々と続けていたSNSやYouTubeで地元に戻ったことを知らせたのも2021年12月になってからです。

――ご家族への思いを聞かせてください。
【北原】　妻と離婚したことは本当にショックでしたが、それが今はエールのようにも思えるんです。「事件を起こしても、まだ芝居がしたいの？　これからも芝居がしたいのなら、このままならお互い甘えてしまう。離婚して、あなたは好きなことをちゃんと本気でやったら？」と背中を押してくれたんじゃないかなと。もちろん妻の本音はわからないのですが、長く付き合ってきた性格からすると、そうだと思うんです。

子どもは中学3年生と小学6年生です。上は受験生で勉強を頑張っているんです。それなのに、パパが事件を起こしたり、浜松へ行って成果を出せずに帰ってきたり、つらい目にあわせてしまい、本当にダメな父親です。

――そこまでして芝居にこだわる理由は何なのでしょうか。
【北原】　僕には芝居しかないんです。こういう記事が出ると、言われると思うんですよ、芸能界が甘いから復帰できるんでしょう、食らいつきたいんでしょうと。逆なんです。他のことができないから、ちゃんとできる自信があるのが芝居だけだから、お世話になった方、育ててくれた地域に恩返しができるとしたら、やっぱりこれしかないんです。

3月の復帰舞台もギャラは出ません。それでも、自分が少しでも社会に対して貢献できるとしたら、この芝居を一生懸命やりたいと思うんです。きれいごとを並べながら、やっぱり芝居が大好きなんです。

■元グレチキだけでなく“俳優・北原雅樹”を知ってもらいたい

――やはり北原さん＝グレートチキンパワーズというイメージは現在も根強いと思います。
【北原】　東京でデビューしたころは大人たちに囲まれて何の技術もない人間でしたが、現場の共演者やスタッフさんから本当によくしていただきました。だから、元グレートチキンパワーズというイメージにネガティブな印象はありません。しかし、2022年に加古川で活動する俳優・北原雅樹も知ってもらえたらと思います。

90年代のドラマや映画とは時代が変わってしまいましたが、芝居の根幹は変わっていないと思うんです。まだまだ若輩ではありますが、これまで培ってきたものを地域に還元し、播磨地域の演劇、エンターテインメントを盛り上げていきたい。裏方の仕事もするし、後進の育成もやっていきたいです。芝居で食える、食えないは二の次。事件から3年、コロナもまた僕に何かを教えてくれたんだと思うんです。まずは地道に活動し、そしてお声がけいただけるならば、どこへでも行かせていただきます。

――3月の舞台『こどもの一生』について聞かせてください。
【北原】　正確に表現すると、本格的な脚本芝居に第三者からお話をいただき、出演するのは、2018年11月の事件後、初めてとなります。ワークショップを通して知り合った仲間から「こんな役を頼める？」とオファーをいただいて、こんなにうれしいことはないんです。市民がやる劇団なんでギャラはないのですが、播磨の隣・岡山で公演できるのも地元への恩返しになります。

中島らもさん原作の舞台の初演版になります。僕の役はそんなにせりふが多いわけじゃないんですが、ト書きのない余白部分を想像で埋めていく動きが多くて、どう演じたらいいかなと悩みながら、演出の方とも相談して、芝居に励んでいます。それがめちゃくちゃおもしろいですね。

――あらためて再起にかける思いを聞かせてください。
【北原】　活動自粛期間を通して、コロナという経験を通して、また離婚も経験して、人と人の出会いや別れの尊さを心から実感しました。まだまだ模索中ではありますが、思いをつむぐ、わかちあうことを大事にしていきたい。ぜひ皆さん、舞台を見にきてください。

――最後に、かつて出演されていたドラマ『未成年』（1995年）の共演者とのかかわりがあれば。
【北原】　いしだ壱成くん（47）とは、お互いのYouTubeチャンネルで1年前にコラボしたんですよ。壱成くんも大変ですよね（笑）。河相我聞さん（46）とは2年前にご飯を食べに行かせていただきました。遠野なぎこさん（42）には、僕が一度活動再開をアナウンスした際にテレビで対談して、しかられました（笑）。香取慎吾くん（45）や反町隆史さん（48）は常に第一線でやられていて、すごいですよね。桜井幸子さん（48、2009年に芸能界引退）や浜崎あゆみさん（43）も、一度全員で再会できたらとも思います（笑）。当時の経験を後世に伝えていくことが一つの使命。ここまで育てていただいたすべての方に感謝の気持ちを忘れず、前へ進ませてください。

■中島らも初演版『こどもの一生』
場所：岡山県　天神山文化プラザホール
日時：3月12日（午後3時、午後7時）、3月13日（午後1時、午後5時）
※ライブ・アーカイブ配信予定あり