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「電車の中で突然涙が…」パニック障害に適応障害…なんで私が? 経験した漫画家たちが明かす“心の病”との向き合い方

 コロナ禍の影響もあり、メンタルの問題に目を向ける機会が増えた昨今。芸能人が心の病を公表することも多く、「誰でもなりうるものだ」ということを改めて感じた人も多いだろう。今年、ORICON NEWSで紹介したメンタルにまつわる漫画作品にも、大きな注目が集まった。パニック障害と12年にわたり闘ってきたクロバさん(@kuroba_hiroba)、適応障害を克服した乃樹愛(のきあ)さん(@NokiaProduction)の経験談をあらためて紹介する。

クロバさん『パニック障害12年生』より(@kuroba_hiroba)

クロバさん『パニック障害12年生』より(@kuroba_hiroba)

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■パニック障害で12年の闘病、「自分が精神的な病にかかるなんて」漫画化に反響

 インスタグラムで公開した漫画『パニック障害12年生』が、読みやすく面白いと注目を集めているクロバさん。プロの漫画家として活動する中、連載スタートと同時にパニック障害を発症したのが、およそ12年前。闘病の日々を描いた漫画は、同じ病に悩む人の支えになるのはもちろん、パニック障害をよく知らない人にとっても、知識を学べるチャンスとなっている。現在は病と共存しながら、明るい生活を送れるようになったという。

 クロバさんがパニック障害を発症したのは、電車の中。突然、感情のない涙が流れてきたそうだ。「仕事の打ち合わせに行くときに、なにか気持ち悪い、動悸が激しくなる…という変な感じはしていたんです。ごはんが喉を通らないときもあって、最終的には電車の中で、これから取材が始まるというプレッシャーが爆発してしまった。僕はもともと、とても適当で軽い性格だと思っていたのに、自分が精神的な病にかかるなんて本当に驚きました」。

 その後は精神科を受診。「精神的な病はメンタルとフィジカル、どちらがきっかけなのかはわからない」とのことで、両方を調べて、同時に治療していくこととなった。とはいえ、家族や仕事仲間に病気をカミングアウトする際には、かなりの葛藤があったという。

 「仕事相手の編集さんには、『漫画家として使われなくなったらどうしよう』という不安もあり、なかなか話せなかったですね。かなり時間が経ってから伝えたのですが、『今までもやってこれたから大丈夫でしょう』みたいな、意外にさらっとした感じで(笑)。僕としてはある程度覚悟をしていましたが、いい人たちに恵まれたんだと思います。仕事もしやすくなり、言って良かったなと思いました」。

クロバさん『パニック障害12年生』より(@kuroba_hiroba)

クロバさん『パニック障害12年生』より(@kuroba_hiroba)

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 たしかに、以前は心や精神の病は周りに秘密にされることも多く、通院することも隠すような風潮があった。だがここ数年は公表する有名人も増えて、世の中の病気に対する見方も変わってきたと感じるそうだ。

 「変わってはきていますね。元King & Pinceの岩橋玄樹さん、Sexy Zoneの松嶋聡さん、KinKi Kids堂本剛さん、ほかにも星野源さん、IKKOさん、中川家・剛さんなど、パニック障害を患っていたことを公表した方は多いです。少し前には、深田恭子さんが適応障害を公表して休養されていますね(現在は復帰)。病気が明かされたとき、ファンの方々は『かわいそう』『戻ってきてほしい』ととても心配されたと思います。ただ、自分が同じ病気になって気づいたのですが、心配はできても、その人が抱えるパニック障害について、深い理解に至るのは難しいんじゃないかな、と思うんです」。

 心の病を当事者以外が理解するのは難しい。だが、このように有名人が病を公表することで、同じ病気に苦しむ人が励まされることは多いという。

 「発症してもなお活動を続けている方を見ると、『パニック障害なのにこんなにすごい活動ができるんだ』と思えたりする。同じ病気を抱える人には、とても励みになると思います。この病気は、いつ治るのかもわからないし、そもそも完治するかもわかりません。症状も人それぞれだからこそ、カミングアウトしやすい環境はすごく重要だと思うんですよね」。

 今後は、パニック障害と共存しながら、漫画を描いていきたいと決意を語る。

 「この病気は完全に治すことはなかなか難しいので、治るというより楽になる方法を考えることが大切。なってしまったら、自分のできることから少しずつやっていくしかないんです。パニック障害という自分のひとつの個性を持った上で、僕ができること、好きな漫画を描いて行けたらいいかなと思っています。良くも悪くも、僕は僕でしかないので」。

乃樹愛さんのコミックエッセイ『なんで私が適応障害!? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)

乃樹愛さんのコミックエッセイ『なんで私が適応障害!? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)

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 過去に適応障害を患い、克服したのが漫画家の乃樹愛(のきあ)さんだ。もともと大手の教育系企業に就職していたが、その後に発症。会社のシステムが自分に合っていないと感じ、電車の中で過呼吸になって通勤できなくなったことで、「これは普通じゃないぞ」と気づいたそうだ。

 乃樹愛さんは早期に受診することができたが、世の中にはすぐに仕事を手放すことを決断できない人も多いだろう。

 「やっぱり、『環境に慣れていないだけかも』とか『自分は社会人として甘えているのか』とか、『社会に適応できない自分を認めたくない』という思いとか。つい、結局もう少し頑張ってみようって思ってしまうんだと思います。ですが、まずは自分の身体が優先。不調を感じているのに我慢して、病気を長引かせてしまうことが一番怖い。私ももちろん不安でしたが、退職をするのか、それとも休職にするのかどうかもカウンセラーの先生と相談しました。当時の自分は判断力もない状態だったので、客観的に判断してもらう必要があったんですよね」。

 では、自分が「なにかおかしい」と感じたら、まずは何をすべきなのだろうか。

 「とにかく専門の病院に相談してください。心療内科や精神科には行きづらいと感じる人が多いかもしれませんが、なんでもなければそれでいい。普通、体調が悪くなれば病院にいくと思うのですが、心の病気って自分でなんとかできるって思いがちなんですよね。でも、心だって病気になります。しっかり受診して、専門家やカウンセラーに相談してください。話を聞いてもらうだけで認知の仕方が変わったり、悪い状況をプラスに感じられるようにしてもらえることもあるんです」。


 乃樹愛さんは、自身のブログや著書『なんで私が適応障害!? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)などで、適応障害を経験したからこそのメッセージを発信している。

 「真面目な人ほどどうしても、『うまく適応できないのは自分が悪い』と考えてしまいがち。そこで我慢してしまうと、症状が長期化、悪化してうつ病などのその他の疾患に移行する可能性もある。そういう人を少しでもなくしたいという思いはあります。まず、その日一日過ごせた自分を褒めてあげてほしいです。先のことを考え過ぎると、不安でしかないけれど、1日を積み重ねていくことで未来が見えてくるので。一日無事に生活できれば、それだけですごいことなんだと思って欲しいです」。

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  • クロバさん『パニック障害12年生』より(@kuroba_hiroba)
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  • 乃樹愛さんのコミックエッセイ『なんで私が適応障害!? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)より
  • 乃樹愛さんのコミックエッセイ『なんで私が適応障害!? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)

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