俳優の成田凌が、小説家・燃え殻による書き下ろしオリジナルストーリーによる新ドラマ、Huluオリジナル『あなたに聴かせたい歌があるんだ』で主演を務めることが発表された。オンライン動画配信サービス「Hulu」にて、2022年5月に独占配信される。

　同作は、デビュー作「ボクたちはみんな大人になれなかった」（新潮社）が幅広い層から熱烈に支持されベストセラーとなり、今年映像化もされた小説家・燃え殻による映像化のための書き下ろし作品。燃え殻が高校時代に体験した出来事をもとにして物語が展開し、その中に登場する同級生男女5人の若者が人生の岐路を迎え、理想と現実に葛藤する日々を群像劇として瑞々しく描き出す。多様な生き方や価値観が広がる現代で、観る人に改めて人生観を問いかける。

　映画『愛がなんだ』（18年）、『カツベン！』（19年）『ニワトリ☆フェニックス』（22年）、1月期日本テレビ系土曜ドラマ『逃亡医F』など主演作が相次ぐ成田は、主人公・荻野智史役を演じる。27歳の平凡なサラリーマン。東京の大学に進学し役者の道を進むが途中で挫折。就職して2年目の営業マンとなるもモヤモヤを抱えたまま毎日を過ごしている。そんな何気ない日常を不器用ながらに一生懸命生きる男を、同世代の成田が等身大で体現する。

　さらに本作のキーとなる劇中歌には、2000年に発表され世代を超えて熱狂的なファンを持ち続けるキリンジの名曲「エイリアンズ」を起用。監督は、数々のCMやミュージックビデオを手がけ、『東京喰種トーキョーグール』（17年）、『サヨナラまでの30分』（20年）など、映画やドラマでも活躍している萩原健太郎が務める。本作では監督のみならず、原作協力や、共同脚本も手がけており、燃え殻と萩原監督によってゼロから生み出された物語となる。実は、映像化に先駆けて今年9月から、おかざき真里による同名漫画が「週刊SPA！」（扶桑社）にて連載中だ。

■成田凌（荻野智史 役）のコメント
　荻野は自分での意志で東京に出て、お芝居をして、オーディションを受けて、を繰り返しています。だから自分の意志で今ここにいる荻野は格好いいと思います。『あなたに聴かせたい歌があるんだ』というタイトルは意志が強いですが、弱い人間たちが考えて決断をして、一生懸命に生きて、でもダメでまた次の決断をして、そんな毎日を過ごす様を描いています。何もない日常であっても必ず何かがあり、その何かが何もないよりは良いのではないかと思える優しい物語です。希望があり、明日も生きようと思える作品であると確信しています。

■原作者・燃え殻のコメント
　このドラマの核になる出来事は、自分が高校時代に起きた本当にあった出来事です。その話を萩原監督に話したところからすべてが始まりました。「その出来事に落とし前をつけましょう」と話したのを覚えています。夢と現実と後悔の三叉路で立ち尽くしているすべての人たちに観ていただきたいです。

■萩原健太郎監督のコメント
　2017年12月23日。僕が初めて燃え殻さんと会った日だ。「ボクたちはみんな大人になれなかった」を映画化したくてTwitterでDMを送らせていただいたのが始まりだった。だいぶ緊張していたので詳細はおぼろげだが、その席で何か一緒に作ろうという話になった。事前に「ボクたちは〜」の映画化がすでに決まっている事を聞かされて落ち込んでいたから、ただただうれしかった。そこからは、燃え殻さんが思いついた物語を送ってくれて、僕がそれに感想を返すというやりとりが何度も続いた。それはとても幸せな時間で、大好きな作家の新作を誰よりも先に読めている事実に興奮したのを覚えている。

　テーマ、話数、尺など、何も決め事を設けなかった。初めてのやり方だったけど、物語がどこまでも広がっていく豊かさがそこにはあった。あれから4年。たくさんの方の尽力のもと、ようやく20分×8篇の物語として形に出来たことが何よりうれしい。さらにそこに成田凌という今を代表する俳優が加わってくれた。最高過ぎる。

　本作は、自分の人生の主人公から降りてしまった“27歳”たちの群像劇である。白黒決めつけたがる社会の中で、曖昧な灰色のまま悩み続ける人々の光を切り取った。実体の無い空気に生き方まで支配される息苦しい世の中で、大きく息が吸えますように。8篇の中に1つでも、あなたの心に残り続ける物語があったとしたら、とても喜ばしい。