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猫を救った「6年間の仕送り」と「小さな決心」、涙が止まらない…命をつないだ人々の努力

 猫の保護を行なうNPO法人『ねこけん』には、日々さまざまな相談が寄せられる。飼えなくなってしまった猫、ケガや病気の猫の保護を依頼されることも多いそうだ。もちろん、保護団体に託すこと自体が素晴らしいことだが、なかには自ら手を差し伸べ、猫を救おうと尽力する人もいる。今回は、老猫のために6年間仕送りを続けた女性、そして、動けない猫を自ら保護し看病した男性の話を紹介。『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

25歳の大往生をとげた三毛婆さん(写真:ねこけんブログより)

25歳の大往生をとげた三毛婆さん(写真:ねこけんブログより)

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■25歳の猫に「最後の仕送り」、殺処分寸前の老猫を支えた女性の愛情

 2017年9月26日、25歳になった猫、三毛婆さんが息を引き取った。人間でいうと116歳というスーパーご長寿のおばあちゃん猫。しかし、三毛婆さんは一度、命を絶たれそうになったことがある。それを救ったのは、1人の女性だった。

 当時20歳くらい、ドラッグストアで働いていたというその女性は、お客の老女から「19歳の老猫を飼い続けられなくなった。保健所で殺処分してもらうしかない」と聞き、『ねこけん』に助けを求めたそうだ。老女を説得し、なんとか猫を保護したものの、19歳の高齢ともなると、譲渡会で家族を見つけるのも難しい。すべてを考慮した上で、溝上氏が自ら猫を引き取ることにした。三毛婆さんと名付けられたその猫は、最初こそ輝きを失った目をしていたものの、日を追うごとに元気を取り戻し、くるくると表情を変えるように。その様子は、とても19歳の老猫とは思えないほどだった。

 そんな風に救われた三毛婆さんだったが、溝上氏は最初に救いの手を差し伸べた、年若い女性依頼者のことが今でも忘れられないという。

 「『ねこけん』で猫を保護した場合、依頼者から月1万円の保護費用を支払ってもらうシステムになっています。でも三毛婆さんの場合は私が飼うことに決めたので、保護費用はいらないと伝えました。でも依頼者の彼女は、『自分にはそれくらいしかできないから』と、自分ができる範囲で5000円を毎月支払ってくれたんです」。

 20歳前後の女の子にとって、毎月5000円の出費は厳しかったことだろう。そもそも、自分が飼っていた猫でもない。だが彼女は、それから6年もの間、一度も欠かすことなく払い続けた。たとえ一緒に住んではいなくとも、彼女は間違いなく三毛婆さんの家族。毎月払い続けたお金は、彼女から家族へ向けた愛情だったのだろう。

 そんな愛に支えられ、三毛婆さんは溝上家で強く愛らしく、幸せな生活を送った。だが、ついに別れのときがくる。溝上家に来て6年、2人の家族に守られた三毛婆さんは息を引き取った。

 「彼女には、元気な三毛婆さんの写真をいつも送っていました。三毛婆さんが亡くなったことを伝えると、『ありがとうございました。私には仕送りしかできなくてすみませんでした。みなさまには感謝でいっぱいです。最後の仕送りをします。お花を買ってください』と、1万円を送ってくださいました」。

 静かに眠る三毛婆さんの傍らには、彼女が最後に送ってくれたお金で買った花が添えられた。そのピンクの南国の花は、三毛婆さんの胸に咲くトーチのようだった。

Kさんに救われた、動けなかった子猫(写真:ねこけんブログより)

Kさんに救われた、動けなかった子猫(写真:ねこけんブログより)

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 もう一例。相談者・Kさんから、「数日前から、動かない子猫が職場の敷地内にいる」と一通のメールが届いた。Kさん自身もすぐに駆け付けたが、その子猫はどうやら両腕しか動かせない。どこかにケガや障害があるようだったという。

 相談を受けた『ねこけん』だったが、現場はかなりの遠方で人手が足りないこともあり、Kさんに向けて、さまざまなアドバイスを送くることにした。Kさんはそれを受け、なんとか子猫の保護に成功。捕獲するまでに、実に3時間もかかったそうだ。だが、Kさんはすでに片腕のない猫を飼っており、その子が突然出産した子猫2匹もいた。これ以上、猫を飼うのは難しいと思いながら、先々の不安よりも目の前の動けない子猫をなんとかして助けてあげたい…そんな気持ちが強かったという。

 こうして保護した子猫を動物病院へ連れて行くと、やはり骨盤骨折をしていた。おそらく数ヵ月で歩行はできるようになるが、膀胱麻痺が残ったり、うんちが腸内に詰まる恐れもあるという。そんな状態にもかかわらず、Kさんは「結果にショックはありますが、連れてきてよかったです」と、『ねこけん』にメールを送ってきた。保護後に不安もあったはずなのに、「連れてきてよかった」。その言葉を聞いたことに、『ねこけん』のメンバーも胸をなでおろし、涙を流したそうだ。

 「医療費は結構かかりますが、今回タバコも止めることにしました。そんな小さい決心で猫さんを救うことができます。かえって自分も健康になります(笑)」とKさん。子猫は最初こそシャーシャーと毛を逆立てていたが、痛みと恐怖から解放され、しばらくすると落ち着きを取り戻した。Kさんが思い切って手を伸ばすと、触らせてくれる。その様子を伝えるメールには、「『ありがとう』って号泣しました」と書いてあったという。

 死を待つだけであったり、傷ついていたりする猫を前にしたとき、果たして誰もが行動に移すことができるだろうか。自分が引き取るのか、治療費はどうするのか…そんな考えがよぎって二の足を踏んでしまう人も多いだろうし、それも仕方ないことだ。そんな人たちに向けて、溝上氏は「誰もがためらいなく、手を差し伸べられるような世界になってほしい」と願う。

 「いろいろと不安はあると思いますが、大切なのは猫を救ってあげたいという気持ち。どんなに経験のある人も、初めてのときは不安があります。でも、そんな状況に遭遇したとき、猫を救いたい強い気持ちがあれば大丈夫。頑張って対処してみて、どうにもならなくなったら『ねこけん』のような団体に相談すればいいのだと私は思います」。

関連写真

  • 25歳の大往生をとげた三毛婆さん(写真:ねこけんブログより)
  • Kさんに救われた、動けなかった子猫(写真:ねこけんブログより)

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