ハリウッドでは日本の漫画やアニメを当たり前のように楽しんで育った世代の活躍がめざしく、たびたびオマージュシーンが話題になる。5日に公開されるマーベル・スタジオ映画の新作『エターナルズ』の指揮をとるクロエ・ジャオ監督も1982年生まれで、「幼い頃から日本の漫画が大好き」と語っており、一番お気に入りに「幽☆遊☆白書」 を挙げている。しかも、メインキャラクターのキンゴ（演：クメイル・ナンジアニ／吹替：杉田智和）の能力に「幽☆遊☆白書」浦飯幽助の霊丸（右手の各指からエネルギーが出る能力）を取り入れたというのだ。

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　「幽☆遊☆白書」は、冨樫義博が「週刊少年ジャンプ」（集英社）に1990年から94年にかけて連載していた漫画が原作で、アニメ化もされた。2020年12月にはNetflixによる実写シリーズ化が発表されている。

　『エターナルズ』は、映画『アベンジャーズ／エンドゲーム』（2019年）のその後の世界に迫りくる、人類どころか地球滅亡の危機に現れる10人のヒーロー〈エターナルズ〉の活躍を描く。〈エターナルズ〉は、アイアンマンやキャプテン・アメリカら〈アベンジャーズ〉が誕生するよりも、はるか昔から地球に存在し、何世紀もの間、人知れず人類を見守ってきたヒーローたち。アイアンマンたちがいなくなった地球に、サノスをも超える未曾有の脅威が迫る中、ついに姿を現すのだった。

　メガホンをとったクロエ・ジャオ監督は、今年開催された「第93回アカデミー賞」でアジア系女性として初めて監督賞を受賞する快挙を成し遂げた人物。対象となった映画『ノマドランド』は作品賞、主演女優賞（フランシス・マクドーマン）の3冠に輝いた。

　幼い頃のジャオ監督は自由に映画を観られる環境になく、その代わりに日本の漫画を読み漁っては漫画家になる夢を追っていたという。「高校時代は『幽☆遊☆白書』の“蔵馬”と呼ばれていた」というエピソードも明かしている。漫画家になる夢は「上手い絵が描けなかった」ため断念したそうだが、今も漫画好きは変わっておらず自身のワゴン車に「AKIRA」（大友克洋による日本の漫画）と命名するほど。

　映画監督の道を進んでからは、「大好きな作品のキャラクターが持つパワーを映画で使うこと」に変わっていったという。さらに、「漫画は私の体の中に染み込んでいるの。すべてが、ある程度その（漫画の）影響を受けていると思う」と断言。

　そして、『エターナルズ』に「幽☆遊☆白書」の要素を取り入れた経緯について、クロエ・ジャオ監督は「二つあるわ。一つは、私のお気に入りの漫画『幽☆遊☆白書』の浦飯幽助の霊丸ね。私はずっと、『幽☆遊☆白書』にある彼らのパワーをいつか、映画で使いたいと思っていたの。私が初めてそれを読んだ時、それは私の夢だったの」と、話す。

　さらに「10人いるエターナルズの中でも、キンゴのパワーをセナ（演：アンジェリーナ・ジョリー／吹替：深見梨加）とイカリス（演：リチャード・マッデン／吹替：川田紳司）のパワーと区別する時、私は言ったわ。『それ（霊丸）をやる時だと思う』ってね。キンゴの能力は本当に、幽助のパワーに敬意を表したものなの。でも、私たちは本家の1本指ではなく2本の指でやっているわ（笑）」と、語っている。

　日本の漫画から影響を受けているシーンとして、今後、語り継がれていくことになるであろうキンゴの迫力あるアクションシーンに注目だ。

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