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人間の都合で猫を捨てる? コロナ禍、家族の反対、離婚…「飼い猫まで巻き込んではいけない」

 コロナ禍によって、ペットを飼う人が増えたと言われている昨今。徐々にもとの日常に戻りつつある今、「コロナ禍になってから飼ったのに、すでに『手放したい』と言ってくる人もいる」との声もある。人間の勝手な都合に振り回される犬や猫が、これ以上増えないことを願うばかりだ。NPO法人『ねこけん』では、さまざまな理由で飼えなくなった猫を保護している。代表理事・溝上奈緒子氏に、過去にあった事例について聞いた。

DV・モラハラ受けた三毛猫(左)と飼い主の離婚で手放された風子(写真:ねこけんブログより)

DV・モラハラ受けた三毛猫(左)と飼い主の離婚で手放された風子(写真:ねこけんブログより)

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■「家族が1人でも反対していたら飼うべきではない」、DVとモラハラを受けていた猫

 ある日、夫におびえた主婦から『ねこけん』に相談が寄せられた。「猫を外に出せ」という夫から連日のように罵声を浴びせられ、物を投げられることもあったそうだ。やがて精神科に通うほどにまでになった主婦は、「このままでは、いつかこの猫は殺されてしまうのではないか?」、そう思い悩んだ末、『ねこけん』に助けを求めたのだという。

 「奥さんも猫も、言葉の暴力のようなモラハラだけではなく、DVも受けていたそうです。猫ちゃんも虐待されて体に傷を負っていたため、『我々が警察に通報しますか?』とも尋ねましたが、奥さんの要望で通報はしませんでした。たとえ言葉の暴力だけでも、人間と同じように猫ちゃんも精神を病みます。人を怖がるようになりますし、表情も変わってしまう。罵声を毎日浴びせられていたら、その影響は計り知れない」と溝上氏。確かに、引き取られた当時の“三毛猫さん”の表情は、とても緊張しているように見える。

 「猫を育てる環境はとても大切だということです。もし、家族が1人でも反対していたら、動物は飼うべきではない。『ねこけん』でも、譲渡を希望される方には、必ず家族全員の同意を取ってもらうことにしています。家族が反対したにもかかわらず、飼い始めてしまった…その結果がこの“三毛猫さん”です。猫を不幸にしないために、迎える命にも責任を持ってほしい」。

 もう1例。風子は、ある夫婦によって飼われていたアメリカンショートヘアの猫。目がクリクリっとしていて、とっても可愛らしい美人猫である。飼い始めた当初はきっと、その夫婦も幸せな未来を思い描いていただろう。風子も家族の1人として、生活に潤いを与えていたに違いない。しかし、時の流れは残酷である。そんな夫婦も事情があり、離婚することを選択。風子は、元妻が引き取ることになった。

 だが、しばらくして元妻から「猫を飼えなくなった」と連絡が入った。すでにペット不可の物件に住んでいた元旦那は、扱いに困り、『ねこけん』に相談したという。こうして風子は、『ねこけん』によって保護されることになった。

 「猫を引き取ったにも関わらず、元奥さんもペット不可のところに住んでしまったようで、結局飼えなくなって元旦那に相談したそうです。猫を飼うならペット可の物件に住む、これは当たり前のこと。離婚には事情があると思いますが、飼い猫まで巻き込んでいいということではないと思います」。

 世の中には問題外の多頭飼いや虐待など、ひどい飼い主もいるが、おそらくこの夫婦は離婚しただけで、本来は普通の飼い主だったのだろう。しかし、ペットを飼う上では「身勝手」と言われても仕方がない。

 「自分で飼い始めたのに、自分の都合で『引き取ってほしい』と言ってくる依頼は、本当に多いです。すでに猫を飼っているにも関わらず、ペット不可の団地に引っ越しをしてしまった、という事例もあります。一体何を考えてのことなのか…、困惑するケースが多々あります」。

 環境の大きな変化は、猫にとっても大きな負担となる。特に、愛する飼い主と離れ離れになるとき、そのストレスは計り知れない。『ねこけん』にやってきた風子も、その影響は大きかった。「何日もご飯を食べず、二晩鳴き続けた」という風子。隠れてしまい、ボランティアメンバーの前に姿を現すこともない。きっと、なぜ家族が迎えにこないのか、必死に呼んでいたのだろう。いきなり知らない場所に連れてこられ、周りは知らない人ばかり。風子の不安は、二晩も鳴き続けた姿にはっきりと表れていた。

 そんな風子だったが、預かりボランティアの献身的なお世話もあり、徐々に環境に慣れていった。しばらくして、風子は里親とのトライアル期間を経て正式な家族として迎え入れられ、『ねこけん』から巣立っていった。

 DVを受けた三毛猫も、風子も。人間の都合で翻弄される猫や犬が、これ以上増えないことを願いたい。

関連写真

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