中学受験を舞台にした日本テレビ系連続ドラマ『二月の勝者 -絶対合格の教室-』（毎週土曜　後10：00）で、正義感あふれる新任塾講師の佐倉麻衣役を好演している女優の井上真央（34）。今作では500人以上のオーディションから選び抜かれた子供たちと共演を果たしているが、「その頃の私は、スタッフや共演者の方に遊んでもらったり、『お弁当楽しみだなぁ』というくらいの感じでいましたね。今の子供達の方がずっとプロ意識があると思います」と幼少期からのキャリアを振り返り女優として歩んできた道のりについて語った。

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■柳楽優弥の熱量に驚き「黒木先生と重なる」

　今作は、累計200万部以上の中学受験の実態をリアルに描いた人気マンガが原作で、主人公の最強で最悪なスーパー塾講師・黒木蔵人（柳楽優弥）による、中学受験を舞台にした人生攻略ドラマ。

　「中学受験は課金ゲーム」「親はスポンサー」など過激な言動で周囲を圧倒する黒木のキャラクター性とともに、黒木を演じる柳楽の役へのハマり具合も話題となっている。「このドラマに挑んでみようと思えたのは、柳楽さんの存在も大きかった」という井上は、「台詞や伝えなければならない情報量も多いので大変だと思います」と心を寄せながら、「柳楽さんが現場で台本を開いているような姿は見かけませんし涼しい顔をしています（笑）。そんなところは黒木先生と重なるなと思っています」。

　井上が演じるのは、黒木が校長を務める桜花ゼミナールで働く、新任塾講師の佐倉役。中学教員の経験があり、冷徹な黒木の発言や指示になにかと反発していく役どころだ。井上は「佐倉は、ドラマを見ている方に近い存在だと思います。塾講師としては新人ですし、正しいと思っている部分や生徒との向き合い方を、黒木先生にどんどん崩されています。いつも怒られたり罵られてばかり」と苦笑いを浮かべつつ、「回を重ねるごとに、お互いを認め合う瞬間が出てきて良い相棒になれたら、黒木先生の言葉の真意も見えてくるかもしれませんね」という。2人の関係性の変化にも注目だ。

■積み重ねてきたキャリア　歩みを進める上で大事だったこととは？

　今作にとって大きな存在となるのが、中学受験に挑む生徒を演じる子供たち。オーディションで役を勝ち取り、今後の活躍も期待される31人の子役たちが出演している。子供たちとの共演について、井上は「不思議なエネルギーが伝わってきます。小学校高学年から中学生までの子たちが集まっているんですが、タイプや個性も違いますし、『女の子はしっかりしているなあ』と思ったり。1話のサッカー少年を演じた佐野（祐徠）くんは、実際にサッカーが大好きで習っているようですし、2話で鉄道オタクぶりを発揮する山城（琉飛）くんは、本当に鉄道に詳しくてなにを質問しても返してくれる。途中から、『先生』と呼んでいました」と楽しそうに笑う。

　井上自身は、幼少期から芸能活動を始めた。「その頃の私は、スタッフや共演者の方に遊んでもらったり、『お弁当楽しみだなぁ』というくらいの感じでいましたね。今の子どもたちの方がずっとプロ意識があると思います」とにっこり。子役時代は「主演という立場になって、責任感や覚悟が出来たように思います。そうしているうちに、いつの間にかこの仕事が生活の一部になってきて。ここまで続けてこられたのは不思議ですね」。

　
　そのなかでも糧になっていると思うのは「受験したり大学に通ったり、その時にできること、その時にしかできないことはどんな経験にも活かせると思います。好きなことや得意なことをたくさん見つける時間も大切にして欲しいです」と子どもたちにエールを送る。

　30代に突入し、寅さんの少年時代をドラマ化した『少年寅次郎』では“昭和のお母ちゃん”役、米騒動に奮起した女性たちを描く映画『大コメ騒動』では庶民の底力を体現するなど、俳優としての幅を広げている井上。「この作品には、『少年寅次郎』に出演していた子供たちも出ているんですよ」と再会を喜びながら、「“求められたことに一生懸命に応える”という時期を経て、今は“自分はどう思うのか、自分になにができるのか”と、より自分の本音の部分と向き合っていけるようになったと思います」と自身の変化を打ち明ける。

　今回の原作を読んだときには「自分で考えて選択し、決めることの大切さが描かれていた」。まさに今の彼女のモットーにもつながるように感じるが、「『自分はどうしたいのか』と考えることはとても大切なこと。子供たちだけではなく大人たちへも伝えられるメッセージがたくさん詰まったドラマになると思っています」と力強く語っていた。

（文・取材／成田おり枝）