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佐久間宣行氏が感じる、フリーの充実感と局員時代の恋しさ 2年の歴史詰まった“ラジオ本”完成

 3月31日をもってテレビ東京を退社した、テレビプロデューサーの佐久間宣行氏(45)。局員時代には『ゴッドタン』『ピラメキーノ』『ウレロ』シリーズ『青春高校3年C組』『あちこちオードリー』など、数々のバラエティーを生み出してきたが、2019年4月からはニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』(毎週水曜 深3:00)でラジオパーソナリティとしても活躍している。そんなパーソナリティーという名の“船長”として率いた“航海”の日々をつづった番組本『普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる〜佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)2019−2021〜』(扶桑社)が、6月30日に出版。「番組本といえば、ビジュアルが多い印象があるのですが、これはガッツリ書籍です(笑)。ビートたけしさんが、語りおろしで出す本くらいのページ数ですね」と大笑いする佐久間氏に、ラジオへの思い、フリーになってからの心境などを聞いた。

フリー後の仕事ぶりを語った佐久間宣行氏 (C)ORICON NewS inc.

フリー後の仕事ぶりを語った佐久間宣行氏 (C)ORICON NewS inc.

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■人間性がにじみ出る“家族の話” オードリー若林への思い

 同書では、厳選されたフリートーク集をはじめ、佐久間氏本人が初めて描き下ろした漫画などを掲載。ラジオでは、家族とのエピソードも語られているが「ウチの家族は本当に信じられないくらい、僕の仕事に興味を持たないでおなじみなんですけど(笑)。実物の本が出来あがってきたのを見て『厚っ』『こんなにしゃべったの?』みたいな感じで話していましたね。娘は本が好きで書店に行くこともあるので、この本が並んでいたら、嫌がるだろうなー」と父としての感想を漏らす。

 「この本をきっかけに、ラジオに興味を持つ方に、まず読んでもらいたいトークパートは?」と向けると、明快な答えが返ってきた。「僕の人間性が出るのは…家族の前で起きたミスを取り繕おうとしているのがすべてなんですけど(笑)。ディスポーザー壊れた話とか、ワイングラスを割った話などを読んでもらえると伝わるかもしれません。実は、今も白のTシャツに、お昼で食べたスープカレーこぼしちゃったから(ジャケットのボタンを留めて)隠しているんですよ、ガハハ。話せて楽になりました(笑)。仕事はけっこう細かくやる方なんですけど、プライベートは何も頓着しないから…。おじさんのプライドほどみっともないものはないなと、ラジオをやればやるほど痛感します」。

 トーク集を読んでいると、佐久間氏がトークの中で“擬音語”をよく使用していることがわかる。「僕も文章を見るまで、そこまで擬音語を使っているとは思わなかったです。トーク用のメモには擬音を書いたりはしていないのですが、しゃべる時は、臨場感を伝えるために、こんなに擬音語を使っているんだなと。もちろん、リスナーに伝えるというのはあるのですが、まずは目の前にいる作家とブースにいるディレクターに伝えようと思うから、そうなると臨場感を大事にしていくのかもしれないですね」。試行錯誤を繰り返しながら、仕事の話、家族の話など、佐久間氏ならではのエピソードも飛び出してきたが、それもリスナーという“船員”との関係があってこそだ。

 「2年と3ヶ月ほど『ANN0』を担当させていただいて感じるのは、リスナーがお笑いと洒落がわかってくれているなと信頼しているので、どんな球を投げても大丈夫だなということですね。僕はいろんな偶然があって、ANNブランドの中に入れてもらっていますけど、ラインナップを見ると、今のエンタメ界を象徴する方たちばかりで…。その末席にいさせていただけるのはありがたいですね。3年目に突入しているっていうのは、なんか年表に載れた感じがしてうれしいです」

 同書には、トークゲストとして、オードリーの若林正恭が登場。佐久間氏は「若林くんのインタビュー読んだのですが、びっくりしました。やっぱりすごいなと。僕に対する思っていることとかに触れることができました。例えば、僕が作る、編集する、自分が編集されることの気持ちが初めて聞くことができて、自分の中でも一生残り続ける面白いインタビューでした」との思いを打ち明けながら、トークバラエティー『あちこちオードリー』について語った。

 「僕と若林くんとの間で何段階かあってできた番組という気持ちがあって。僕はオードリーのラジオを聞いていて、番組で一緒になる機会もあったのですが、BSジャパン(現:BSテレビ東京)で若林くんと小説家だけのトーク番組『ご本、出しときますね?』という番組をやって、その時に若林くんがどんな話でも広げることができるなとわかった上での『あちこちオードリー』で…。そこには春日(俊彰)もいてくれたほうがいいなという意味での、今の番組なので感慨深いですよ。テレ東の役員と話していたら『ご本、出しときますね?』について『最高だったな』と言ってくれていたので、またやらせてくださいと伝えました」

■描き下ろし漫画に奮闘 コロナ禍でのテレビ作りに希望も

 今回の番組本では、描き下ろし漫画にも挑戦しているが「マジで本当に引き受けるんじゃなかったと思いましたよ(笑)。描きたいことが思いついてから、ネームにおこすってあんなに大変なんですね。漫画家さんがいかに大変かわかりました」と奮闘ぶりを明かした。「ネーム描いてから、ペン入れをする時にペンがないことに気がついて、ボールペンで試してみましたが『無理だな』と(笑)。そこで、Gペンで試してみましたが、慣れていない人はまったく描けないですね。線もうまく引けない。今度はミリペンっていうのを買って、0.5ミリとかで描き始めたら、めっちゃ太くて…。次に0.1ミリのペンも買って…。0.1ミリのペンって、僕が慣れていないのもあって、筆圧ですぐに折れちゃうんですよね。後半はペン先が死んでいるので、リアルにペン先が死んでいる漫画を読んでいただけることになると思います。普通の漫画だったら、そんな過程は読めないですよ(笑)。おじさんの自力の4ページはここが限界だっていうのが見て取れるのではないかなと」。

 フリーになってから2ヶ月以上が経過したが、生活ぶりは変わったのだろうか。「徐々に新しい仕事のお話もいただいているので、撮影とかになってくると、また働き方も変わってくるのかな。テレビ東京はすごくいい会社でしたが、今まではテレビ東京に合った企画を出していて、あきらめていた企画も正直いくつかありました。それが、ほかのところで実現しそうで、そんなチャンスってやめないともらえなかったので、勇気を出して良かった。年齢的に、会社員だったら守らないといけないものもたくさんあるし、自分自身の感性も枯れてくるところもあるし、そういう意味ではどんどんおとなしくなってしまう人もいると思うのですが、このチャンスでまたゼロからやれるっていうのは、うれしいですね。毎日がワクワクしますね。怖さはあるんですよ。でも、なんとか生きていけるだろうと(笑)」。

 局員時代が恋しくなる瞬間もある。「会議が終わった後の雑談ができないのがさみしいですね。それって僕にとってすごく楽しい時間だったので。リモート会議が終わった後のひとりきりの部屋、ゾッとしますよね(笑)。あんなに楽しく話していたのにって」。さらに、コロナ禍で番組作りも大きく変化しているが、その中でできることを日々模索している。

 「やっぱりフィジカルタッチのある企画は全部やめていますね。テレビ東京はコンビの相方以外の絡みだと間にアクリル板を入れているので、できない企画が6〜7割くらいあるなかで、1年半くらいやってきました。『ゴッドタン』では、これまで操り系の企画は、あまりやってこなかったのですが、やってみたらそれはそれで発見があって、面白いものになりました。コロナが明けて、2人ともワクチンを打てた時には、劇団ひとりとキングコング西野のフィジカルタッチのある企画ができるなと思っています。当初の予定よりも早くなっているので、本当に医療従事者の方、ワクチンを開発された方にはすごいなと。僕たちはその時でやれるベストを尽くすしかないです」

 そんな佐久間氏の今が感じられるのが“ラジオ”だ。「今フリーになっていろんな出来事があるのですが、情報解禁のこともあって、なかなか話せないんですね。それが話せるのが数ヶ月後だったりするので、フリーになったなっていう感じのラジオはもうちょっと先かなと。それでも毎週話すことがありますし、コロナが収束してからエンタメが活性化していくと、エンタメで話せることも増えるし、同時にフリーになった自分の仕事の新しいものも出てきて、それが合わさって、半年後とか1年後には、もっとたくさんのことが話せるラジオになっている気がするので、本当に楽しみですね」。佐久間船長の“ガハハー旅行記”はこれからも続く。

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  • フリー後の仕事ぶりを語った佐久間宣行氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 『普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる〜佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)2019−2021〜』を出版した佐久間宣行氏 (C)ORICON NewS inc.

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