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又吉直樹“周回遅れ”のススメ 今YouTubeを始めた訳「やりたいことはたくさん」

 お笑いコンビ・ピース又吉直樹(40)が、22日にYouTubeチャンネル『渦』を開設した。お笑いコンビ・ライスの関町知弘、サルゴリラの児玉智洋、スパイク小川暖奈といった、自身のライブでもおなじみのメンバーとフルーツポンチ村上健志を迎えて、これから毎週3回(水・金・日)に更新する予定となっているが、気になるのは「なぜ今YouTubeをやろうと思ったのか」。当の本人は、今後の配信予定などを明かしながら「ここまでの僕の話を聞いてもらったらわかると思うんですけど、ちょっとふわふわしていますよね(笑)」と冗談交じりに語るが、詳しく話を聞いていくと、又吉なりの“哲学”が見えてきた。

又吉直樹 (C)ORICON NewS inc.

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■YouTubeだからこそできる表現に期待 相方・綾部との絶妙なコンビ関係

 信頼のおけるメンバーとYouTubeという媒体に乗り出すが「コントのお芝居に定評があるメンバーに協力してもらいながら、コントや新しいものを作っていきたいなと思って、この人選にしました。このご時世で、コントの収録が難しい面もあるので、まずはそれ以外の企画をやっていこうと考えています」と意気込み。「YouTubeという媒体は、自分に向いているという感覚はある?」と向けてみると「何かが僕に向いていることってまずないんですよね。それを言ったら、お笑いもそうですし。器用な方ではないので」と話しながら、新たな舞台での表現に期待を寄せる。

 「ライブではやりにくかったり、紹介しにくいけど、今までずっとやってみたかったことに挑戦してみたいと思っています。僕の一番身近な人たちが『何言っているの?』って感じるようなことを、YouTubeを見てくださっているどこかの誰かが『私も思っていた』みたいに共感してくれることもあるのではないかと期待しています。自分の考えていることが、いろんな方につながっていくのが楽しみですね。僕の自己満足のためだけにやるわけではないので、見てくださった方に楽しんでいただきたいですし、共感と発見の両面でやっていきたいです」

 現在はアメリカで活動している相方・綾部祐二(42)の反応については「まだ報告してないですね。あんまり日本の情報は入ってないみたいですけど、ネットニュースは見られるでしょうから、もしかしたらそれで(YouTuberデビューを)知ってくれるかも」と淡々。「マネージャーから最低限の情報はもらって『元気ですよ』くらいの情報は知っています(笑)。あとは、いろんな人からインスタの写真などを見させてもらって、元気そうやなって確認しています。(綾部とは)全然タイプが違っているんですけど、相方がまったく自分と同じようなものが好きだと、コンビでやる意味がないかなとも感じていて。綾部さんのおかげで、こういうコントができるなというのもありますし、そういう関係性ですね。YouTubeも『見てください』って言ったら、見てくれると思います」と明かした。

 YouTubeチャンネルの『渦』は、ともに運営するスタッフが又吉の構想を聞く中で思いついたタイトル。又吉は「チャンネルの名前が『渦』になってから、急に渦を意識するようになったら、家に渦柄の服がいっぱいあったり、寝室の壁に貼っている和紙のようなものが全部渦だったり、いたるところにありました(笑)。スタッフの方は、そういったことを見つけるのがうまいんでしょうね」と声を弾ませた。自身も、普段からよくYouTubeを見ているようで「音楽や料理の動画をよく見ます。あとは、占い師が不特定多数の人を占うやつとかあるじゃないですか。占いの内容は聞いていないんですけど、占い師の語り口が心地ええなと感じて、ついつい見ちゃいます」と笑顔を見せる。

■『テレビ千鳥』の企画で感じた“うれしさ” 時代の先端に行かないことで見えるもの

 “語り口”で思い出したのが、先月16日深夜放送のテレビ朝日系バラエティー『テレビ千鳥』(毎週火曜 深0:15〜0:45※一部地域をのぞく)で行われた「心に響く言葉選手権」。千鳥の大悟麒麟川島明ロッチ中岡創一かまいたち山内健司三四郎小宮浩信が「名言」を次々と発表し、その評価を又吉が行っていくというものだったが、一見すると首をかしげるような言葉にも、又吉がやや強引(?)ながらも見事に解説して、その様子もまた笑いを誘った。又吉は「飲みの席で、ほかのみんなはピンときてない大悟さんの言葉を、僕が『そうですね…』って説明するくだりが面白くなって(笑)、その延長でやっていたことでした。以前、大悟さんから『好きなことについてしゃべっている時、ええよな』って言ってもらったことがあって…」と“好きなもの”を語ることへの思いを紡いだ。

 「友だちからも『マラドーナ、ドン小西さん、太宰(治)の話になったら、めちゃくちゃうまく話せているよ』って指摘されたことがあって。恥ずかしいけど、集中して夢中になってしゃべっているんですよね。だから『テレビ千鳥』の時も、企画を成立させるためにどうしようかという考えよりも、誰かが考えた言葉に対して『僕はこう思う』と言えるうれしさが先立っていました。それは映画でも、音楽でも、文学でも、サッカーでも、人でも、ファッションでも同じで『これはなんで面白いのか』を伝えるのがすっごい好きなんです。今回のYouTubeチャンネルでも、好きなものをいっぱい伝えられると思います」

 作家としても活躍する又吉だが、今回のコロナ禍でのエンターテインメントについて、どのようなことを考えていたのだろう。「今この状況だったら、これができるっていうものを選択していくのが大事なんだろうなと思いますけど、僕はそれが得意な方ではなくて。僕がリモートでのネタを思いついた時には、すでに1万人くらいがやっている(苦笑)。ということは、ダメなんですよ。みんなが時代の移り変わりに、すごいスピードでどんどん新しいことを、先頭の取り合いみたいに能力高い人がやっているじゃないですか。それを、僕は『すごいなー』って眺めてきたんです。僕がなにかの先頭に立つっていうことはなくて、だいたい周回遅れでした」。

 しかし、それこそが又吉の強みになった。「小さい頃も、みんながもうその遊びやってないで、次の次の新しい遊びやっているのに、僕だけが取り残されることもありました。でも『まだこの遊び、だいぶ味残っているんじゃないか』と粘った結果、誰もやらない遊び方とかルールを発見できることがあるんです。それをみんなに紹介するっていう、ハイエナみたいな方法で生きてきました(笑)。時代の先頭じゃなくて、定点で何かをずっと観察して、もっと何かありそうやなって考えるのが、僕の子どもの頃からの特性なのかもしれないです」。話は読書論にも広がっていった。

 「本もだいたい2〜3回読むんですよ。それも、読書仲間がいなくて、先生も教えてくれない、親、兄弟、友だちも本を読まない、あるのは自分と本だけだったので『本は1回しか読まない』という概念がなかったんです。慣れてくると、1回目を読む時にすでに2回目と3回目の“目”がスタンバイしているから、1回目の読み始めと同時に2回目と3回目の読みも走らせることができるようになってくるんですよね。それが、読書の面白さというか…すみません、YouTubeの話をするはずが、本の読み方の話になっちゃいましたね(苦笑)」

 ここにこそ、冒頭の「なぜ今YouTubeをやるのか」という答えがあった。「誰よりも早く始めるというのは経験したことがないので、YouTubeも自分のタイミングで始めてみようということで、この時期になりました。ふわふわしていますが、やりたいことはたくさん浮かんでいるので、ぜひ見ていただけたらうれしいです」。又吉が“YouTube”を舞台に見せる、新たな劇場に注目したい。

■又吉直樹YouTubeチャンネル『渦』
https://www.youtube.com/channel/UCXPu1w_qdV3BJgs3dej5bjQ/

【又吉直樹】1980年6月2日生まれ。2003年10月、綾部祐二とともにお笑いコンビ・ピースを結成。芸人の傍ら、自由律俳句集や創作四字熟語集などを発表し作家としても活動する。15年3月、純文学小説『火花』で文芸誌デビューを果たし『第153回 芥川賞』を受賞した。17年5月より、相方の綾部が米・ニューヨークに拠点を移し、現在はそれぞれピンで活動をしている。

YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」

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