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『第66回江戸川乱歩賞』受賞作決定 作者がリモート会見「実感がわかない」

 日本推理協会が主催する『第66回江戸川乱歩賞』の最終選考が8日にリモートで行われ、佐野広実氏の『わたしが消える』が受賞した。きょう9日にリモートで行われた受賞会見に出席した佐野氏は「きのうのきょうなので、まだ緊張しているというか、実感がわかないんですけど、ありがとうございます」と率直な思いを語った。

第66回江戸川乱歩賞に輝いた佐野広実氏

第66回江戸川乱歩賞に輝いた佐野広実氏

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 同作は、ある事件をきっかけに警察をやめた元刑事・藤巻を主人公に物語が展開。交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、がく然としていたところに、娘の紹介で会った“身元不明の老人”の正体を突き止めるため、ひとりで捜査に乗り出すと、老人の過去に恐るべき陰謀が存在していたことが発覚する。

 今作の構想について、佐野氏は「5年ほど前、徘徊しているうちに行方不明になるというニュースがあったので、何か書けないかなと思い浮かんでいました」と告白。「ただ、実際に回りに認知症の人がいたわけでもないですし、訪問看護の方とも面識がなかったのですが、2年ほど前に母親が認知症になりまして、それで書いてみようかなと思いました。この作品が賞をいただいたっていうのには、いろんな意味合いがあるんじゃないかなと感じています」と言葉に力を込めていた。

 今回の江戸川乱歩賞応募作品は387編に達し、98編が1次予選を通過、さらに2次予選で21編が選ばれ、最終候補作4編の中から『わたしが消える』が選出された。受賞作は、10月頃に講談社より刊行される予定。賞の贈呈式は新型コロナウイルス感染拡大予防のために延期とし、来年度の贈呈式と合わせて開催する見通しとなっている。

 選考委員は、綾辻行人氏、新井素子氏、京極夏彦氏、月村了衛氏、貫井徳郎氏が担当。京極氏は今回の選考について「2時間17分にわたる討議が行われました。それぞれ個性的な作品でありまして、レベルは拮抗していて、作品の傾向もまったく違っておりました」と指摘。「(受賞を決めた)大きな理由は、広義であってもミステリーであることです。佐野さんの作品は冒頭に提示された謎が、最後まできちんと引っ張られていて、謎の解明が物語の核となっていて、小説の骨子にもなっている。ミステリーとしてシンプルな形を堅持してくれた」と明かした。

 京極氏はリモートでの選考についても触れ「オンラインの場合は、一人ひとりの意見をきっちり聞ける良さがあります。自分が話していない時は、じっくり考えることができますし。オンラインなので、議論が噛まなかったとかなくて、むしろ建設的な議論になったと思います」と胸を張っていた。

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