嫌いな人のことを「みんな石につまずいて転べばいいのに」とつい思ってしまう女の子の心のモヤモヤと、そんなときの対処法を描いた絵本『ころべばいいのに』(ヨシタケシンスケ著)が売れている。今年6月に発売され、7/1付オリコン“本”ランキング7位に初登場。その後も毎週上位でのランクインを続け、発売から約4ヶ月で累計発行部数は17万部に。書店でも大きな展開が目立つ。
■プレッシャーを感じる子どもたちに共感
同書に登場する女の子は、嫌いだなと感じてしまう友だちに対して抱く心のモヤモヤと向き合い、「イヤな気持ちって、自分ではどうしようもないどしゃぶり雨のようなもの。そんなときは…」と考え、モヤモヤする気持ちを取り除くために好きなものに囲まれてみたり、じつは嫌いな人は何かに操られているのかも…と妄想してみたりなど、いろんな対処法をユーモアたっぷりに考える。けれど、それでも心のモヤモヤが取れないときは、「ダメなときは、なにをやってもダメよねー」と開き直って自分を励ます。こうしたメッセージが、多くの子どもや親の心を掴んでいるようだ。
「生きているとさまざまな場面で、なにかしらのプレッシャーを感じる人が、今も昔も多いのではないかと思います。たとえば『イヤなことがあったらガマンしなければならない』、『ちゃんと自分の意見を述べなければならない』、『自分にしかできないことを見つけなければならない』など…。昔からあった圧力だとは思いますが、著者のヨシタケシンスケさんは、『別にそうじゃなくてもいいんじゃない?」、「いろいろな考え方があってもいいのでは?」と気持ちを解きほぐしてくれるので、多くの子どもが共感してくれるのかもしれません」(ブロンズ新社/今井祥子氏)
ヨシタケシンスケはこれまでの作品でも、生きることと死ぬことを描いた『このあと どうしちゃおう』(2016年4月発売)や、自分自身について考えることを描いた『ぼくのニセモノをつくるには』(2014年9月)など、世の中を豊かに生きるための工夫をユニークな視点で描いてきた。これらの作品は子どもを持たない大人からの反響も多く、サイン会では「私がファンなんです」と参加する人も多いという。
■ヒットの背景には「アクティブラーニング」重視の反響も…
児童書のヒットはこのほかにも、いじめや虐待から身を守るための法律知識をわかりやすくまとめた『こども六法』(弘文堂刊)や、「いいことを言うよりも、よい行動をとる。」など社会における基本的なルールをまとめた『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』(日本図書センター刊)といった、生きる指南書のような内容の作品が大きく部数を伸ばしており、書店では平積みで大きく展開されている。これら作品の消費者の傾向について、書店員は次のように話す。
「子どもが自ら考えて行動する『アクティブラーニング』という学習方法が重視されるようになってきたこともあり、そういった内容の児童書が増えたように感じます。親子の会話も増えますし、大人でも参考になる部分はとても多いですから」(紀伊國屋書店ららぽーと豊洲店/宮澤紗恵子氏)
「『こども六法』を購入された親御さんは、子どもが電車通学をしていて大人や社会と触れ合う機会が多いので、少しでも身を守る方法を教えられたら…と話していらっしゃいました」(同店/鶴子友美氏)
価値観や生活様式が多様化している一方で、人間関係の希薄化や大人優先の社会風潮もますます強まっている。現代社会を生きる子どもたちにとってこうした児童書が、豊かな毎日を過ごすためのヒントになるのかもしれない。
■プレッシャーを感じる子どもたちに共感
同書に登場する女の子は、嫌いだなと感じてしまう友だちに対して抱く心のモヤモヤと向き合い、「イヤな気持ちって、自分ではどうしようもないどしゃぶり雨のようなもの。そんなときは…」と考え、モヤモヤする気持ちを取り除くために好きなものに囲まれてみたり、じつは嫌いな人は何かに操られているのかも…と妄想してみたりなど、いろんな対処法をユーモアたっぷりに考える。けれど、それでも心のモヤモヤが取れないときは、「ダメなときは、なにをやってもダメよねー」と開き直って自分を励ます。こうしたメッセージが、多くの子どもや親の心を掴んでいるようだ。
「生きているとさまざまな場面で、なにかしらのプレッシャーを感じる人が、今も昔も多いのではないかと思います。たとえば『イヤなことがあったらガマンしなければならない』、『ちゃんと自分の意見を述べなければならない』、『自分にしかできないことを見つけなければならない』など…。昔からあった圧力だとは思いますが、著者のヨシタケシンスケさんは、『別にそうじゃなくてもいいんじゃない?」、「いろいろな考え方があってもいいのでは?」と気持ちを解きほぐしてくれるので、多くの子どもが共感してくれるのかもしれません」(ブロンズ新社/今井祥子氏)
ヨシタケシンスケはこれまでの作品でも、生きることと死ぬことを描いた『このあと どうしちゃおう』(2016年4月発売)や、自分自身について考えることを描いた『ぼくのニセモノをつくるには』(2014年9月)など、世の中を豊かに生きるための工夫をユニークな視点で描いてきた。これらの作品は子どもを持たない大人からの反響も多く、サイン会では「私がファンなんです」と参加する人も多いという。
■ヒットの背景には「アクティブラーニング」重視の反響も…
児童書のヒットはこのほかにも、いじめや虐待から身を守るための法律知識をわかりやすくまとめた『こども六法』(弘文堂刊)や、「いいことを言うよりも、よい行動をとる。」など社会における基本的なルールをまとめた『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』(日本図書センター刊)といった、生きる指南書のような内容の作品が大きく部数を伸ばしており、書店では平積みで大きく展開されている。これら作品の消費者の傾向について、書店員は次のように話す。
「子どもが自ら考えて行動する『アクティブラーニング』という学習方法が重視されるようになってきたこともあり、そういった内容の児童書が増えたように感じます。親子の会話も増えますし、大人でも参考になる部分はとても多いですから」(紀伊國屋書店ららぽーと豊洲店/宮澤紗恵子氏)
「『こども六法』を購入された親御さんは、子どもが電車通学をしていて大人や社会と触れ合う機会が多いので、少しでも身を守る方法を教えられたら…と話していらっしゃいました」(同店/鶴子友美氏)
価値観や生活様式が多様化している一方で、人間関係の希薄化や大人優先の社会風潮もますます強まっている。現代社会を生きる子どもたちにとってこうした児童書が、豊かな毎日を過ごすためのヒントになるのかもしれない。
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2019/11/08