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市村正親、確立した存在に悩む「わたしは誰だ…」 ミュウツーに見た『オペラ座の怪人』とのリンク

 人気テレビアニメ『ポケットモンスター』の映画シリーズ最新22作目『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』が12日に公開される。最強のポケモン・ミュウツーが心に抱える「葛藤」や自分を生み出した人類への「逆襲」がテーマだった第1作目『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(1998年公開)が、シリーズ初となる全編フル3DCG映像として新しく描かれる。そんな同作で俳優の市村正親(70)が21年ぶりにゲスト声優としてミュウツー役を担当。「ミュウツーは『オペラ座の怪人』のファントムに似た部分があり、最初に出会った時は僕の中の『テリトリー』だと思った」「ミュウツーと同じく僕も存在意義を求め続けている」「キャリアを積み重ねた中で、存在意義を求めるミュウツーを演じるのは難しかった」などと、ミュウツーを通して見た自身の存在意義や俳優論を語ってもらった。

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■「わたしは誰だ…」存在わからぬミュウツーの役作りの難しさ

――21年ぶりに再びミュウツーを演じることになりましたが、この間、『ポケモン』というコンテンツが世界中に広がり人気となりましたが、自身はどのように見ていましたか。

 仕事の現場で若手俳優に「ミュウツー役は私だよ。『わたしは誰だ…』」と披露すると驚かれたり、息子から「パパ、ミュウツーやって!」と友人の前でせがまれたりと、ポケモンファンがどれだけ多いかというのを実感しました。若い人がミュウツーを含めてポケモンの世界をどう捉えているかも知り、レジェンドと呼ばれるミュウツーを演じられるのは私しかいないと思いましたね(笑)。オファーが再び届き、驚きと喜び、ミラクル、ハッピーなど色んな感情が湧いてきました。そして、あなたのような方(ポケモンファン歴23年の筆者)と出会えて本当に良かったと思います。役者にとって演じたキャラクターが評価され、ファンから愛されることは役者冥利に尽きますし、“ミュウツー冥利”に尽きます(笑)。

――ゲームの中でも最強のポケモンと呼び声の高いミュウツーですが、どのように役作りをしたのでしょうか。21年前と今作ではアプローチに変化がありそうですが。

 ミュウツーが「自身の存在を理解していない」ところから物語は始まるのですが、一番気をつけました。というのも、21年の月日が流れて「市村正親」という存在を確立した中で、存在意義を求める、存在感がない「何者かわからない」ミュウツーを演じるわけで、知識もない“無”の状態からスタートすることは難しいことでした。自身でもキャリアを積み重ねてきた中で、「わたしは誰だ…」というせりふは苦労した部分であり、人生の哲学のようなものが垣間見える言葉だと思いますので、見どころのひとつです。

■ミュウツーは『オペラ座の怪人』のファントム「私のテリトリーの中にあると思った」

――ミュウツーの存在をどのように捉えているのでしょうか。

 1作目のお話をいただいた時は49歳で、劇団四季を辞めて7、8年くらいでしょうか、映画に出演する前はミュージカルのお仕事が多かったんです。どのような経緯で起用されたか詳細はわかりませんが、ミュウツーという役を声優としてではなく俳優として呼ばれたと感じています。別のお仕事になりますが、『オペラ座の怪人』を観た関係者が「市村さんに、ぜひ、この役をやっていただきたい」と別のお仕事のお話をいただいたこともあったので、ミュウツー役も同じ様に関係者が僕の役者のイメージでオファーを出したのだと思います。

 自身でもミュウツーを見た時、「私のテリトリーの中にある」と思いました。悪でありながら純粋さを持ち合わせているといった、私が演じてきた中で掴んだ“私だけ”が持っている個性、役どころの範囲だと。監督がミュウツーを通して言いたいことはすぐに理解できましたし、キャラクターの個性や言動は納得する部分もあったので、深いところまで演じられたと思います。 当時は似たような役を演じる機会が多かったので、特にミュージカル『オペラ座の怪人』のファントムとミュウツーのキャラクター像がリンクする部分がありました。すごく怒っていると思ったら悲しんでいる姿を見せるなど、感情に強弱がある部分はファントムだなと思います。ミュウツーの強さと儚い部分を表現したいため、私をキャスティングしたのかも知れません。ミュウ役の山寺宏一さんからも言われましたが「市村さんのミュウツーは悪だけではなく、見ていると段々と切なくなってくる…」と感想を言われて、声優は声だけで表現するものではないと思いました。

■俳優業46年…存在意義を求める最中「私は何者でもない…」「可能性を探っている」

――“存在意義”もテーマにしている今作。俳優という仕事は、出演する作品ごとに役が違うわけで、“存在”が変化していく職業だと考えています。市村さんは役者としてご自身の“存在”をどのようなものと考えているのでしょうか。

 役者になると決意して高校を卒業して演劇学校に入学し、西村晃さんの付き人を経て、勝新太郎さん、石原裕次郎さんを間近で見てきました。その方々が『わたしは誰だ…』ならぬ「私は勝新太郎だ!」という存在感を見た時に、「私はまだ、何者でもない」と痛感しました。その後、劇団四季に入団して色んな仕事をしていくうちに自身の方向性が見えてきました。先程も説明した、『悪でありながら純粋さを持ち合わせている、私が演じてきた中で掴んだ“私だけ”が持っている個性、役どころの範囲』と、自身の存在がわかってきたのです。

 同時に、演じたことがない役という意味で「まだ、自分が見つけられていない部分もある!」と思いますし、現在も「私は誰だ…」「私は何者でもない」と考えています。役者ではありますが、私個人としては「何者でもない」「まだ色んな自分があるはずだ」とまだ可能性をずっと探っています。存在意義、存在感を追い求めている最中。存在というのは「あると思うな、思えば負けよ!」と断言したい。

――私自身、小学生低学年の時に観た『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』と、この年齢になって考える「存在」という意味の捉え方が変わり、ミュウツーの発言に共感しました。

 彼(ミュウツー)は常に思考を止めずに考えていますよね。それはすごく大事なことで、考えた結果がマイナスな方向になった場合でも、失敗から得るものがある。勝負で負けてもよくて、そこから学ぶか学ばないかが大事。これは私の人生論であるのですが、それがミュウツーを通して、人々に伝わっているかも知れません。まー私の場合、思考を止めない材料が私生活において次々とある。それは仕事や子育て、「なぜ、グリーンに乗らない。なぜだ…」と最近始めたゴルフだったり(笑)。自問自答することは、人として成長するために必要なことで、私はミュウツーを人間だと捉えているので、その人間臭さが私を通して多くの人の共感を呼んでいるんだと思います。

(c)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku(c)Pokemon(c)2019 ピカチュウプロジェクト

関連写真

  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』でミュウツー役を担当する市村正親
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のメインビジュアル
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
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  • 『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の場面カット
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