NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺（ばなし）〜』（毎週日曜　後8：00　総合ほか）で、金栗四三を中心に描いた第1部最終回の放送を控えた23日、神戸市内にある神戸芸術センター芸術劇場で、大河ドラマ『いだてん』トークツアーin兵庫県神戸市が開催された。

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　日本マラソン界の父・金栗四三を演じる中村勘九郎（37）と、走ることに自信を持ち、人力車夫として創成期のマラソン選考会などにモグリで参加していた清さん役の峯田和伸（41）が登壇。軽妙なトークで約950人の観客を楽しませた。

　お互いにラブコールを送っていた勘九郎と峯田。実は2人とも、走る事はもとより、場合によっては歩く事も好きではないという話からスタート。そんな2人がマラソンのレジェンドランナーと、走る事を生業にする人力車夫を演じるということで、初対面から意気投合できたという。

　「初対面の時、勘九郎さんと握手して、2人とも坊主頭で、指差して笑いあった。理屈じゃなく、こういう人が主役なんだと思い、ずっと楽しくて仕方なかった」と峯田。

　トークショーが始まる前に、神戸市役所前にある「日本マラソン発祥の地」の記念碑の前で、1909年に行われた日本初のマラソン大会「マラソン大競走」について説明を受けた2人。勘九郎は、鳥取を訪ねた際に、このマラソンでブッチギリの優勝を果たした金子長之助に言及し、「金子さんが、羽田選考会に参加したならば、金栗さんとストックホルムに向けて、有力なライバルになっていたんじゃないかと思います」と話した。

　この日は、嘉納治五郎の出生地、現在の神戸市東灘区御影町にある御影公会堂にも足を延ばし、ここにしかない嘉納治五郎唯一の柔道着姿の銅像をまじまじと見つめ、嘉納家に連なる灘の造り酒屋の系譜にも興味を示していた。

　治五郎の銅像について峯田は「ウチの爺ちゃんにそっくりなんです」「銅像に触ればれば柔道が上手くなるって伝説を流行らせたいんですって??」と包み隠さずネタバラシをして笑いを誘った。

　お互いの役について勘九郎は「清さんは浅草にいる白タクみたいな存在。普通なら最初は友達になりたくない人。しかし、清さんの男らしさや格好良さには、いつも感動させられている」と語った。

　峯田からみた四三は「好きなものがハッキリしていて、周りにもそれ伝わる人だから、応援したくなるかわいらしい人」という印象。

　撮影が始まる前から『毎日8キロくらいは走って役作りしてきました」と勘九郎が明かすと、峯田は「長い時間走るのは到底出来ない、と人力車指導の方にお願いしたら、短い距離をそれらしく走れるように練習していこうと云うことになり、中腰で50メートルを50本走って人力車夫のリアリティーに備えてきた」と打ち明けた。

　二人が、神戸出身の治五郎役の役所広司について聞かれた際には、勘九郎は「声が大きい訳ではないのですが、とてもせりふが聞き取りやすいんです」と誉めちぎると、峯田は「場面が流れてしまうようなシーンで、役所さんがせりふを言うと、ぴしっと引き締まり、何となく流れて行くような状況が止まる。本当にすごい方です」と重ねた。

　トークショーのまとめで勘九郎は「歌舞伎もそう、初めて参加した大河ドラマ『新選組！』もそうでしたが、いつも男ばかりの仕事が多い、その点女性との場面が多い『いだてん』は本当に楽しい」と、和やかな表情を見せていた。

　峯田はトークショーが終わった後、「1年以上、体作り、方言、ランニング練習など、愚痴一つ言わず、主役として真ん中にいてくれた勘九郎さんに『 本当にお疲れ様でした！』と今回のトークショーを利用して伝えられてうれしい」と語った。

　『いだてん』トークツアーでは、スポーツ選手と一緒になることが多かった勘九郎は「今日みたいに、気兼ねなく話せるトークショーもまた、楽しいです」とどこまでも前向きな感想を語っていた。