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ピエール瀧容疑者報道に揺れた数日間 『たまむすび』とTBSラジオが伝えたもの

 これほど、いろんな思いが行ったり来たりする中で、リスナーがTBSラジオ『たまむすび』を聴いた3日間はなかっただろう。テクノユニット・電気グルーヴピエール瀧(本名・瀧正則)容疑者(51)が麻薬取締法違反(使用)容疑で、12日に逮捕されたことを受け、瀧容疑者が出演していた同番組は対応に追われた。『たまむすび』の出演者、そして瀧容疑者と親交のあったタレントたちはどのようなコメントを残したか。ここで、改めて振り返ってみたい。

『たまむすび』のパーソナリティーを務める赤江珠緒(C)ORICON NewS inc.

『たまむすび』のパーソナリティーを務める赤江珠緒(C)ORICON NewS inc.

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 逮捕の一報が伝えられた翌13日の朝、瀧容疑者と30年近く親交のあるタレントの伊集院光(51)が、生番組『伊集院光とらじおと』で逮捕について言及した。「朝から気持ちのいい話じゃないです」と切り出すと、約30年前にお互いに無名だった頃を振り返り「当時、お互い20歳ころで何だかわからない頃に想像していた51歳は、華やかなこの世界にいることはできず、何かしらで足を踏み外し、警察のご厄介になっている可能性だってあった」と回顧。それから時が経ち、俳優として大活躍するようになった瀧容疑者について「想像がつかなかった」とし、「彼の昨今の仕事ぶりに対して、僕は尊敬や憧れや嫉妬や全部持ってたね。だから、なんでそんな物が必要なんだ、って」と打ち明けた。

 薬物のニュースのあり方についても「メディアで伝えるのは難しい、大勢の人が聞いているので『大変なんだよ』って話もしなきゃいけないし、いま立ち直ろうとしている人や立ち直らせようとしている人もいるから、そういう人を失望させちゃいけない」と持論を展開。「もし、今やめようとしている人は、ネットで、『薬物、相談、守秘』で調べると、きちんとした相談の窓口があります。そういうところに相談してみてはどうですか」と呼びかけた。個人的な感情を話しながら、あらゆるリスナーが番組を聴いていることを想定して、情報を発信する伊集院の“パーソナリティー”としての誠実さが現れる放送となった。

 その後に生放送されたのが、瀧容疑者が木曜レギュラーを務めていた『赤江珠緒たまむすび』。パーソナリティーを務める赤江珠緒アナは、番組冒頭で「ウソであってほしい、夢であったらいいなと思ったことが現実です」と切り出すと「なんでよ。何してるのよ、というのをいろんな人と何度も会話をしました。すごく悩んで考えました」と放送を迎えるまで、いろんな葛藤を抱えていたと告白。自身が謝罪することが正しいのかを悩んだことを明かしながら、「メインパーソナリティーとして、瀧さんに代わって申し訳ありませんということをお伝えしたいと思います」と、涙をこらえながら謝罪した。

 赤江アナは続けて、瀧容疑者にこれまで何度も支えられたというエピソードを語り、「もういつもの木曜日は戻ってこないんだな」と何度も涙をこらえながら思いを吐露。パートナーの博多大吉は、赤江アナの話を受け止めながら「ひとりで背負わなくていいですよ。赤江さんが悪いわけじゃないし、ひとりじゃないですし。僕らもいるしスタッフさんもいるし、何よりたくさんのリスナーさんが応援してくれますから」と激励した。リスナー共々、やりきれない気持ちを抱えながらオープニングトークが終わり、最初に流れた曲は吉田拓郎の「全部だきしめて」。胸に熱いものが込み上げてくるのを感じながら、昨年3月に産休明けの赤江アナにインタビューした時のことを思い出した。

 

 記者が「赤江さんが感じる『たまむすび』の魅力はなんでしょう?」と向けると、屈託ない笑顔で赤江アナが話し始めた。「これまで、自分がやっていた時は毎日の放送に追われていたので『どこがおもしろいのか、何をもってよしとしてもらっているのか』かがわからなくなっていたんです。ウチの番組は本当に情報性も何もなくて、ただ『アハハ』と笑って、午後をなんとなく楽しく過ごしてもらって、聞き終わったら、何をしゃべっていたか覚えてない…そんな能天気な番組だったんですけど、自分がリスナーになって聞いた時にルーティーンとして組み込まれてくると、すごく癒やされていることがわかりました。いろいろな理由があって外に出られない時に、大人同士の小粋な会話や、疲れている時に人の笑い声が聞こえてくると、とてもホッとするんです」。

 それは、昨年11月のイベント『ラジフェス いくつハシゴできるかな?2018』内で行われた『たまむすび』公開収録でも感じたことだった。イベントも終盤に差しかかってきた頃、赤江アナが観覧席のリスナーたちに“伝言ゲーム”の協力をしてもらっていたと発表。その答え合わせを行うことになったが、ゲームの趣旨が今ひとつ伝わってなかったようで、パートナーたちから「絵に描いたようなグダグダしている」(山里亮太)「この尺を返せ」(玉袋筋太郎)といった声が上がる結果となった。ポンコツっぷりをさく裂させる赤江アナを各曜日のパートナーと外山惠理アナ、そして会場の観客が見守る様子は何ともホッとできる空間だった。

 13日の深夜放送の『水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論』では、『たまむすび』の火曜パートナーである山里亮太が「瀧さんの木曜日を聴いていると、赤江さんがいつも、瀧さんが言うことにむちゃくちゃ楽しそうに笑っていて。瀧さんの前だったら、なんて言うんだろうな、ほかの曜日では見せれないような感じのところを見せたりとかしていて」と関係性の深さを語りながら「赤江さんの口から出る瀧さんの話は、もう常に楽しい話で、笑い声だけなのに、きょうはその赤江さんが、瀧さんの話をしてる時に、泣いていたんだよね。赤江さんが瀧さんの話をしていて、涙流すなんてことが、あっちゃいけねぇんじゃねぇかな」とあふれる気持ちを言葉にしていた。

 あの時の雰囲気がもう戻ってこないだろうかという思いがめぐる中、瀧容疑者が担当する予定だった木曜日の『たまむすび』。月曜パートナーのカンニング竹山が、ピンチヒッターを担当した。赤江アナは、今まで通りの明るいトーンに戻って「木曜パートナーの『ピエール瀧さん逮捕!』ということで、今日は月曜日担当のカンニング竹山に来ていただいております」と紹介。竹山から「読み方が悪い」とツッコミを入れられると「こんな文言で人を紹介したことがないもんですから」と明るく釈明。前日の朝に、瀧容疑者逮捕のニュースを見てから、すぐさま木曜のスケジュールを確認して、スタッフに「オレ、空いてるぜ」と電話を入れたという竹山だが、『たまむすび』をお店に見立てたトークでは「自分の家の近所にある商店はオンボロだけど、リスナーというお客様方が『それでいいんだ』とかわいがってくれたから、こうやって長年やれている」と思いを語った。

 

 15日放送の『たまむすび』は、かつて同番組で瀧容疑者とコンビを組んでいた外山アナと、長年の付き合いがある玉袋筋太郎。玉袋が「手の内を見せちゃうことになるけど、オレたちの稼業は人様に見られる綱渡りだよ。タイトロープの上で『あいつ、落ちるんじゃねぇか?』という中で、落ちねえっていうのがオレたちの稼業。オレがやっている綱渡りって、たぶん10メートルぐらいの高さだけど、瀧はやっぱり、高いところの綱渡りをやっていたわけだよ。それで、オレは同級生だけど『お見事!』って下から見上げて、ずっとそうやって言いたい男だったわけだよな」と話すと、外山アナも「こんなに読みたくないニュースはなかった。つらいけどさ、ラジオを聞いてもらって…」と漏らした。

 方法としては、逮捕された翌日の放送や瀧容疑者が担当する翌日のみ言及して、そのほかの曜日では触れないという手段もあっただろうが、パーソナリティーの赤江アナ、外山アナ、各曜日のパートナーたちがそれぞれの視点からコメントを寄せた。それほど、瀧容疑者が『たまむすび』にもたらしてきたものが大きいこと、そして出演者とスタッフが今回の件に対してリスナーに真摯に向き合っていることを、放送を通して感じることができた。13日放送の『荻上チキ・Session-22』では、薬物報道に焦点を当てた構成をするなど、次々と情報が流れていく最中にあって、リスナーに“気付き”を与える場があったことも重要だった。

 「情報性も何もない」番組が持つ温かみと、SNSを通じてリスナーたちのさまざまな気持ちに触れたこの数日間だった。

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