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スポーツ業界と音楽業界がタッグ、両トップが語る新団体の狙い「理想的なスタジアム・アリーナを実現」

 現在、全国60以上の地域で検討されているスタジアム・アリーナ建設計画。さまざまな競技のプロ化が進むスポーツ業界と、ライブ会場不足が深刻な音楽業界にとって、これは願ってもないチャンス。そこで両者が手を組み、エンタテインメントを提供する立場から設備や運営の提案を行うことで、観る人にとっての豊かな生活づくりに貢献していくことを目的とした新団体「一般社団法人 Entertainment Committee for STADIUM・ARENA(ECSA/ エクサ)」の設立が発表された。このECSA設立に主導的な役割を果たした、日本トップリーグ連携機構・川淵三郎会長と、コンサートプロモーターズ協会・中西健夫会長に、改めて設立の狙いと今後の展望を聞いた。

■日本のスポーツ市場は、諸外国に比べて小さすぎる

――いよいよ3月にECSAが設立されますが、今の率直なお気持ちからお聞かせください。

【川淵】はっきり言って僕自身はまだ、この会が目的をきちんとやり遂げられるのか、イメージが湧いていません。スポーツ界が、自らをエンタテインメントの立場で考えたことがなかったからね。だから今回は、中西さんから指導を受けながら、音楽業界と協力し合って、エンタテインメント化に向け全精力を傾けようという考えです。

【中西】私は(そんな川淵さんの)後ろからついていこうと思っています(笑)。そもそも音楽とスポーツは、常に対にあるはずのものなのですが、なぜかスタジアム・アリーナを作ることや、その利用についてはこれまで別々にやってきた。でも、それはおかしいのではないかと思っていて、同じエンタテインメント業界として協力し合いましょうと。たとえばNFLのSuper Bowlは、アメリカ最大のスポーツと最高の音楽が、同じ場所で1日に体験できます。日本にはそういうものがありませんよね。

【川淵】ないですね。

【中西】日本で最も注目される試合に最も人気のあるアーティストが出て、双方がそれを「名誉だ」と言い合えるエンタテインメントショー。そういったものを作りたくても、そんな話をする場もありませんでした。

【川淵】スポーツ業界と音楽業界がタイアップしたことなんてなかったと思うし、そもそもスポーツ界にその気はなかったからね(笑)。それぞれの競技団体が独立独歩なので、同じアリーナを使う立場であっても、音楽業界と話し合う発想自体がなかったと思います。それが今回、こういう機会を得られ、いかにうまくアリーナを使うか、お客さんをどうやって呼ぶのか、そのノウハウを音楽業界から学ぶことができるのはいいことです。以前、大規模なアリーナが音楽ライブに使われていて、スポーツで利用できないのはなぜだと聞いたことがあるんだけれど、その答えが、「音楽業界は2年くらい前から動き出しているけれど、スポーツ業界は1年前からなので」と説明されて、「何をバカなこと言っているんだ」と言ったんですが、そういった長期的展望に立ったスケジュールのあり方やチケットの売り方、来場者に対して前もって試合があると知らせることのプラス面を、スポーツ業界はまったく考慮してこなかったということです。

――大会は勝ち負けを決めるものであって、見せるものではないという認識だったわけですね。

【川淵】そう。僕らの時代は、サッカーよりもラグビーのほうがはるかに人気があったから、プロ化ということならラグビーのほうが成功していたかもしれない。けれど、世界的にもラグビー界はアマチュアリズムの権化で、日本でも「試合を観に来たければ来ればいい。別に来てくれと言っているわけではないし」といった感じで(笑)。今は、それではまずいということで意識が大きく変わってきているので、日本のスポーツ界はこれからどんどん成長する可能性がありますよ。

【中西】本当に宝の山だと思いますね。日本のスポーツ市場は、諸外国に比べて小さすぎます。だから、ちょっと方法を変えるだけで、驚くほど価値を生み出せる可能性がある。効率化という点から考えると、単純なこともいっぱいあると思うので、まずはお互いに話し合う、ということでしょうね。

【川淵】話し合ってマイナスになることなんて、まったくない。お互いにいいところはどんどん活かしていければ。

【中西】スポーツ界と一緒にできたことと言えば、昨年12月に可決されたチケットの高額転売に関する議員立法。両者が力を合わせて法律を作ってしまった。かたや、そういったことを実現してきているわけですから、ECSAの可能性は広がっていますよ。

■有明アリーナ問題を経て、新団体構想へ

――音楽業界も、スポーツ業界が持つ自治体への影響力は学びたい点ではないかと思います。

【中西】今は少しずつ影響力を増していますが、少し前まで音楽業界の社会的地位は意外に低かったですからね。

【川淵】そうですか。それは初めてお聞きしたけれど、Jリーグは自治体とお互いに協力し合って発展していこうという立場にあるから、そこに音楽業界も入ってもらえたらいいと思いますね。

――ECSAとしての関わり方はどうなるのでしょうか。

【川淵】それは、これから1番の問題となるところでね。たとえば音楽イベントにも活用することを想定したスタジアム・アリーナを作る場合、スポーツの専門家やその周辺の人だけで設計していると、「少し計画を変更するだけで、イニシャルコストもそれほどかけずに音楽イベントに対応したものができる」といったことがわからない。だから、まずはECSAとしての「理想的なスタジアム・アリーナ像」をまとめて、関係者の皆さんの理解を得ながら、計画が進んでいる案件については、個別に検討していくことになるのではないかと思います。

【中西】私は、これから誕生するスタジアム・アリーナ運営は、コンセッション方式(※1)が望ましいと思っています。地方に行けば行くほど、それが難しいのはわかるんですが、なぜそのほうがいいのかをECSAが啓蒙していく。それから私はやっぱり、スタジアムを作るだけではなく、地方創生も絡めたスポーツと音楽の教育みたいなところまでやっていかないと、最終的には帰結しないと思うんです。ライブをやればいい、スポーツをやればいいではなく、そこまで一緒にできる組織体が夢なんですね。それが作れたら、すごくいいなと思います。具体的には、人材育成も兼ねてコミュニティを作る。スポーツや音楽で地方創生するという目標に対して、われわれの団体から人を派遣し、集まってきた人たちと話し合っていければいいと思います。

【川淵】今まで、建物を作るのは赤字の垂れ流しというイメージですよね。でも、そうじゃないよと。スタジアム・アリーナができることによって、地域が活性化し、維持管理費だってちゃんとカバーできて、発展が見込めますということになれば、どんどん会場も増えていくと思う。これからはそこを追求していく。そのために、我々が機能しなければいけませんね。

【中西】お金の件が急に問題になって、大変な思いをしたのが東京オリンピック・パラリンピックでしたね。

【川淵】でも有明問題で、「1万5000人のアリーナを作るのは無駄」だとか、「スポーツなら3000人ぐらいでいい」などという話からスタートしたわけですから、僕はラッキーだったと思うね。あれがなかったら、中西さんとも深くつながることはなかったし、今このような組織も誕生していない。まさに災い転じて、ですね。

■めざすは人々の「クオリティ・オブ・ライフ」を高めること

――ではECSAの活動に興味を持っている自治体や企業に対して、おふたりからメッセージをお願いします。

【川淵】人間として生きる喜びとか希望や夢は、スポーツや音楽から得ることが多いと思うんです。でもそのレベルは、僕に言わせると欧米各国に比べて相当低い。多くの人が、スポーツや音楽から感動を得られる場所、それを身をもって体験できる場所を作ることが大切だと思います。それがクオリティ・オブ・ライフを向上させ、生きる喜びに繋がる。そういうことを、多くの人に理解してもらえるように働きかけていきたいですね。

【中西】ものすごく個人的なことでいうと、1997年にマレーシアのジョホールバルに行き、サッカー日本代表がワールドカップ初出場を決めた瞬間を目の前で観たとき、感動しすぎてワナワナ震えていたんです。涙すら出ない。その時初めて、感動の上があるんだと思ったんですが、音楽やスポーツは人それぞれ、そんな感動の場面を届けられると思うんです。われわれの活動が、その手助けになったらと思います。
(※1)施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する制度

『Entertainment Committee for STADIUM・ARENA』
◎設立時代表理事:
 会長 川淵三郎(一般社団法人日本トップリーグ連携機構会長)
 副会長 中西健夫(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長)
◎設立時社員 :
 一般社団法人日本トップリーグ連携機構
 一般社団法人コンサートプロモーターズ協会
※新団体の事務局発足は設立総会の後、4 月上旬を予定。

関連写真

  • 川淵三郎氏(一般社団法人日本トップリーグ連携機構会長)/撮影:片山よしお
  • 中西健夫氏(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長)/撮影:片山よしお

提供元:CONFIDENCE

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