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全方位戦略で“ほんまもん”の面白さを追求 開局60周年のカンテレ、ヒットドラマ連発のワケ

 作品選びに定評がある関西テレビ放送(以下、カンテレ)制作のドラマ。この1月期は、直木賞作家・黒川博行の小説『後妻業』を木村佳乃主演で連続ドラマ化した。質の高いドラマを表彰する「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」では、毎クールのように同局作品が候補に挙がっている。カンテレは昨年11月で開局60周年。ローカル局では唯一のゴールデン・プライム帯で全国ネットの連続ドラマ枠を死守しながら、テレビ局の生き残りをかけた“ほんまもん”のドラマ作りに奔走している。

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◆カンテレのドラマ制作力、飛躍の原点は『GTO』『僕の生きる道』

 1月期のカンテレ制作による連続ドラマは、第151回 直木三十五賞を小説『破門』で受賞した黒川博行氏の小説『後妻業』を原作に選んだ。過去には大竹しのぶ主演映画『後妻業の女』として話題にもなった作品だ。資産家の老人を狙って遺産相続目当ての結婚詐欺を行なうヒロイン・武内小夜子役には木村佳乃を起用。ストーリーにオリジナル要素を加えたサスペンスとラブストーリーの掛け合わせで、大人感増す演出に期待できる。何より、大阪が舞台となる今期は“関西発ドラマと”しての味わいもある。

 こうしたカンテレのドラマ作りに対するこだわりは、アクション、サスペンス、社会派など多岐にわたるジャンルを扱う作品ごとに見られる。視聴者を対象とするドラマ満足度調査「オリコン ドラマバリュー」の結果及び、有識者の審査によって作品を表彰する「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」でも、カンテレドラマは常連組。以前、カンテレ福井澄郎社長は、これらの評価に対して「ドラマには吸引力がある」と話していた。

「かつては自社のプロデューサーが、プロダクション等としっかりコミュニケーションをとりながら制作することで、成果を出していました。『GTO』(98年)や『僕の生きる道』(03年)などの作品で良い流れが作れてからは社内で演出を手がけるようになり、カメラや編集、照明など技術面も社内で追求し始めました。ドラマ作りの主要な作業を自社のスタッフが担当できるようになったことが強さとなって、ヒット作につながっていると分析しています」(17年7/24号_『コンフィデンス』誌表紙インタビューより)。

◆『僕のヤバイ妻』はトルコ版が制作 海外でも評価されるオリジナル性

 18年10月期の高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』の「ドラマバリュー」は、初回こそ100Pt満点中47Ptという厳しい結果だったが、中盤から満足度を上げていき、最高86Ptの高満足度をマークした。ドラマの人気を左右する役者の起用にも定評があり、「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」では過去に『嘘の戦争』(17年1月期)で草g剛が主演男優賞、『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(15年10月期)で菜々緒が助演女優賞、『僕のヤバイ妻』(16年4月期)では木村佳乃が助演女優賞を。また、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(2017年4月期)では小栗旬が主演男優賞、新木優子が新人賞のダブル受賞を果たすなど、数多くの受賞歴がある。

 カンテレドラマは海外でも評価されている。フランス・カンヌで開催される世界最大級の番組見本市では、MIPTV2017の「アジア・ワールド・プレミア・スクリーニング」にドラマ『CRISIS〜』が選ばれた。MIPTV2018ではソニーシアターでカンテレ制作のNetflixオリジナル古川雄輝主演『僕だけがいない街』の4Kスクリーニングが行われ、これもまた話題を集めた。さらにMIPCOM2018の公式イベント「MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama(ミップコム・バイヤーズアワード・フォー・ジャパニーズドラマ)」では、仲間由紀恵の主演作『美しい隣人』が「リメイク賞」を獲得。海外バイヤーから「リメイクを期待する作品」として評価された。

 この「リメイク賞」を受賞した最大のポイントは、ストーリーの良さにある。脚本家とプロデューサーの強力タッグにより作られた原作なしの完全オリジナルドラマを制作する“ドラマ力”を築いてきた結果の表れだ。これまでカンテレ制作のオリジナル作品の中から実際に海外展開を実現したドラマは多く、『僕のヤバイ妻』は2018年にトルコ版が作られた。そのトルコ版が日本に“逆輸入”されるかたちで、年内に日本国内で放送される予定もある。

◆国内外問わず「観てもらってなんぼ」 商人気質が息づく柔軟な対応力

 カンテレのコンテンツ展開を仕切るコンテンツビジネス局の岡田美穂局長は、その狙いをこう説明する。「トルコ版を日本で放送することでオリジナルを観たいニーズも生まれるでしょうし、カンテレのドラマが海外でリメイクされていることを知ってもらうことで、カンテレのコンテンツ制作力のアピールにもつながると思っています」(19年1/28号_『コンフィデンス』誌表紙インタビューより)。

 つまり、国内でも海外でも「見てもらってなんぼ」の精神が根底にある。その仕掛けはとどまることなく、カンテレ開局60周年特別ドラマ『BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸』(19年1月15日放送)は、映像配信サービスのU-NEXTとの完全タッグ。7年ぶりに復活したガールズトークバラエティ『グータンヌーボ』はAmazonプライム・ビデオとの協業で展開するなど、今年に入ってからも次々と全方位戦略を打ち出している。

 そうせざるを得ない事情も背景にはある。在京キー局主導で制作されたドラマと比べると、制作費の規模から体制に至るまで、その差は大きいからだ。配信時代を迎え、テレビ局そのものの優位性が崩れつつもある。だからこそ、クロスメディア展開によって制作費を回収し、利益を生み出すモデルに注力している。それもこれも目的にあるのは「質の高いドラマ」への投資だ。商人気質が息づく柔軟な対応で企画をひねり出し、ビジネスにつなげていく。カンテレのドラマ作りからそんな気概が見える。

文/長谷川朋子



関連写真

  • カンテレの1月期ドラマは、木村佳乃が“悪女”を好演中の『後妻業』(C)カンテレ
  • 『後妻業』第2話より(C)カンテレ
  • カンテレドラマの『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』受賞歴
  • カンテレの1月期ドラマは、木村佳乃が“悪女”を好演中の『後妻業』 ※写真は第2話(C)カンテレ
  • カンテレの1月期ドラマは、木村佳乃が“悪女”を好演中の『後妻業』(C)カンテレ

提供元:CONFIDENCE

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