昨年2月に行われた平昌五輪の女子カーリングで銅メダルを獲得した日本女子チームの本橋麻里（32）が23日、東京・護国寺の講談社で自身初の著書『0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方』の発売記念会見を開いた。

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　同書は北海道の地方都市からカーリングで日本史上初の銅メダルを獲得したチームを作り上げた本橋の実践的ビジネス論。初めて明かすコミュニケーション術や組織マネジメント術、リーダー論などを記している。

　「本を出すこと自体、信じられなかった。意外にチーム（ロコ・ソラーレ）のみんなが喜んでくれたのが、うれしかった」と笑顔を見せた。人口3700人の街で生まれ育ち、そこから「故郷から世界へ」をスローガンに活動する。スローガンを掲げた当初はバカにされることもあったという。

　それでも本橋は「夢を見ること、挑戦することは悪いことじゃない」ときっぱり言い切った。国内での評価も大きく変わった。「カーリングは決して環境がよくなかったけど、女子はカーリング選手1本で食べていくことができる」としみじみと口にした。

　大きな感動が生まれた平昌から約1年が経過。「選手は浮かれていることは少ない。次にこうしなきゃ、こうしたい、もっと頑張らなきゃという意識の中で男女ともにできている。いい向上心がある。そんな仲間がそろっている」と断言。

　4年に1度の五輪でカーリングは話題になるが、本橋は「五輪に行ったメンバーで『ここからなんだよね』と先週ぐらいに話をした」と兜の緒を締め直していた。そして流行語大賞受賞など「激動の1年になってます」と笑いながらも「チームでカーリングができてよかったなぁ」とチームメイトに感謝した。

　次の冬季五輪まで3年となった。ただ、1年1年に全力を注いでいるそうで「今はチームのスローガンである“世界一”を、どうやって叶えるかっていうのに集中している」と話した。

　週に4回ほど氷上に立ってもいるが、ロコ・ソラーレの代表理事としてカーリング選手のさらなる地位向上を目指す。「選手として希望を持ってもらいたい。カーリング界から離れたり、ステップアップするときも自信を持って『カーリング選手でした』と言ってもらえるような環境を作りたい。なるべく長くカーリングを続けられる状態にしたい。今、1番の目標です」と力を込めた。

　3歳の男の子の母でもある。「カーリングはわかっているみたい。実際に週3回ぐらいリンクに連れて行っている」とにっこり。ただ「親の教育はちゃんとしなきゃと思う」と話すと「息子はスポーツで知っているのはカーリングだけ。ちょっと狭い環境。そこを広げてあげながら、私が楽しいと思ったカーリングも伝えてあげられたら」と苦笑いした。

　また、本の最後にはロコ・ソラーレのメンバー、夫からのコメントもサプライズで載せられている。製本されるまで知らなかった本橋は「主人の字が汚い…」と照れながらも「普段、恥ずかしくて言葉にしないことを、みんなが素直に書いてくれいる。五輪でメダルを取った次ぐらいに衝撃でした」と笑顔。

　コメントがあることは本橋にとってもうれしいサプライズだったそう。「この本を出すのに不安があった。せっかくチームでやってきたのに私だけの本になるのが嫌で、どうしようかギリギリまで悩んでいた。みんなのメッセージがあることによって、チームでの本になった。最後に温かいサプライズがあって、より愛着がわきました」と編集者に感謝していた。

　最後に珍謝罪も。きのう、飛行機で都内に来ていたというが、本の購入者に話しかけられるも“塩対応”してしまったという。「あまりにも突然、声をかけられてビックリして…。『ごめんなさい』と言って去っちゃった。東京で声をかけられると、ドキッとしちゃう。田舎者なので…。ちゃんと『ありがとう』と言えなくて、ごめんなさい。ありがとうございました」と本橋らしいエピソードを披露。会場を和やかなムードにしていた。