2019年に日本とフィンランドが外交関係樹立100周年を迎えることを記念し、フィンランドとゆかりのあるスキージャンプの葛西紀明選手（46）、女優の小林聡美（53）、でんぱ組.incの藤咲彩音（22）、照明デザイナーの石井幹子氏（80）、ピアニストの舘野泉氏（82）、デザイナーの皆川明氏6人が親善大使に就任した。

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　これは、きょう12日に東京・駐日フィンランド大使館で行われた、外交関係樹立100周年を祝うイベントやプロジェクトを公開するメディアイベント『FINLAND JAPAN』で発表されたもの。6人は年齢も職業も異なるが、日本とフィンランドの友好関係の象徴として親善大使という役を引き受け、フィンランドに対する思いや今後の2国関係に期待することを発表会で語った。

　この日はスキージャンプのシーズン中で欠席した葛西選手以外の5人が登壇。ビデオメッセージを寄せた葛西選手は、スキージャンプの大会や合宿などでフィンランドに訪れる機会が多く、1989年2月にフィンランド・ラハティで開催されたノルディックスキー世界選手権に16歳8ヶ月の日本人男子史上最年少出場した経験もある。現在はフィンランド人のコーチを迎え、毎年現地でトレーニングをするなど縁が深い。

　「コーチがフィンランド人でありますし、小さいころからフィンランドで合宿をするなど思い出があります。今後も日本とフィンランドは交流が深まると思いますが、自分もスポーツを通じてすばらしい交流ができるよう頑張っていきます」とメッセージを語った。

　小林はフィンランドが舞台の映画『かもめ食堂』（2006）に主演し、飲食店を営む日本人女性・サチエ役を担当。何度も訪れているそうで「私にとって最も親しみを感じる国。毎日を『豊かに暮らしているか？』と問いかける国ですね。『かもめ食堂』で訪れた時は、時間や人もゆったりと流れていて、『なんて居心地がいいんだろう！』と。現地スタッフも『明日家族が休みだから撮影を休んでいいか？』といったりしていて、ワークライフバランスがしっかりしていましたね。今回の大使就任は気が引き締まる思いです」と笑顔で当時を振り返った。

　でんぱ組.incの“ピンキー！”の愛称で親しまれている藤咲は、日本のアイドルシーンに憧れてフィンランドからやって来た2人組姉妹「ノーラ＆ペトラ」と新グループ「ピンキー！ノーラ＆ペトラ」を結成しており、去年8月にCDデビュー。「ノーラちゃんとペトラちゃんとユニットを組んで、初めてフィンランドの方とお仕事をしてドキドキしたけど、穏やかだしなじんだというか、ずっと前からお友達のようなすぐに仲良くなれた。去年は悩む時もありましたが、2人といると『焦らなくていいんだな』と感じ学ぶことがありました。今回の大使役も頑張らせていただきます！」と感謝と意気込みを語った。

　石井氏は東京タワーやレインボーブリッジの照明などを手がけた照明デザイナーで、東京芸術大美術学部卒業後、1960年代にフィンランドで照明デザインの基礎を学んだ。「初めて外国に行ったのがヘルシンキで北欧デザインを学びたかった。キャリアの出発点で、美しいデザインの家具などで暮らしていましたし、内閣や大企業の役員にも女性がいてとても感銘を受けました。今回の任命は大変光栄です」と振り返った。

　「左手のピアニスト」として知られる舘野氏は東京生まれ、フィンランド在住のピアニストで、フィンランド人と結婚。ヘルシンキと日本を拠点として、世界中で年間50近いリサイタルを行い、フィンランド政府から終身芸術家給与を授与されている。「フィンランドでの生活は非常に穏やかで、自分の考えに打ち込むことができる。静かな中で芸術活動ができるのですが、50年前に移住した時は周りから『なんでそんなところに行くの？』と驚かされましたね」と笑わせた。

　皆川氏は19歳のころにフィンランドを訪れて以来、その国の文化と暮らしに魅せられて、自身が設立した「mina perhonen」というブランド名もフィンランド語が由来。フィンランドブランドとのコラボ商品を手がけている。「冬のフィンランドに19歳の時に行って、寒い中でも元気に学校に通う子どもたちなどさまざまな人々を見て、色んな感銘を受けました」と伝えた。

　今回の6人の就任についてペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使は「フィンランドと関係の深い、著名な方々が親善大使の役を引き受けてくださって、大変うれしく思います。これからもフィンランドと日本をつなぐ、心強い橋になってくださることを期待します」と語った。

　イベントでは来年3月に埼玉県飯能市でオープンする「ムーミンバレーパーク」や日本各地を巡回予定のムーミン展、フィンランドを舞台にした映画『雪の華』（来年2月公開）などのイベント情報の詳細が公開された。