落語家・三笑亭笑三（本名：斧田道男＝おのだ・みちお）さんが、10月24日に肺炎のため死去した。93歳だった。三笑亭笑三師匠が相談役を務める落語芸術協会が11日、発表した。なお、葬儀は近親者のみで密葬にて執り行われた。

　役員として長く協会の運営に尽力した師匠は、早稲田第二高等学院在籍中に学徒動員として出兵、激動の時代の中復員後に落語家となった。平成28年まで8月下席の浅草演芸ホールで大喜利の司会を努め、若手への愛のあるツッコミは客席、楽屋でも話題をさらった。

　大喜利は師匠の意志を継ぎ今も8月下席でおこなわれており、次の世代にバトンが繋がっている。その浅草演芸ホールではプログラムの表紙絵を担当。年賀状などの手紙にも自身のイラストを必ず描くなど、まめで絵のセンスもあった。特技の8ミリ・16ミリカメラによる映画製作においては、その腕前はプロ級で、プロダクションを立ち上げて作品を残されるなど、多彩な才能で多くの人を魅了した。

　特技演目は「安全地帯」「異母兄妹」「大師の杵」「悋気の独楽」など。多くの新作落語も生み出した。寄席としては平成29年1月6日の国立演芸場が最後の高座となった（演目「消費税」）昭和39年芸術祭奨励賞。

■三笑亭笑三さん　略歴

大正14年10月28日生まれ（出身地 東京）
昭和21年:八代目三笑亭可楽師匠に入門「可寿美」
昭和25年:「柳亭春楽」と改名
昭和29年:二代目三遊亭圓歌師匠門下へ移り「歌風」
昭和35年:可楽門下へ戻り「三笑亭笑三」
昭和36年4月:真打昇進
昭和52年12月：協会の理事に就任