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RIKACO顔まねのキートン、ベテラン芸人の苦悩 本格ブレイクにみなぎる闘志

 お笑い芸人・キートン(45)。サラサラの髪をかき上げ、細目で吐息を漏らすRIKACOの顔まねシリーズなどで人気を集めた彼だが、5月にあるツイートをして話題となった。「吉本の給料明細がきた。説明会がありギャラはちゃんと出ます。と、そこそこの規模で始まったチェンジライブのギャラが入った。50円。源泉引かれて45円」。暑さも吹き飛ぶような内容だが、当の本人に話を聞くと「ライブをやっている方の熱意にうたれて、ノーギャラで出演するということもあるので、今回は『よく50円振り込んでくれたなー』と感じて、その面白さを共有してほしかっただけです」とあっさり。そこから詳しく話を聞いてみると、ベテラン芸人の苦しい今が浮かび上がってきた。

キートン (C)ORICON NewS inc.

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■劇場に出られるのは“売れっ子”と“若手” 芸人としての稼ぎ「ここ2年は年収20万」

 話題になった“ギャラ50円”は、よしもとに所属する芸歴11年目以上の芸人を対象とした『CHANGE A+』出演に対するもの。「なぜ、このライブが企画されたのかといえば、今その層が劇場に出ることができず、あぶれちゃっていて…。だから、舞台を立つ機会を作りましょうということなので『ギャラください』と言って出ているライブではないんです。会場の人数や出演芸人の人数などを考えたら、ギャラが出なくても仕方ないなというくらいなので、特に驚きませんでした(笑)」。よく「よしもとの芸人さんは劇場があるから…」といった声を耳にすることがあるが、それは“売れっ子”と“若手”に限った話だという。

 「僕が若手の頃は芸人も少なかったし、(新宿にある)ルミネtheよしもとにも若手芸人が出られる時間帯もありましたが、今はまったくないですね。僕が最後にルミネに出ていた時は、新喜劇をやって、それ以外に6〜7組くらいが出るという感じだったのですが、そうなると『M-1』王者やテレビでガンガン出ている売れっ子しか出られない。一方で、渋谷の∞ホールは若手がメインなので、ちょうど中間の、芸歴だけあってくすぶっている芸人は本当に出る劇場がないんです」。

 「同じくすぶっている芸人の中でも、僕はテレビになんだかんだで年に1〜2回くらいは出ていますけど…」と謙そんしながら語るキートンだが、ここ2年の芸人としての収入を聞くと「年収20万円です。あとは、営業やショーパブのお仕事もあったりして、プラスで月に数万円程度いただいているという感じです」。生活費をねん出するために2年前まではアルバイトをしていたが、とある事情でバイトもできなくなってしまったのだと振り返る。

 「芸人の仕事がいつ入ってもいいように、時間の融通がきくものを…ということでパチンコ・パチスロの新台設置のバイトを始めたのですが、閉店後に設置するので、終わるのが夜中の3時くらいで、車がないとできない。ただ、2年前に車検が切れてしまって、車に乗ることができなくなったので、それ以降はバイトをやっていません。車中生活をしたり、友人の家に1年近く居候をしたりしていたのですが、さすがに居づらくなって、実家に戻って生活することにしました。家賃は浮きますが、援助をしてもらうこともなく、実家なんですけど、ひとり暮らしのような状態なので、このお金でどうやって生活できているんだって自分でも不思議で…。スロットで細々ながら勝つことができているおかげかな(笑)」。

■『細かすぎて』の舞台裏で感じた石橋貴明の愛 今の望みは「ひとり暮らしできるギャラがほしい」

 幼少期に、スイミングスクールの先生から昭和を代表するコメディアン・益田喜頓に顔が似ていると指摘されたことをきっかけに名付けた“キートン”という芸名。小学校の頃から『ドリフ』をはじめとした“東京の笑い”の虜となり「いつかは自分も…」と芸人を志すようになった。1996年にNSC(吉本総合芸能学院)東京校2期生として入学。その顔を知られるようになったのは、フジテレビ系『とんねるずのみなさんのおかげでした』の人気企画「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で見せたRIKACOの“顔まね”だった。

 「実は『細かすぎて〜』に出させてもらうまで、物まねなんて1回もやったことなかったんです(笑)。マネージャーさんから『物まねのオーディションがあります』と言われたのですが、最初の方は『僕、物まねできないので」と断っていました。でも、仕方なしにやってみようと思ったのがRIKACOだったんですけど、それが合格になって…。『細かすぎて〜』のおかげで、世間的にも『RIKACOの人だ!』と知っていただけるようになりました」。

 今年の3月22日に、惜しまれながらも『みなさん』が終了。キートンは「細かすぎて〜」の舞台裏での光景を今でも鮮明に覚えている。「貴さん(石橋貴明)がめっちゃやさしいんですよ。『細かすぎて〜』では、オンエアされている人以外にもけっこうネタをやっていて、1回の収録で、かなりの人数の芸人が出演しています。それで収録が終わった後、スタジオの出口辺りに貴さんがいて、全員に声をかけてくれるのが恒例になっていましたね。『今回は、あれやらなかったの?』とか、その芸人のネタについて話をしてくれるんです。僕はひとりでネタやることが多かったですが、団体芸で特にしゃべっていない芸人にも『似ているね』と話しかけていました。だから、番組が終わった時は本当にショックでした」。

 時代を変えた大先輩の愛にも触れながら、ここまで進んできた芸人としての歩み。「きのうは、久しぶりにスロットですげー勝ったんですよ。だから、きょうは生活必需品を買って帰ろうかと。こういったあぶく銭が入ったら、すぐ使うようにしています。家とか車とかっていう高い買い物は想像できないです。まずは、芸人としての仕事がたくさん入って、ひとりで暮らせるくらいのギャラがほしい。ギャラ50円をきっかけに、チケット代50円の単独ライブとか面白そうですよね。劇場貸してくれるかな(笑)」。そう語りながら、ゆっくりと歩き出したキートンのうしろ姿からは「まだまだ、これから」という闘志がみなぎっていた。

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  • キートン (C)ORICON NewS inc.
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