『ゴッドタン』『日村がゆく』『勇者ああああ』といった“ド直球のバラエティー番組”に携わる番組制作プロダクション「シオプロ」。『とんねるずのみなさんのおかげでした』や『めちゃ×2イケてるッ!』など長く愛されたテレビ番組が終了し、ネット動画配信サービスではテレビ以上の豪華キャストと莫大な予算による番組が次々と制作されるなど、“バラエティー番組”を取り巻く環境が激変している中、お笑い好きの心をつかんで離さない番組を送り出しているシオプロは、どのように舵取りを行っていくのか。前編では新入社員たちの言葉からヒントを探ったが、後編では塩谷泰孝社長に話を聞いた。
■少数精鋭から社員急増のワケ 番組作りのキーワードは「タレントに恥をかかせない!」
2005年にシオプロを設立して以降、少数精鋭で番組作りに励んできたが、この1年で人員を一気に増やした。「ウチはカロリーの高い番組が多いので、1つの番組に対して作業量がどうしても多くなってしまうのですが、昨今の働き方改革も鑑みて、1人の量を増やすのではなく人数を増やして解決しようと。今年は新入社員を10人採用したので、それまでの社員が25人だったのが一気に1.5倍になって、今俺が一番不安になっています(笑)。会社として拡大していく必要があるし、社員を食わしていかないといけないので、頑張りどころです」。
「制作費がカットされた」「コンプライアンスが厳しくなって…」など、暗い話題が多いイメージのテレビ業界の中にあって、何とも明るい話題だが、好調を支えるのは社長自らの営業の成果なのか。「営業は全然していません(笑)。ありがたいことにいろんなところから声をかけていただいている状態ですので、ネットもテレビも、制作会社としていただいたお仕事を一生懸命やる。手を抜かずに頑張りましょうということに尽きます」。高卒でADのアルバイトを始めた塩谷氏。最初に配属された番組はTBS合田隆信氏演出の『ガチンコ!』(1999〜2003)だったが、それから約20年近くの時が経ち、バラエティーを取り巻く状況も一変した。
昨年に塩谷氏へのインタビューを行った際に、「シオプロらしさ」が形成されるキーワードのひとつに“世代の近さ”が挙げられていたが、今や半数近くを1〜2年目の社員が占める状態。「シオプロらしさ」を継承させていきながら、今の時代に合ったバラエティー番組作りをするにあたって、塩谷氏はどのような指導を新人たちに行っているのか。「入社したらすぐに全員に小さいカメラを渡して、一人で外ロケに行かせる、一人で編集させてみるなど、教えるというよりも現場で吸収させます。それが一番早いですからね。実際に番組を動かしていきながら『これはどうかな』という時だけ、口を出すようにしています」。
番組作りのキーワードについては、端的かつインパクトのある言葉が返ってきた。「ウチがやっている番組は深夜に放送されるものが多いので、規制云々といったことに頭を悩ませる場面にあまり遭遇しないのですが、一応『ストレートなエロはやめよう』というのは決めています。言葉にすると『何、その決まり』という感じがして、スゴくダサいですが(笑)。要はストレートにエロいことをするのではなくて『エロを笑う』という方向を目指そうよということなのですが、やっぱり言葉にするとダサいな(笑)。あとは最終的に視聴者に面白い、面白くないと思われるのは、テレビに出ているタレントさんなので、『番組に出て頂いたタレントさんに絶対恥をかかせない!』を社訓みたいな感じにしています」。
■視聴率への重圧も「ゴッドタンは例外」 体育会系の社員教育は封印「友だちみたいなノリで…」
民放各局のテレビ番組制作に携わる以上、避けては通れないのが“視聴率”。シオプロ制作の番組を見ると「面白さ最優先」という印象を受けるが、数字の大切さも痛感している。「特に、地上波の番組でゴールデンタイムなどのいい時間帯でやらせてもらう場合、視聴率が高いに越したことはないので、そこの重圧を感じることはあります。視聴率が悪かったら簡単に番組が終わっちゃいますので、地上波でやる以上は、そこも狙わないといけないですね。ただ『ゴッドタン』は、ちょっと例外でして…。番組の定例会議などをやる時に、普通はその場で毎分視聴率などが書かれた資料が配られますが、『ゴッドタン』の会議では、そういった資料が出てきませんから(笑)」。
テレビだけでなく、ネット動画配信サービスが提供する番組の制作も行っているシオプロだが、塩谷氏はこれからの「テレビとネットの距離感」はどうなっていくと考えているのだろう。「いろいろな媒体さんとお仕事をさせてもらっていますが、まだ読めませんね。繰り返しになってしまいますが、スケジュールの都合がつかない場合やマンパワー不足という時以外は、基本的にいただいたお仕事は全部やるスタンスなので、僕らとしては一つひとつの番組を誠心誠意作っていくだけです」。
制作を手がけるAbemaTV『日村がゆく』内の企画「第3回高校生フォークソングGP」で一躍注目を集めた15歳のシンガー・ソングライターの崎山蒼志(さきやま・そうし)を発掘するなど、様々な魅力的なキャラクターを楽しめるのもシオプロ発の番組ならでは。塩谷氏は「とにかく、こればっかりはADの努力でしかなくて、崎山くんに限らず、この凄い人材どーやって探してきたんだ?みたいな。ネットで検索しても引っ掛からないような人を『知り合いの知り合いの知り合いの、友達の紹介です(笑)』とか『街で声かけて見つけてきました(笑)』とか、なんの指示もしてないのにADが言われなくても各々動いて、底の底に落ちていた情報を泥だらけの手で拾ってくる感じです。優秀ですし、モチベーション高いなーと感心します」
前編では、入社2年目の谷口晴楽さん(『日村がゆく』担当)、1年目の坂元奎太さん(『勇者ああああ』担当)、鈴木深さん(『ゴッドタン』担当)、牧野玖美さん・鎌田柊太郎さん(『日村がゆく』担当)の5人に取材を敢行。社員から見た塩谷氏の印象を聞くと「会社の社長さんというより、大先輩のディレクターさんという感覚」「塩谷さんからは見て学ぶことが多い」といった感想が寄せられた。フレッシュな社員たちの忌憚(きたん)ない言葉を笑顔で聞いていた塩谷氏だが、社員教育についてどんなことを心がけているのか。
「仕事の内容については具体的にどう言っていいかわからないですし、僕自身が先輩たちの背中を見て学んできたこともありますし、やっぱり実践するのが一番。取材の様子をご覧いただいて、おわかりかもしれないですが、社員とは友だちみたいなノリでやっています(笑)。僕がADをやっていた頃は体育会的なノリでしたけど、それはもう古いのではないかと考えた結果、これくらいの感じがいいのかなと。働き方改革とともに、変えていかないといけない部分は変えていくということですかね」。最後に、これからやりたい番組を尋ねてみた。
「前にも言いましたが、各局のスター演出家のテレ東の佐久間宣行さん、板川侑右くん、TBSの藤井健太郎くん、横井雄一郎くん、フジテレビの木月洋介さん、テレビ朝日の宮本博行さんなどの支えあってのシオプロですので、こんな偉そうにインタビューに答えているのが痴(おこ)がましい限りなんですが、これを見たクライアントの皆様、なんでも誠心誠意やりますので割りの良いお仕事下さい!(笑)」。テレビがつまらないと嘆く視聴者の心をつかみながら、今の時代に合ったやり方でまっすぐ進んでいく。バラエティー作りの“何でも屋”シオプロの快進撃はまだまだ続きそうだ。
■少数精鋭から社員急増のワケ 番組作りのキーワードは「タレントに恥をかかせない!」
「制作費がカットされた」「コンプライアンスが厳しくなって…」など、暗い話題が多いイメージのテレビ業界の中にあって、何とも明るい話題だが、好調を支えるのは社長自らの営業の成果なのか。「営業は全然していません(笑)。ありがたいことにいろんなところから声をかけていただいている状態ですので、ネットもテレビも、制作会社としていただいたお仕事を一生懸命やる。手を抜かずに頑張りましょうということに尽きます」。高卒でADのアルバイトを始めた塩谷氏。最初に配属された番組はTBS合田隆信氏演出の『ガチンコ!』(1999〜2003)だったが、それから約20年近くの時が経ち、バラエティーを取り巻く状況も一変した。
昨年に塩谷氏へのインタビューを行った際に、「シオプロらしさ」が形成されるキーワードのひとつに“世代の近さ”が挙げられていたが、今や半数近くを1〜2年目の社員が占める状態。「シオプロらしさ」を継承させていきながら、今の時代に合ったバラエティー番組作りをするにあたって、塩谷氏はどのような指導を新人たちに行っているのか。「入社したらすぐに全員に小さいカメラを渡して、一人で外ロケに行かせる、一人で編集させてみるなど、教えるというよりも現場で吸収させます。それが一番早いですからね。実際に番組を動かしていきながら『これはどうかな』という時だけ、口を出すようにしています」。
番組作りのキーワードについては、端的かつインパクトのある言葉が返ってきた。「ウチがやっている番組は深夜に放送されるものが多いので、規制云々といったことに頭を悩ませる場面にあまり遭遇しないのですが、一応『ストレートなエロはやめよう』というのは決めています。言葉にすると『何、その決まり』という感じがして、スゴくダサいですが(笑)。要はストレートにエロいことをするのではなくて『エロを笑う』という方向を目指そうよということなのですが、やっぱり言葉にするとダサいな(笑)。あとは最終的に視聴者に面白い、面白くないと思われるのは、テレビに出ているタレントさんなので、『番組に出て頂いたタレントさんに絶対恥をかかせない!』を社訓みたいな感じにしています」。
■視聴率への重圧も「ゴッドタンは例外」 体育会系の社員教育は封印「友だちみたいなノリで…」
民放各局のテレビ番組制作に携わる以上、避けては通れないのが“視聴率”。シオプロ制作の番組を見ると「面白さ最優先」という印象を受けるが、数字の大切さも痛感している。「特に、地上波の番組でゴールデンタイムなどのいい時間帯でやらせてもらう場合、視聴率が高いに越したことはないので、そこの重圧を感じることはあります。視聴率が悪かったら簡単に番組が終わっちゃいますので、地上波でやる以上は、そこも狙わないといけないですね。ただ『ゴッドタン』は、ちょっと例外でして…。番組の定例会議などをやる時に、普通はその場で毎分視聴率などが書かれた資料が配られますが、『ゴッドタン』の会議では、そういった資料が出てきませんから(笑)」。
テレビだけでなく、ネット動画配信サービスが提供する番組の制作も行っているシオプロだが、塩谷氏はこれからの「テレビとネットの距離感」はどうなっていくと考えているのだろう。「いろいろな媒体さんとお仕事をさせてもらっていますが、まだ読めませんね。繰り返しになってしまいますが、スケジュールの都合がつかない場合やマンパワー不足という時以外は、基本的にいただいたお仕事は全部やるスタンスなので、僕らとしては一つひとつの番組を誠心誠意作っていくだけです」。
制作を手がけるAbemaTV『日村がゆく』内の企画「第3回高校生フォークソングGP」で一躍注目を集めた15歳のシンガー・ソングライターの崎山蒼志(さきやま・そうし)を発掘するなど、様々な魅力的なキャラクターを楽しめるのもシオプロ発の番組ならでは。塩谷氏は「とにかく、こればっかりはADの努力でしかなくて、崎山くんに限らず、この凄い人材どーやって探してきたんだ?みたいな。ネットで検索しても引っ掛からないような人を『知り合いの知り合いの知り合いの、友達の紹介です(笑)』とか『街で声かけて見つけてきました(笑)』とか、なんの指示もしてないのにADが言われなくても各々動いて、底の底に落ちていた情報を泥だらけの手で拾ってくる感じです。優秀ですし、モチベーション高いなーと感心します」
前編では、入社2年目の谷口晴楽さん(『日村がゆく』担当)、1年目の坂元奎太さん(『勇者ああああ』担当)、鈴木深さん(『ゴッドタン』担当)、牧野玖美さん・鎌田柊太郎さん(『日村がゆく』担当)の5人に取材を敢行。社員から見た塩谷氏の印象を聞くと「会社の社長さんというより、大先輩のディレクターさんという感覚」「塩谷さんからは見て学ぶことが多い」といった感想が寄せられた。フレッシュな社員たちの忌憚(きたん)ない言葉を笑顔で聞いていた塩谷氏だが、社員教育についてどんなことを心がけているのか。
「仕事の内容については具体的にどう言っていいかわからないですし、僕自身が先輩たちの背中を見て学んできたこともありますし、やっぱり実践するのが一番。取材の様子をご覧いただいて、おわかりかもしれないですが、社員とは友だちみたいなノリでやっています(笑)。僕がADをやっていた頃は体育会的なノリでしたけど、それはもう古いのではないかと考えた結果、これくらいの感じがいいのかなと。働き方改革とともに、変えていかないといけない部分は変えていくということですかね」。最後に、これからやりたい番組を尋ねてみた。
「前にも言いましたが、各局のスター演出家のテレ東の佐久間宣行さん、板川侑右くん、TBSの藤井健太郎くん、横井雄一郎くん、フジテレビの木月洋介さん、テレビ朝日の宮本博行さんなどの支えあってのシオプロですので、こんな偉そうにインタビューに答えているのが痴(おこ)がましい限りなんですが、これを見たクライアントの皆様、なんでも誠心誠意やりますので割りの良いお仕事下さい!(笑)」。テレビがつまらないと嘆く視聴者の心をつかみながら、今の時代に合ったやり方でまっすぐ進んでいく。バラエティー作りの“何でも屋”シオプロの快進撃はまだまだ続きそうだ。
2018/08/24