放送文化の発展と向上に貢献した番組や個人、団体等に贈られる『第55回ギャラクシー賞』の贈賞式が31日、都内で開催された。1963年の創設から55年の節目で特別に設けられた「55周年記念賞」に約60年にわたって脚本家として活動してきた倉本聰氏、2015年度に新設された「フロンティア賞」にインターネットテレビ「AbemaTV」制作の『72時間ホンネテレビ』が選出され、変わる価値意識の潮目を見るようだった。

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　今回は2017年4月1日から18年3月31日までに放送された番組・作品を対象に、テレビ部門、ラジオ部門、CM部門、報道活動部門各4部門の大賞、優秀賞、選奨が発表され、各賞を表彰。司会は、かつてテレビ朝日系で放送された報道番組『ニュースステーション』でキャスター＆サブキャスターを務めていたフリーアナウンサーの久米宏（73）と小宮悦子（60）が務めた。20年ぶりとは思えない2人の絶妙なコンビネーションは見事だったが、久米の聞きにくいことをあえて聞くインタビューにより、授賞式は“20分押し”の盛り上がりを見せた。

　倉本氏は、「来週、手術」を控えているらしいのだが、車椅子に乗っても登壇して気概を示した。フロンティア賞を受賞したAbemaTVの藤田晋氏（サイバーエージェント社長）は「AbemaTVをはじめて2年。ギャラクシー賞に選ばれ、すごいと言われてもピンとこなかったのですが、この賞に恥じないように、頑張っていきたいと思います」と不敵な笑みを浮かべていた。

　藤田氏のお祝いには、『72時間ホンネテレビ』に出演した香取慎吾が駆けつけ、久米から「SMAPは解散したけど、世間はまだSMAP（の香取）という感覚がある。ご本人的にもその感覚に慣れました？」と“直球質問”を浴びることに。香取は「何ヶ月か前だったら“アタフタ”したと思うが、今は“アタ”くらいなので、そういう意味では慣れたのかな」と答えてその場を乗り切っていた。

　志賀信夫賞は川端和治氏（弁護士、BPO放送倫理検証委員会元委員長）、テレビ部門個人賞は俳優の高橋一生に。大河ドラマ『おんな城主直虎』（NHK）、『民衆の敵』（フジテレビ）、連続テレビ小説『わろてんか』（NHK）での演技のほか、CMでは10変
化のコスプレやキレのいいヲタ芸なども披露し、テレビ界に新風を吹き込んだ実績が評価された。特別賞は『架空OL日記』（読売テレビ）の原作・脚本・主演を務めたバカリズムが受賞（授賞式は欠席）。

　ラジオ部門DJパーソナリティ賞は、長崎放送『あさかラ！』パーソナリティ・村山仁志が受賞。マイベストTV賞は、日曜劇場『陸王』（TBS）が選ばれ、伊與田英徳プロデューサーと一緒に主演した役所広司が登壇し、会場を沸かせた。

　授賞式後、倉本氏の状況について倉本氏の所属事務所・テレビ朝日の双方の関係者に確認したところ、来週「頚椎の軽い手術」を行う予定で、「きょうは転倒などの予防のため、車椅子を使った」とのこと。「命にかかわるものではないので、心配ありません」としている。

■『第55回ギャラクシー賞』受賞結果
テレビ部門・大賞：『映像’17「教育と愛国〜教科書でいま何が起きているのか」』（毎日放送）
ラジオ部門・大賞：『最期への覚悟』（CBCラジオ）
CM部門・大賞：『シリーズ「表情プロジェクト」』（資生堂ジャパン　表情プロジェクト）
報道活動部門・大賞：『変わる自衛隊　地方から伝えた一連の報道』（名古屋テレビ放送）。

ギャラクシー賞55周年記念賞：倉本聰
個人賞：高橋一生
特別賞：バカリズム
マイベストTV賞：『陸王』（TBS）
フロンティア賞：『72時間ホンネテレビ』（AbemaTV）
DJパーソナリティ賞：村山仁志（長崎放送『あさかラ！』）
志賀信夫賞：川端和治