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ピクサーの生きる伝説リー・アンクリッチ監督、最新作『リメンバー・ミー』を語る

 『トイ・ストーリー3』(2010年)のリー・アンクリッチ監督最新作、ディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』が16日より公開された。「トイ・ストーリー」シリーズはおもちゃの世界の裏側を描いた作品だったが、『リメンバー・ミー』の舞台は、なんと<死者の国>。だけどめちゃくちゃ陽気でカラフル! そこにはアトラクション的な楽しさと悠久の時の重みが融合した、壮大でユニークな世界があり、家族の愛と音楽があふれていた。

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 物語の舞台を、亡くなった人たちが暮らす<死者の国>にしようと思いついたのは、アンクリッチ監督自身だ。『トイ・ストーリー3』が世界興行収入でアニメーション史上1位を記録(2014年3月に『アナと雪の女王』に抜かれるまで維持)した直後、2011年のことだった。

 モチーフになっているのは、メキシコの伝統的な祭礼で、ユネスコの無形文化遺産に登録されている“死者の日”だ。日本のお盆のようなお祭りだが、何倍も派手で格段に明るい雰囲気が特徴。家の中や街のいたるところに設けられた祭壇は、カラフルな切り紙の旗、ガイコツの人形、マリーゴールドの花びら、ろうそくのあかりで飾られ、故人の写真や好きだった食べ物をお供えして、先祖や亡くなった人たちの霊を迎え祀る。

 「たまたま死者の日の話になりました、ではなく、死者の日だからこそ起こり得た物語を描く、ということが僕にとってすごく重要なことでした」とアンクリッチ監督。ひとつのアイデアを思いついたら、徹底的にリサーチし、ストーリーを緻密に練り上げていくのがピクサー映画だ。本作もリサーチに3年の月日がかかっているという。

 「メキシコ各地に赴き、地元の人々とふれあう中で印象的だったのは、“人は3度死ぬ”という彼らの死生観です。1度目は息を引き取った時、医学的な死ですね。次は、葬儀をあげて、埋葬あるいは火葬されて肉体的な存在が失われた時。そして、その人を知る者が全て死んでしまい、思い出す人が誰もいなくなってしまった時、3度目の死を迎える。誰からも忘れ去られてしまう最後の死は切ない概念ですが、言い換えれば、生きている者たちが亡き人を思い出している限り<死者の国>で楽しく生き続けられるということ。そして、<死者の国>の住人にとって死者の日は、家族や友人に1年ぶりに会える楽しくてエキサイティングな日なのです」。

 『リメンバー・ミー』では、その人を思い出す者が誰もいなくなってしまうと、<死者の国>からも消えてしまう絶対的な死を、“二度目の死”と設定。<死者の国>に迷い込んでしまった主人公ミゲルが出会ったガイコツのヘクターは、“二度目の死”の危機にさらされており、ミゲルが元の世界<生者の国>へ戻る手助けをするかわりに、“ある願い”を託そうとする。

 ストーリーにグイグイ引き込まれ、笑ったかと思えばふとしたところで涙してしまう、ドラマチックな展開はピクサー映画の真骨頂。映画の終わりには、家族の声が聞きたくなったり、しばらく会っていない人のことを思い出したり、“自分の物語”を見たような気持ちになる。

 「私たちには、ずっと後の時代になっても自分が大切な存在であり続けていると思いたい、という共通の強い思いがあることに気付きました。本作の物語には、思い出を生かし続ける、ということがいかに大切か、ということが含まれているのです」。

 <死者の国>では、その人を知る者が多ければ多いほど、ステータスが上がる。ミゲルが暮らす町サンタ・セシリアが生んだ、伝説のミュージシャン、エルネスト・デラクルスは、<死者の国>の住人になった今もなおカリスマ・ミュージシャンとして、豪華な大邸宅に暮らし、毎年“死者の日”にはたくさんの贈り物(生者の国のファンのお供え物)が届き、華麗な“人生”を生きている。

 アンクリッチ監督は言うなればピクサー・アニメーション・スタジオの生きる伝説。ピクサー映画の第1作『トイ・ストーリー』(1995年)のフィルム・エディターとして参加して以来、ほぼすべての長編作品で主要な役割を担ってきた。『トイ・ストーリー2』(99年)、『モンスターズ・インク』(2001年)、アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作『ファインディング・ニモ』(03年)を共同監督した後、『トイ・ストーリー3』の監督・脚本を手がけ、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。09年には、映画人としての功績を讃えられ、ジョン・ラセターらとともにヴェネツィア国際映画祭で栄誉金獅子賞も受賞している。<死者の国>の住人になっても、半永久的にセレブ暮らしができるだろう。

 「誇らしく思うのは、25年近くピクサーで仕事をしているけど、最初に僕たちが目指したもの、冒険やユーモア、夢のような楽しさが詰まっていて、そして観客が思わず涙する映画を作る、というスタンダードは変わっていない。変わらずに作り続けることができていることに感謝しています。失敗する余地も与えてくれるしね(笑)。作った映画がいつまでも多くの人の心に残って、忘れ去られることなく、世代を超えて語り継がれていくといいよね」。

 『リメンバー・ミー』は今月4日に発表されたアカデミー賞2部門(長編アニメーション賞・主題歌賞)受賞をはじめ、さまざまな映画・アニメ賞にその名を刻み、世界中で大ヒット中。記録にも記憶にも残る作品になるに違いない。



関連写真

  • ピクサー・アニメーション・スタジオのほぼすべての長編作品で主要な役割を担ってきたリー・アンクリッチ監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 『トイ・ストーリー3』に続き、『リメンバー・ミー』でもアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞
  • ディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』(C)2018Disney/Pixar. All Rights Reserved.
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