フランス・アングレームで現地時間25日〜28日に開催されている、「漫画におけるカンヌ」とも言われる『第45回アングレーム国際漫画フェスティバル』（Festival International de la Bande Dessinee）で日本の漫画家・真島ヒロ氏が特別栄誉賞を受賞した。

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　25日におこなわれた授賞式の壇上で真島氏は「このような賞（日本の少年漫画をフランスはじめ世界で普及させ、より幅広い層にまで浸透させることに貢献した）をいただき、たいへん光栄です。いま、この瞬間がとてもすばらしく、とても楽しんでいます」とスピーチ。

　同フェスティバルでは、2015年に『AKIRA』の大友克洋氏が日本人初の最優秀賞を受賞するなど、近年、日本の漫画への注目が高まっており、今年は会場内で『FAIRY TAIL』展（EXPOSITION FAIRY TAIL）が開催されるなど、フェスティバル史上初めて、日本漫画が大きく取り上げられる年となった。

　『FAIRY TAIL』展は、同フェスティバルの来場者がフランスのバンドデシネ（漫画）愛好家、大人向け青年コミック読者が中心であることを鑑み、より若年層ファンに開かれた漫画祭にするべく、初めて子ども・ファミリー向けに企画されたもの。

　『FAIRY TAIL』は、ナツやルーシィらの魔導士がギルド「フェアリーテイル」の仲間たちと繰り広げる、冒険ファンタジー漫画で、日本では昨年11月に発売されたコミックス63巻で完結。フランスでは2008年に発売されてから、つねにトップ3内にランキングされるベストセラー漫画となり、09年の『ジャパンエキスポ』で最優秀少年漫画賞を受賞、11年にアニメ・マンガ雑誌『アニメランド』主催のコンテストで漫画、アニメが年間最優秀賞をダブル受賞するなど、メディアからも非常に高い評価を得ている。主人公のナツ、ルーシィだけでなく、エルザ、グレイ、ハッピー、ウェンディも多くのファンに支持されている。

　会場では、5つの展示スペース「『FAIRY TAILの世界』の部屋」「ファンタジー・魔法の部屋」「冒険とドラゴンの部屋」「作家の技法の部屋」「作家のテーマの部屋」を通して、作品、キャラクター、作家・真島氏を横断的に紹介。海外初公開となる手描き原稿約50点を含む、原画は合計100点超。「作家の技法の部屋」では、真島氏本人による人気キャラクター「ハッピー」の描き方講座が映像で流れ、子どもたちがその場で演習できるワークショップを設置。欧米では初となる人気キャラクター「エルザ・スカーレット」の実物大「換装鎧」も展示されている。

　授賞式の日は、真島氏がフランスのフランソワーズ・ニセン文化相をエスコートして『FAIRY TAIL』展を訪れ、展示物やコンセプトを説明。訪れていた多くの子どもたちとの交流も楽しんでいた。

■アングレーム国際漫画フェスティバルについて

　毎年、フランス南西にあるアングレーム市で開催される、世界有数のコミックイベント。1972年に創立され、2018年1月に第45回を開催する伝統のイベントで、カンヌが映画祭の町で知られるように、アングレームはコミックの町として知られている。フェスティバル期間中は、町全体がコミック一色になり、教会、博物館、市役所など中心部のほぼすべての公共施設が展覧会やイベントの舞台となる。長い歴史のなかで一大文化イベントとして定着しており、学校遠足で参加する子どもたちのグループも多数いる。メディアへの影響も大きく、フェスティバルで出展、受賞した作品や作者には、フランス全土のみならず、世界中のメディアから注目が集まることもある。