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『スター・ウォーズ』新たな三部作を手がけるライアン・ジョンソン監督の魅力

 昨年12月15日に公開され、大ヒットしている映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の監督を務めたライアン・ジョンソン氏。映画公開の少し前に、彼の脚本/監督により、新たな三部作の制作が発表された。ライアン監督とはどんな人物? 選ばれた経緯と理由は? 昨年12月に来日したライアン監督本人へのインタビューやルーカスフィルム社長のキャスリーン・ケネディ氏の記者会見での発言をもとに紹介する。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(公開中)ライアン・ジョンソン監督 (C)ORICON NewS inc.

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(公開中)ライアン・ジョンソン監督 (C)ORICON NewS inc.

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■才能を信じる友人、家族、知人に支えられ

 ライアン監督は、米国メリーランド州生まれ。高校卒業後、南カリフォルニア大学映画芸術学科に進み、短編映画で脚本/監督を担当した後に『BRICK ブリック』(2005年)で長編映画監督デビュー。プロデューサーのラム・バーグマン(『最後のジェダイ』にも参加)と撮影監督のスティーヴ・イェドリンの助けを借りて実現したこの映画の製作予算は、そのほとんどが彼の才能を信じる友人や家族や知人によってもたらされたもの。

 その後、バーグマンとイェドリンと組んだ『ブラザーズ・ブルーム』(08年、出演はマーク・ラファロ、レイチェル・ワイズ、エイドリアン・ブロディほか)、『LOOPER/ルーパー』(12年、出演はブルース・ウィリス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、エミリー・ブラントほか)でも脚本/監督を担当した。また、人気のテレビドラマシリーズ『ブレイキング・バッド』で3つのエピソードを監督しており、その内2つのエピソードが視聴者投票で同シリーズのベスト10エピソード入りを果たしている。

 『最後のジェダイ』の監督に起用された経緯について、ライアン監督は「仕事を得るために、キャスリーン・ケネディ(ルーカスフィルム社長)のところに行ってアイデアを売り込んだわけじゃない。何度か会って話をしたことがあって、その時から彼女とはすごく気が合うな、と思っていたけど、『スター・ウォーズ』の監督候補のリストに僕の名前まで入っているとは思いもしなかった。これまで、自分が手がけていた作品は小規模だったし…」と謙虚に答えた。

 「小規模」とはいえ、「彼が作る映画が見たい」「一緒に仕事をしたい」と思う仲間、ファンがいて、実績を残してきたのは事実。キャスリーンも彼のファンの一人だった。

 「ある日、キャスリーンに呼び出されてルーカスフィルムに行ったら、会議室のドアを閉めるなり、彼女が『スター・ウォーズに興味ある?』といい出したんだ。もう、頭が爆発しそうなくらい、興奮したよ」

■『最後のジェダイ』脚本作りの裏側

 前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15年)からはじまる三部作は、「最初から想定された筋書きがあったわけではありません」とライアン監督。「私はJ.J.エイブラムス(『フォースの覚醒』監督/脚本)の書いた脚本を読み、日々、撮影されていく映像を見せてもらい、『フォースの覚醒』が出来上がっていく過程を見届けるという幸運に恵まれました。デイジー・リドリーがレイになっていき、ジョン・ボイエガがフィンになっていく様子を見ることができましたし、『最後のジェダイ』の脚本を書く上で、私はその変化を受け入れることができた。それからルーカスフィルムのストーリー部門の人たちと何度も何度もミーティングを重ねて、自分の中でつじつまの合う物語を紡ぎだしていったんです」。

 これまでのシリーズで描かれた物語から何を受け取り、その「意味」を熟慮し、深掘りし、どんな新しい物語を創造するかは、監督に委ねるというのが「スター・ウォーズ」のやり方のようだ。

 「1作ごとに物語を前に進めながら、正しい道を探していかなければならないということです。どんな映画になるか、出来上がるまでわからないからワクワクできるし、それぞれの段階で道理にかなった映画を作りながら、結末にたどり着くことができる。このやり方はすばらしいと思います」(ライアン監督)。

■強みは根回し力

 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日より日公開)では、フィル・ロード&クリストファー・ミラー両監督が撮影開始後に降板し、ロン・ハワード監督に交代。『エピソード9(仮)』(2019年12月20日公開予定)の監督もコリン・トレヴォロウが降板し、J.J.エイブラムスが再登板することになった。

 監督交代が続いた中、重用されるライアン監督が映画づくりにおいて大事にしているのは「僕が作りたい映画を、皆が作りたい映画に、脚本の段階で仕上げていくこと。後になってもめないように、映画作りの1歩目からちゃんと共通認識を持つために努力します。そうすれば、同じゴールを目指して、力を合わせていくことができる。その後のプロセスもスムーズに進むんです」。

 いつもニコニコしている人柄、謙虚さ、他の人にないクリエイティビティ、映画監督としての資質が備わっていただけでなく、“自分”を上手に通す根回し力に長けているのだ。この姿勢をキャスリーン氏も高く評価している。来日会見では「ライアンは『最後のジェダイ』で本当にすばらしい仕事をしてくれたわ。ライアンと出会ってからもう4年くらいになるけれど、すばらしい脚本を書いてくれて、準備を入念にしてくれました。私も長年映画を制作していますが、本当に最高の映画作りの経験をさせていただきました」とライアン監督を絶賛していた。

 新三部作についてライアン監督は「『最後のジェダイ』で、現場のスタッフ、キャストだけでなく、ルーカスフィルムやディズニーの方々ともいい仕事ができた。1度きりで終わるのは惜しい、と思ったし、新しいキャラクター、新しい場所で起きるスター・ウォーズのストーリーを白紙から、三部作という壮大なスケールで描いていくことに興味もあったし。そういう話をしていたら、かなってしまったんだ」と顔を赤くして笑った。

 12月の時点で「アイデアは頭の中にある」と言っていたライアン監督。年が明け早々にアイデア会議を開始すると話していた。現時点ではいつになるかわからないが、「スター・ウォーズ」の新たな三部作にお目にかかれる日はそう遠くないはずだ。

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  • 映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(公開中)ライアン・ジョンソン監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 新キャラクターのポーグがお気に入りの様子 (C)ORICON NewS inc.
  • メイキングカットより、ライアン・ジョンソン監督とチューバッカ(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
  • 映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(公開中)メイキングカットより。(左から)ライアン・ジョンソン監督、フィン役のジョン・ボイエガ、ポー・ダメロン役のオスカー・アイザック(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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