お笑いタレントのビートたけしが29日、東京・渋谷のNHKで行われた2019年大河ドラマ（第58作）『いだてん〜東京オリムピック噺（ばなし）〜』の出演者発表会見に出席。“落語の神様”古今亭志ん生に扮して、語り手を務めることが発表された。「なぜNHKが俺を大河に使ってくれた意味がわからない」とたけし節を利かせながら、「志ん生さんは自分が尊敬する落語家なので、その役がきたことがうれしくてしょうがかない」とも語り、これまでにないプレッシャーも感じている様子だった。

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　再来年の大河ドラマは“オリンピックに初参加した男” 金栗四三（かなくり・しそう）役に中村勘九郎、“オリンピックを呼んだ男” 田畑政治（たばた・まさじ）役に阿部サダヲを迎え、2人の主役をリレーしながら“知られざるオリンピックの歴史”を描きつつ、そのオリンピックの歴史を志ん生が架空の落語『東京オリムピック噺』として振り返りながら語っていく二重構造になる。志ん生の波乱万丈の人生も挿入し、生っ粋の江戸っ子である志ん生の目線で、明治から昭和の庶民の暮らしの移ろい“東京の変遷”も映像化する。

　たけしは初回から全47回、志ん生として登場。高座にあがって落語を披露するだけでなく、弟子たちとの日常生活も描かれる。昔語りがいつしか現在進行形に追いつき、ドラマの最終盤、1964年の東京オリンピックの開会式の時、志ん生はどこで何をしていたのか、まで描かれる予定だ。

　志ん生は1890年生まれ、主人公の一人、金栗四三は1891年生まれで、同じ時代の東京で生きていた。生前の志ん生の落語をラジオで聞き、子どもの頃、親と高座を見たこともあるというたけしは、「全盛期の落語の音源も持っていまして。自分が尊敬する落語家なのでその役がきたことがうれしくてしょうがないんですが、ほとんどの仕事にプレッシャーがかかるってこともないんですが、これが決まってから夜中に落語を聞いたりして、頑張っています。雰囲気が出せればいいんですが、国宝みたいな人だたから。そんな感じがでればいいな。後は宮藤官九郎さんが書いた台本のせいです」とコメントしていた。

　ドラマでは、金栗四三が1912年ストックホルムオリンピックに日本初の出場を果たした頃、「俺（志ん生）は●●していた」と自分のことも語り出すのだが、若き日の志ん生に配役されたのは、俳優の森山未來。年をとったら“たけしが演じる志ん生”になる役どころに「いったい、誰を参考にしていいやら。物まねするわけにもいかないので…」とコメントに窮していると、たけしは「俺になるんだったら、『ダンカン、バカヤロー』、『なんだバカヤロー』って言っていればいいんで」とアドバイス。

　笑いで場を和ませた後、志ん生に対する個人的な思い入れを語っていた。「志ん生さんは、借金から逃げるために17回も改名して引っ越しを繰り返したとか、博打や酒や女グセが悪いといった評判が広がっているけれど、それは計算だったんじゃないかと思うくらい、実際は、勉強家で落語に対して真面目に取り組んでいた。いろんな人がいうほど遊び人でもめちゃくちゃでもない。写実的に描いていたところからマチスやピカソのような抽象画に行った人のような気がして尊敬しています」。

　たけしの大河ドラマ出演は『武蔵-MUSASI-』（2003年）以来、2度目。今回の起用について、制作統括の訓覇圭氏は「落語の神様を演じるのは、いまのテレビ界で“神様”みたいなたけしさんしかいない」と、企画が動き出したかなり早い段階からオファーをかけていたことを明かしている。たけしは来年4月から収録に参加する予定。

　そのほか、志ん生の弟子・五りん（ごりん）を神木隆之介、浅草の遊女・小梅を橋本愛、浅草の人力車夫・清さんを峯田和伸、五りんの彼女・知恵を川栄李奈、伝説の落語家・橘家圓喬（たちばなや えんきょう）を松尾スズキが演じることが発表された。