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元SMAPの3人退所、稲垣・草なぎ・香取がメディアのあり方に一石を投じる可能性

 きょう8日、稲垣吾郎草なぎ剛香取慎吾の3人がジャニーズ事務所を退所する。ファンからは様々な声があがっているが、今後の彼らの動向は決して悲観的ではない。これまでSMAPとして既成概念を覆してきた彼らだからこそ、これまでかなわなかった新たな方向性を見いだしてゆくのではないだろうか。SNSや動画サイトがエンタテインメントとして成立しつつある今、活躍の場はテレビに限らない。過渡期にある現在のメディアのあり方とともに、3人の可能性を考察する。

稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾のサイトが8日で閉鎖する

稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾のサイトが8日で閉鎖する

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◆「セロリ」に寄せて――テレビだけではない、3人のSNSが幅を広げる

 いったい彼らは、どんなきっかけで、どんなタイミングで、インスタグラムやツイッターを始めるのだろうか。そんなことが、今とても気になっている。

 本日8日付でジャニーズ事務所を退所する稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人のことだ。ジャニーズ事務所では、所属アーティストがSNSのような直接ファンとやりとりできるツールを活用することを禁止していた。これまで、稲垣、草なぎ、香取の3人については、テレビやラジオなどのレギュラー仕事が退所後どうなるかということばかりが報道されてきたけれど(最終的に、香取のテレビ朝日系『SmaSTATION!!』以外は、3人のレギュラー番組については継続することになった)、これだけ情報の発信の仕方が多岐にわたっている昨今では、退所後の方が、ずっと彼らと近しいコミュニケーションができる予感しかない。例えば、タイや韓国では、アイドルグループが独自で動画を配信するサービスが驚くほど進んでいて、アプリをダウンロードすれば、好きなアイドルの動向が動画でチェックできるようになっていたりするわけで、世界のアイドル事情を鑑みるに、もはや“テレビが一番効率的で一番訴求力の高いツール”とは言えなくなってきているのだ。

◆芸能界きっての“趣味人”、だからこそ期待できる無編集の面白さ

 稲垣も草なぎも香取も、芸能界きっての“趣味人”である。映画や本に造詣の深い稲垣なら、かつてスマステの名物企画だった『月イチゴロー』ならぬ“週イチゴロー”ぐらいの頻度で、ツイッターで映画評を呟いてくれたら、稲垣ファンならずとも映画ファンも狂喜乱舞するだろうし、草なぎが偏愛するバイクやデニムの写真を撮って、インスタにアップしてくれたら、それはそれでバイク愛好家やデニムマニアといった、あまりインスタと馴染みのない層からの注目も集めることだろう。香取も、描いた絵をインスタに、自分で撮った動画をYouTubeにアップしてくれたりしたら、それはそれで楽しそうだ。自分自身がスターであるだけでなく、演出力も兼ね備えた彼のこと。最近何かと世間を賑わせているユーチューバーとは違った“動画”の楽しさを、広げてくれるかもしれない。

 何より、稲垣にしても草なぎにしても香取にしても、普段のしゃべりが抜群に面白い。これまで彼らをインタビューしてきて、テープ起こしの原稿をそのまま出すのが一番面白いかもしれない、と何度か思ったことがある。稲垣は、インタビューの受け答え以外での気遣いも素晴らしく(ICレコーダーを置く台がないときに「僕、持ってましょうか?」と言ってくれたり)、草なぎは進んでギターを弾いてくれたり、とにかくサービス精神が旺盛だ。香取は、コンサートのことでも芝居のことでも、脳内にコンピューターのような緻密なデータを内蔵していて、物作りに関しては天才少年感を漂わせつつ、表現がウィットとユーモアに富んでいて、いつも内心「外タレみたい…」と思っていたものだ。だから、素で話している動画をアップするだけでも、相当に面白いものになるはずだ。本物のスターで、アーティストである彼らに、“編集”などいらないのである。

◆ファンの“忖度”だとしても、SMAPを諦めていない?

 …と、これまでではできなかったことに想いを馳せるだけで、3人の退所後の未来は明るいような気がしてしまうのだけれど、ただ多くのSMAPのファンが心から望んでいるただ一つのことは“5人で歌って踊ること”。それは、当分、かなわない。もちろん未来のいつか実現するかもしれないし、実現することを信じているけれど、2017年9月8日に起こったことは、3人が、“30年の時を共に過ごした事務所を去る”という事実でしかない。でも、解散の理由も、退所の理由も、一部メディアが煽っているような“メンバー間の対立”ではないことは明白だ。

 ここへきて、草なぎと香取のラジオ(bayfm78『ShinTsuyo POWER SPLASH』)で、「世界に一つだけの花」を流したりして、メンバーがさり気なく“SMAP愛”を漂わせることがあった。きっと、これからも「これは、彼らからのメッセージなのかな?」とファンが“忖度”したくなるような出来事が何度となく訪れるだろう。これは私の忖度だが、結局のところ、ファンよりも、周りのスタッフよりも、メンバー自身がSMAPを諦めていないんじゃないか。グループの解散が決まった時から、今の今までずっとそう信じている。

◆3人の動向が“テレビ至上主義”なメディアのあり方に一石を投じる

 今回の3人の退所は、おそらくこれまでの“テレビ至上主義”なメディアのあり方に、一石を投じるものになるだろう。アイドルのイメージや既成概念をことごとく破り、エンタテインメントの新たな地平を切り拓いてきた彼らは、常に表現やコミュニケーションの最前線にいなければならない運命を、たぶん背負わされている。担わされている。それぞれが、自分の持ち場を守り、広げ、ときに壊し、再生させながらやってきた。失敗も成功も、栄光も挫折も、何もかもがグループが大きくなるためのステップだった。だから、今日という日も、未来からすればきっと彼らにとっての一つのステップに過ぎないのだ。何年か後に、誰も想像し得なかった“再結成の日”を迎えるための。

 がんばってみるよ やれるだけ。
「セロリ」の歌詞が、今、頭の中をぐるぐる回っている。
(文:菊地陽子)

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