「北の国から」シリーズの脚本家・倉本聰氏（82）がシニア世代に贈る、テレビ朝日系帯ドラマ劇場『やすらぎの郷（さと）』（4月3日スタート、月〜金　後0：30〜0：50）の制作発表記者会見が16日、都内で行われ、倉本氏およびメインキャストが勢ぞろいした。会見では倉本氏が「若者の方を向いているゴールデン帯に対抗して、老人が観て楽しめるシルバータイムを提案しました。テレビのシルバー革命になれば」と気概を見せると、出演者たちは口々にせりふの多さとシーンの長さをボヤきながら、「老体に鞭打って、（撮影を）頑張っているところです」（石坂浩二／75）などと自虐を交えながら、撮影現場で充実した時間を過ごしている様子を語った。

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　出席者は、倉本氏、主演の石坂のほかに（以下50音順）、浅丘ルリ子（76）、有馬稲子（84）、加賀まりこ（73）、草刈民代（51）、五月みどり（77）、常盤貴子（44）、名高達男（66）、藤竜也（75）、風吹ジュン（64）、松岡茉優（22）、ミッキー・カーチス（78）、八千草薫（86）、山本圭（76）。メインキャストの中で野際陽子（81）のみ「スケジュールの都合」により欠席した。

　同ドラマは、テレビの全盛期を支えた俳優、作家、ミュージシャン、アーティストなど“テレビ人”だけが入居できる老人ホーム「やすらぎの郷　La Strada（ラ・ストラーダ。イタリア語で“道”の意）」を舞台に、かつて一世を風靡（ふうび）したシナリオライター・菊村栄（石坂）を中心に、このホームに入居した往年の大スターたちが直面するさまざまな問題をユーモラスに描いていく（全26週）。

　一にも二にも、倉本氏の脚本あってのドラマ。役者の個性に寄せて登場人物を描く当て書きを得意とする倉本氏は「当て書きすることが多いのですが、その人の短所や欠点をクローズアップして書くようにしています」と手の内を明かし、「出演者のほとんどの方と古くから付き合いがあり、欠点や弱みをつかんでいますので（笑）、そこをくすぐってやると面白いんじゃないかな、と思っています」といたずらっぽく笑った。

　石坂は「演じていて、それは感じました。短所が出てしまったら、それがまさに自分ということになるのですが、短所って自分で気づいていないものですから、台本の通りやればいいんだな。随所に“鑑定団”の話しが出てきたり、いろいろなことがありまして、公の席では言えませんが、自分はこう思われていたんだな、と認識しながら演じるのは意外と楽しいです」と話した。

　かつて石坂と夫婦だった浅丘からは「石坂さん演じる栄と20年ぶりに再会して、抱き合うシーンから始まるのですが、私も石坂さんと16年ぶりに会いました。その思いも込めて、長いこと抱き合わせてもらいました」といった話も飛び出したが、もはやそれも笑いのネタのように、会場全体が笑いに包まれ、終始、酸いも甘いも突き抜けた穏やかさに包まれた会見となった。

　「寡黙な元任侠役者」という設定の藤を除き、「せりふを覚えること以外は、とっても楽しい」というのが、出演者たちに共通する思い。その中でもダントツでせりふが多い石坂は「私が、一番、苦しい」とアピールしながらも、「テレビというのは空気が映るものだと信じている。楽しい雰囲気の中で作られたものは、どこか楽しい風が吹くものだと。この現場はスタッフも明るい方たちばかりですし、皆、一生懸命、冗談を言い合いながら、すごく温かい雰囲気の中で撮影しています。まさにやすらいだ風が流れる番組になると思うので、視聴者の皆さんにもやすらいだ風に当たっていただきたい」とメッセージを送っていた。