東京都の小池百合子都知事が13日、豊島区としまセンタースクエアで行われた『東京アニメアワードフェスティバル2017』の授賞式に「東京都知事賞」のプレゼンターとして出席。「これからもますますアニメが世界中に平和と希望をもたらすことを心から期待し、お祝いの言葉といたします」とスピーチし、式を盛り上げた。

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　同フェスティバルは今月10日から都内各所で開催され、この日が最終日。コンペティション部門、長編グランプリはフランスのセバスチャン・ルドバースさんの『手を失くした少女』。短編グランプリは、フランス・スイスのエリス・メンさんとエレオノラ・マリノーニさんによる『翼と影と』。両者に「東京都知事賞」も贈られた。長編優秀賞はスイスのクロード・バラスさんの『ズッキーニと呼ばれて』、短編優秀賞はロシアのナタリア・シェルニシェヴァさんの『クモの巣』が選ばれた。

　アニメ オブ ザ イヤーは、劇場映画部門グランプリは映画『聲の形』、テレビアニメ部門のグランプリは『ユーリ!! On ICE』がアニメファン賞とダブル受賞。授賞式には、『聲の形』を代表して山田尚子監督が出席し、「京都アニメーションのスタッフ一同、すばらしい音楽をつけてくれた牛尾憲輔さん、原作者の大今良時さんほか、たくさんのメンバーで一つのものに向かって、夢中になって作った映画です、このような賞をいただけて光栄です」と喜びを語った。

　『ユーリ!!』はエイベックスの田中宏幸プロデューサーが賞状・トロフィーを受け取り、「昨年10月からテレビ朝日で放送させていただいた、フィギアスケートを題材にしたアニメオリジナル企画なんですが、実際のグランプリファイナルの大会期間中に放送されたことで、多くのお客さんに喜んでいただけたのかな。作品賞はもとより、アニメファン賞もいただき、ファンの皆さんに喜んでいただけたことをうれしく思っています。海外のお客さんからも反響が大きかった作品で、日本のアニメーションがワールドワイドに広がって、盛り上がっていくことを経験できたのは非常に大きな糧になりました」と話していた。

　アニメ オブ ザ イヤーは、ファンを魅了し、かつ、現在のアニメーションの技術、独創性、商業性、ストーリー性などで日本のアニメーションに大きな影響を与えた作品、ならびに個人を表彰するもの。今年度は、日本国内で2015年10月18日から16年10月15日までの1年間（52週）に上映・放送された550作品の中から、ファンだけの投票によりアニメファン賞、アニメ関係者の投票により作品賞、各種個人賞が選定された。

　個人賞は、原作・脚本賞を『猫の恩返し』『けいおん！』『ガールズ＆パンツァー』などの吉田玲子氏。監督・演出賞を『君の名は。』の新海誠監督、アニメーター賞を『ユーリ!!』でキャラクターデザイン・総作画監督を務めた平松禎史氏、美術・色彩・映像賞を『進撃の巨人』『ジョジョの奇妙な冒険』などの吉原俊一郎氏（スタジオ美峰）、音響・パフォーマンス賞をドラマ・アニメ・映画などの劇伴、アーティストへの楽曲提供など、幅広く活動する音楽家の澤野弘之が受賞した。

　授賞式を欠席した新海監督は「2016年はアニメーション作品に多くの目が注がれた年でしたが、改めて実感したのは、アニメーションが特別な映像表現である時代は終わったのだということです。僕たちはハリウッドや実写邦画、漫画や小説やSNSと、あらゆるエンターテインメントの中で、存在意義を観客に認めてもらわなければなりません。自分は未熟な監督ですが、このことを今後も真剣に考えていきたいと思います」とコメントを寄せた。

　アニメ功労部門は、『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『銀河鉄道999』など松本零士氏、NHKの子ども向け番組にアニメーションを導入したプロデューサー・後藤田純生さん（故人）、『赤毛のアン』『火垂るの墓』『耳をすませば』などを手がけたアニメーター・近藤喜文さん（故人）、『ひょっこりひょうたん島』『リボンの騎士』などの主題歌を歌ってきた歌手・前川陽子、『天才バカボン』のママや『ルパン三世』の峰不二子を担当した声優・増山江威子ら10人が受賞。『キューティーハニー』で主題歌を歌った前川とハニー役の増山が音頭を取って「ひょっこりひょうたん島」を皆で歌唱するサプライズもあった。

■そのほかのアニメ功労部門受賞者
監督・池田宏氏
アニメーション作家・古川タク氏
美術監督・辻忠直氏
色彩設計・保田道世さん（故人）
音響監督・明田川進氏

※記事初出時、コンペティション部門のグランプリと優秀賞を逆に記載しておりました。ここに訂正してお詫びいたします（編集部）。