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小松菜奈、王道メジャー路線へ舵を切る理由 全方位からのステップアップ

 ヒット中の映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』に出演中の小松菜奈。『近キョリ恋愛』『バクマン。』と“ヒロインの女子高生”役が続き、今後も福士蒼汰と共演のラブストーリー『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』などの公開が控えている。人気の少女マンガや恋愛小説が原作の映画などに引っ張りダコだが、女優として本格デビューした『渇き。』では裏社会で悪魔的な顔を見せる演技が高く評価された。エキセントリックなビジュアルもあり、クールな個性派女優の道を行くかに思われたが、王道のメジャー路線に舵を切っている。

青春映画のヒロイン役が続く小松菜奈(写真:鈴木一なり)

青春映画のヒロイン役が続く小松菜奈(写真:鈴木一なり)

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◆10代にして独自の尖った存在感を放っていた

 現在20歳の小松菜奈はもともとファッション誌モデルとして、同性から高い支持を受けていた。『渇き。』でのヒロイン役は、中島哲也監督が波紋を呼んだ『告白』以来3年ぶりにメガホンを取るに当たり、オーディションで抜擢。過激なシーンも多いなか、背筋を寒くする魔性の美少女を演じ切り、日本アカデミー賞の新人俳優賞などを受賞した。10代にして独自の尖った存在感を放ち、アイドル的な女優とは一線を画した活動をしていきそうに見えた。

 だが、『近キョリ恋愛』で演じたのはツンデレ教師と恋に落ちる成績優秀な女子高生というラブコメど真ん中の役。『バクマン。』では漫画家を目指す高校生が片思いするクラスメイト、『黒崎くんの言いなりになんてならない』ではドS男子に絶対服従を命じられる転校生役だ。この3作はいずれも人気マンガが原作で、若い世代を中心に幅広く一般層をターゲットにしたエンタメ映画。そのなかで小松は王道の可愛いらしいヒロインの立ち位置で、ヒットに大きく貢献した。

 12月公開予定の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、ネットから話題になった人気恋愛小説が原作。『ホットロード』『アオハライド』など青春映画に定評ある三木孝浩監督が実写化を手がけている。小松は主人公の美大生がひと目惚れする女性の役で、またも王道ヒロイン。純愛ストーリーの華となっていそうだ。

◆メジャーな存在へのステップアップに必要不可欠な展開

 一方、5月公開の『ディストラクションベイビーズ』では“心の底から悪い女”を演じたりもしているが、もっとも目につくアサヒ飲料『三ツ矢サイダー』、ロッテ『乳酸菌ショコラ』などのCMでは可愛い見せ方をしている。クールでエキセントリックなイメージは、最近ではあまり押し出されなくなった。

 これは女優としてメジャーな存在へのステップアップには必要不可欠な展開。モデル系でよくあるように、クールビューティで押せば女性ウケは良くても、男性には親しみが持てず支持が広がりにくい。全方位支持を得るには、男性ウケする可愛らしい役も演じていかなければならない。柴咲コウや栗山千明、最近ではエキセントリック系の典型に見えた水原希子らも、こうした転換を図ってきた。

 個性に特化して独自のポジションを固める方向もあるが、小松菜奈はメジャー路線でも十分やっていけると勝算があったのだろう。実際その試みは成功している。本人自身が見た目のイメージよりネアカなキャラクターなことも大きかったかもしれない。映画は相次ぎヒットし、今後進出していくであろうドラマへの布石となった。いわゆる玄人ウケだけでは、そうした広がりは望めなかったはず。

 ただ、小松菜奈が唯一無二のクールな個性を持っていることは変わらない。現在の王道ヒロイン展開は“路線”ではなく、20歳の今の一時的な見せ方のようにも思える。『タクシードライバー』『グッドフェローズ』の巨匠マーティン・スコセッシ監督の『Silence』でハリウッドデビューも決まっている小松が、女優としての幅を広げたところで、新たな才能を開花させていきそうだ。
(文:斉藤貴志)

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