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『アーロと少年』監督インタビュー 「恐れを乗り越える」ということ

 3月12日より公開されるディズニー/ピクサーの最新作『アーロと少年』。同作で初めて長編アニメーション作品監督を務めたピーター・ソーンに、作品に込めた思いや制作裏話を聞いた。

ディズニー/ピクサー最新作『アーロと少年』のピーター・ソーン監督

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 同作は、「もしも地球に隕石が衝突していなかったら、恐竜が絶滅せず言葉と文明をもっていたかもしれない」という地球を舞台に、弱虫で怖がりな恐竜アーロと、怖いもの知らずで勇敢な人間の少年スポットの友情の物語を描く。言葉が通じず性格も正反対の二人だが、一緒に旅をするうちに心が通じ合いかけがえのない親友になっていく。しかし種族の違う二人は果たしてずっと一緒にいられるのか―。二人を待ち受ける運命に、誰もが共感できる新たな物語が誕生した。

 作品の主人公は、ピクサー史上最も弱虫と言われる恐竜のアーロ。臆病なアーロが恐怖心を乗り越えていく姿は、子どもだけではなく大人も自身の経験と重ねて胸を打たれるはずだ。

 本作は“恐怖を乗り越える”ことがテーマの一つにある。同作の製作中に2児の父になったソーン監督も“恐怖を乗り越える”経験をしたといい「僕の人生の中で妻が子供を産むことはとても怖かった。でも、妻や生まれてくる子どものことをすごく愛しているから、その恐怖を乗り越えることが出来た」と体験談を語る。

 また子供が生まれた経験は映画作りにも影響を与えた。「子どもたちはすごく僕に教えてくれるんだ。子育てには、子どもたちに何かをやらせようとすることがたくさんある。でも、子どもたちがどういうことを考えているのかを理解しようとするんだ。この映画を作っている時に同じことを経験した。映画は、物事を語りかけてくるんだ。最初、僕はそれを聞いていなかったけれど、ゆっくりと、映画を作りながら聞き始めることになった」。

 ソーン監督にとって初の長編アニメーション監督作品になったが、これもまた大きな挑戦でもあり、乗り越えなければいけない“恐怖”でもあった。日本公開を控える今、作品に関わったスタッフへの感謝を込めて振り返る。

 「僕は最初とても怖くて、自信がほとんどなかった。僕が自信を感じられるところはあったけどね。でも、この映画をやることで出会った人々のおかげで、僕はこの映画を通してずっと強く成長した。それをとても誇りに思っているよ。この映画を今観ると、僕は映画を見てさえいない。作った人々を見ている。草の葉1枚から、すべては手で作られているんだ。それは僕がとても誇りに思っているものだよ」。

 映画作りに対する恐怖を自信に変える作業として、作品に説得力を持たせるために徹底的にリサーチを重ねた。作品の舞台となる風景の参考にするために訪れたワイオミング州のティトン・バレーでは、作品に登場するTレックス一家のモデルになる家族と出会ったとうれしそうに話す。

 「牧場の家族で、彼らは僕をすごくインスパイアーしてくれた。彼らはオレゴン州に土地を所有していて、牛の牧場をやっているんだ。僕はニューヨーク育ちで、こういうライフスタイルのことはまったく何も知らなかった。この家族が、どのように生活しているかを経験することで、僕がどれほどインスピレーションを受けたかは、言葉に出来ないほどだよ。彼らは、愛に満ちた生活を、とてもシンプルな生活を送っていた」。この一家を基に描かれたTレックス一家は、怖がってばかりのアーロに、恐怖を乗り越えることの大切さを教えてくれる重要なキャラクターとなった。


 ソーン監督が何度も語ってくれたのは同作のテーマである“恐怖を乗り越える”ということ。アーロは初めての友達スポットとの友情を知ることで、怖さを乗り越え成長していくのだ。「アーロは色んなことが怖くてしかたがない。でも、彼のスポットや家族に対する愛が、もっとも怖いことを乗り越えさせてくれるんだ」。アーロは初めて守りたいと思ったスポットの存在によって、今まで怖くてできなかったことを乗り越えて行けるようになっていく。家族や友達への愛があれば自分の想像以上の力を発揮できるというメッセージを感じ取ってほしい。

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