アニメ&ゲーム カテゴリ
ORICON NEWS

鬼ヶ島・おおかわら、『珍遊記』脚本抜てきの裏で「お笑い以外の仕事には冷たい視線」

 あの伝説のギャグ漫画を松山ケンイチの主演で実写化する『珍遊記』。そのキャスティングやビジュアルがネットをざわつかせているが、もうひとつのトピックになっているのが、若手お笑いトリオ・鬼ヶ島のおおかわらが脚本に参加していること。型破りな映画になるであろう同作で芸人脚本家が果たす役割とは? 一方、注目作に大抜擢され初映画脚本を手がけることになった若手芸人への周囲の風当りとは…!?

鬼ヶ島・おおかわら、お笑い“ボケ”と“ネタ書き”格差に危機感

鬼ヶ島・おおかわら、お笑い“ボケ”と“ネタ書き”格差に危機感

写真ページを見る

◆10分間ずっとスベるネタを認めてくれた監督に感謝

――今回、脚本を手がけることになったきっかけを教えてください。
【おおかわら】 2014年の鬼ヶ島の単独ライブに、山口雄大監督が来てくださったんです。その時点で僕は面識がなかったんですが、ライブ終了後に共通の知り合いの作家の松原さんが、一緒に食事に行こうと声をかけてくれて。それまでお笑いの道でずっとやってきて、映画監督さんの知り合いなんてひとりもいないこともあって、これはおもしろそうと思って飲みに行ったら、その場でこのお話をいただいたんです。

――いきなりですか!? それは驚かれたんではないですか?
【おおかわら】 ビックリしましたね。漫☆画太郎さんの原作もずっと読んでいましたけど、まさか僕がその映画の脚本を手がけることになるなんて、夢にも思いませんでしたから!

――監督におおかわらさんを起用した理由は聞きましたか?
【おおかわら】 はい。実は、僕らのネタで、単独ライブにもかかわらず、10分間ずっとスベるネタがあるんですよ。

――……あの、単独ライブって、鬼ヶ島を愛している人たちが集まる場所ですよね(笑)?
【おおかわら】 たぶん(笑)。にもかかわらず、キンキンに滑るネタがあるんですけど、それを見た山口監督が「素晴らしい!」と褒めてくれたんですよ。僕もそのネタが一番のお気に入りだったので、そこを認めてくださる方とお仕事ができたら絶対に楽しいはずと思って、ありがたく引き受けることにしました。これまでずっとひとりで鬼ヶ島のネタを書き続けてきましたが、テレビに呼ばれるのはいつも大ボケの野田だったりして、どこか危機感を覚えていたんです。でも、山口監督は、僕が書いていたネタと、書く技量を認めてくれた気がして、すごく嬉しかったんですよね。

――それはすごく嬉しいですね。
【おおかわら】 あと、山口監督は映画を愛するあまり、偏った作品ばかり手がけてきて、「正直仕事が減ってきた」ってカミングアウトしてくれたんです(笑)。鬼ヶ島も、最初は尖ったことばかりをしていたんですが、『キングオブコント』などに出るようになって、もっとポップなものを作らなくてはと思うようになり、ポップなものとエッジの効いたものをバランスよくやっていこうとしていたところだったんです。そこに、山口監督は同じものを感じると言ってくださって。その価値観が一緒なら、絶対におもしろい作品ができると確信しました。まぁ、僕自身は目先の人に褒められたいという気持ちが強くて、ついつい自分のポリシーを曲げてしまう悪いクセもあるので、山口監督に鬼ヶ島の本質を見抜いてもらえた気がして、すごく信頼ができたんです。

◆倉科カナの最初のひと言でこの映画のすべてが決まる

――映画脚本を手がけることに対して、仲間の芸人さんたちからのリアクションはいかがでしたか?
【おおかわら】 みんなすごく喜んでくれましたね。実は、僕たちレベルの芸人がお笑い以外の仕事をすると、冷めた目で見られがちなんです。きっとどこかで「本職のお笑いで結果を残していないのに何やっているんだ」「そんなことやっている場合か」って思う傾向にあるんですよね。でも、仲の良い友人の芸人も番組の作家をやっていて、毎日すごく楽しそうなんです。その姿を見ていると、自分がやって楽しいと思えることは、なんでも挑戦できたらと思うんです。

――主演の松山ケンイチさんも、おおかわらさんの脚本の山田太郎を全力で演じていらっしゃいましたね。
【おおかわら】 あの姿にはすごく驚きましたし、素晴らしかったです。当たり前かもしれませんが、素っ裸のシーンにもまったく動じる様子もなく堂々としていて(笑)。役に徹底的になりきる俳優さんのすごさを間近で感じて、僕には絶対に無理だって思いました。

――おおかわらさんもご出演されていますよね。
【おおかわら】 ……でもあまりにもへたくそすぎて、二度と出ないと決めました。撮影の初日に、セリフのカンペをスタッフに貼ってもらって臨んだんですよ。それに溝端さんが「映画の現場でそんな人みたことない!」ってすごく驚いていて。僕は本気だったんですけど、それを冗談として受け取ってくれた溝端さんが一緒で助かりました(笑)。

――芸人さんは演技もうまいし器用という印象がありますが……。
【おおかわら】 僕がその説を完全に打ち消しましたね(笑)。でも、今野(浩喜)さんが、本当に素晴らしい演技をしてくれたので、芸人=ダメと思われずに済みました。とても感謝しています。

――脚本を手がけたおおかわらさん的な注目ポイントを教えてください。
【おおかわら】 見どころはなんといっても、倉科カナさん演じる玄奘があるセリフを放つ最初のシーンのやりとりですね。このひと言だけでこの映画は決まると思うので(笑)。ぜひ耳を澄ませて聴いてもらいたいと思います!
(文:吉田可奈)

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

 を検索