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柄本時生、兄・佑への憧れ語る「『兄ちゃん、カッコいい』って思ってた」

 俳優一家に生まれ、『あさが来た』で話題の兄・佑とともにドラマ、映画、舞台で引っ張りだことなっている俳優・柄本時生。イケメン俳優ばかりが持てはやされる状況の中で、役者として恵まれた個性的な風貌、父・柄本明、母・角替和枝を彷彿とさせる“怪演”ぶりで、唯一無二のポジションを確立しつつある。今回、ORICON STYLEでは、音楽劇『レミング〜世界の涯まで連れてって〜』を控える柄本にインタビューを実施。俳優としての今の想いから兄・佑とのエピソードまで、様々な話をしてもらった。

ORICON STYLEのインタビューに応じた俳優・柄本時生(写真・片山よしお)

ORICON STYLEのインタビューに応じた俳優・柄本時生(写真・片山よしお)

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■舞台は“他人”に見られる怖さがある

――柄本さんは舞台にもコンスタントに出演されていますが、舞台と映像は演じる上での違いは感じますか?
【柄本時生】 演じるとかそういうことに関しては、ほぼ一緒だと思っています。ただ、映像はスタッフさんとか“身内の人”だけしかまわりにいませんけど、舞台は“他人”に見られるから怖いなっていうのはありますね。お客さんって僕とは関係ない他人じゃないですか。すごくわかりやすく言えば、チンチン出さなきゃいけないシーンを映画でやるときは、いくらだって出せるんですよ。カメラマンさんも、音声さんも、衣装さんも、みんな仕事だから“身内”なわけで、そういうのは全然平気なんですよ。でも、舞台は“他人”に見られるわけじゃないですか。

――ある意味、剥き出しにした表現が「見られる」わけですからね。
【柄本】 台詞を言うときにも「他人が見てる」っていう怖さを感じます。そこだけですかね、違いがあるかなって思うのは。おっかないことですよね。

――今回の寺山修司さんの『レミング〜世界の涯まで連れてって〜』のように、抽象的なイメージも多く含まれるものでも違いはないですか?
【柄本】 同じですね。むしろ、その台詞が『言えているか/言えていないか』の問題になってくるから。意味のこととか言っててもしょうがないなと思っちゃうんですよ。

――「言えている」というのは、声に出して、その台詞が成立してるかどうかということ?
【柄本】 舞台だったら演出家、映画だったら監督、“リーダー”が意図することをどれだけやれるか。他人様が書いたホンを、自分が満足に言えるわけがない、という気持ちがまずあるんですよ。それは、その人が書いた「言葉」でしかないから。僕がその言葉を100%理解して言えることは一生ないので。だったら、できるだけ近づけるために、何百回も、何千回も言う、ということだけですよね。やっぱり、ホームランを打つためには、何度も素振りするしかなくて。ピッチャーだって150球投げるためには、練習での投げ込みが重要だと思うんですよ。

――素振りをつづけていると、本番で「当たる」わけですね。カキーン、と。
【柄本】 当たったことないですね、まだ一度も(笑)。

■もともと宮大工になりたかった

――柄本さんが俳優になったきっかけは何だったのでしょうか?
【柄本】 兄ちゃん(柄本佑)に来たオーディション(2005年公開のオムニバス映画『Jam Films S』の「すべり台」)を僕が受けて、合格したのが最初ですね。ただ、俳優の仕事に興味がなかった、といったら嘘になりますけど。兄ちゃんが大人としゃべってる姿を見て、「カッコいい!」って思ってました。兄ちゃんとは3つ違いなんですけど、兄ちゃんが中3のとき、『美しい夏キリシマ』(2003年)という作品に主演したんですよ。それで、親父(柄本明)と、(母親の角替)和枝ちゃんと一緒に九州の撮影現場に行ったんですよね。そのとき、兄ちゃんが大人の人たちとしゃべってて、「カッコいいよ、お兄ちゃん」と思ってたんです。本当に兄ちゃんがカッコ良かったんですよ。

――そんな大人の世界に入ってみたいという想いは?
【柄本】 いや、なかったですね。僕、もともと宮大工になりたかったから。神輿をかつぐのが好きなので、そういうものに近しい職業……だったら「宮大工」でしょ、という感じでしたね。中学生の頃は手に職のなかでも、専門職に就きたいということを漠然と考えていたので、中学を卒業したら、修行できるようなところに行こうかなと思っていましたね。

――では、本格的に俳優になろうと決めた瞬間は?
【柄本】 実は当初は高校を卒業したら大学に行くつもりだったんです。古本屋で漫画を売るときに用紙の「職業欄」に『俳優』じゃなくて『学生』って書きたかったし、あとは大学で映画を撮ってみたいと思っていたので。それから初対面の人に「あんた、誰? あー、俳優なんだね」って言われるのもイヤだったので、『学生』で逃げたかったというのはありますね。でも大学に落ちてしまって、ニートやってるわけにもいかないし、もう社会人として頑張って働かなきゃな、と思ったんですよ。そこで『俳優』を受け入れるしかないんだなって。中2から俳優の仕事は続けていましたけど、18歳までは学生だったから、どこかしら逃げ道があったんですよね。

――今は逃げ道がない状況なわけですよね。
【柄本】 俳優としてやっていくって怖い。“水商売”だから、どうなるかもわからないし。いまでも怖いですよ。うちのお父様がうるさいから……。「お前、いま、何やってんの?」って聞かれて、「これと、これと、これ」って答えると「忙しいな。(でも)すぐなくなるぜ。お前なんか」って言われます。あぁ、今は良くても仕事はなくなるのかって思って。新しい子たちがドンドン出てきますからね。でも、大人なんだから、働かなきゃいけない。社会人の意識、僕は強いですよ。そういう者でしかないです。ヘンですかね?

――俳優として、何か目標とするところはあるのでしょうか?
【柄本】 なんですかねぇ…“続くこと”ですかね。ただ、兄ちゃんと2人芝居をやってるんですけど(2008年に演劇ユニット「ET×2」を結成)、それだけは大切にしたいと思っています。

――俳優の世界に入るきっかけとなったお兄さんとの共演は、どんな感じなんですか。
【柄本】 僕は楽しいですよ。兄ちゃんはすごく腹が立つみたいですけど(笑)。「弟の無責任、兄貴の責任」とはよく言ったもので、兄貴はお客さんをどう満足させるかと言うことを考えてるんですけど、僕はそういうことに興味がないし、気にしないから。「俺はこんなに考えてるのに、お前は何もしない…」って。本番中も、兄ちゃんがこっちをずーっとにらんでるんですよ(笑)。

――性格は全然違うんですか?
【柄本】 うーん、言ってることはほぼ一緒だと思います。同じ質問をされたら、ほぼ同じ答えをするんじゃないかな。

(文/相田冬二)

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